@IT メールマガジン「@IT通信」に載ったアイティメディア社員のコラムを紹介します。

本当のプロードバンドはいつやってくる?

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 2001年7月4日の「@IT通信」に掲載したコラムを紹介します。「光の道構想」によれば、すべての世帯でブロードバンドサービスを利用できるようになるのは、2015年ごろになりそうです。

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 ソフトバンクの子会社のBBテクノロジーとヤフーが、ADSLによるインターネット接続サービスを開始すると発表した(編注:当時)。それも、最大速度は8Mbpsで、月額料金は2467円からという格安でだ。現状のADSLによるインターネット接続料金は最大1.5Mbpsで月額5000~6000円程度。したがって、半額程度で速度は倍以上ということになる。

 しかし、これを手放しで喜んでいいのだろうか。ソフトバンクが手がけるYahoo! BBでは、ADSLの規格としてG.dmtのAnnex.Aを採用している。実はG.dmtには、日本ではISDNが普及していることから(ADSLはISDNによる干渉を受けるため)、その対応策としてAnnex.Cという規格もある。ソフトバンク側では、実際のテストではほとんど影響を受けないとしているが、心配であることも確かだ。

 また、8Mbpsという数字にもトリックがある。いやトリックというほどでもないのだが、ADSLの場合は局からの距離に応じて、速度が落ちていくのだ。これは、ベストエフォートで提供されるADSLの宿命でありしかたのないことなのだが、実際には「最大8Mbps」という言葉でしか表されていないので、なかなか実感できるものではない。

 余談になるが、筆者宅ではNTTのフレッツADSLを導入しているが、下り方向の平均速度は500Kbps。フレッツADSLでは最大1.5Mbpsなので1/3の速度しか出ていないことになる。局からの距離が4.7kmと離れているため、これでも速度は出ている方なのだが……。

 そして、ここにきてアッカ・ネットワークスが、G.dmtのAnnex.Cのフルレート、すなわち最大8MbpsでのADSL接続サービスの提供を表明した。ISDN対策が施されていることから、通信品質の良さを売りにしたいようだ。

 ともあれ、ブロードバンドが騒がれている昨今だが、ADSLによる本当の意味でのブロードバンドを体験できる人は、局から遠くない距離の人に限られてしまう。そういった意味では、ADSLはブロードバンドの本命足り得ないと実感している今日このごろだ。 

(M3)*当時
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