地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

あるアップデートに見るこれからのシステム

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 今週行われている Micrososft の Ignite というイベントがあり、そこで発表された数多くの話題が色々と話題になっているかと思います。特に日ごろ Microsoft の製品を利用していないところであっても、Excel の大型アップデートについては、驚きをもたれたのではないでしょうか。今現在でも OCR 機能にて、データ入力を省力化されているところもあるとは思います。その機能が Excel に搭載されるというのは、非常にインパクトの大きいものです。

 技術的に新しい話題ではないので、開発側の人にしてみれば目新しいものではないかもしれません。この話のポイントは、開発者ではなくても利用できる機能が増えた、という点になるかと思います。何かしらの開発を行わなくても、誰でもが OCR を利用したデータの入力が行える、これは非常に大きなメリットです。

 極端な話をすれば、既存システムのデータ入力については、大きく見直しを求められる可能性が高まると感じています。例えばシステムが出力したデータの加工については、今でも現場側で Excel 等を利用して行っているところも多いと思います、それこそ諸般の事情なところで、システム改修を行わずにこのような運用で対応する形を選択しているところも多いでしょう。それと同じように、データの入力も現場側で Excel で行いシステムはそれを取り込む形に統一する、そういったシステムの形も十分にあり得ることとなります。

 開発を行っている方であれば感じていると思いますが、データを手で入力させている事自体が、何かしらのミスを生む原因となります。システムで入力画面を用意したところで、手で入力している以上どうしてもミスを起こさせない事は不可能と言ってもよいでしょう。できるだけシステムが生成したデータに限定してやりとりを行うことが、手作業による入力ミスを発生させない最上の方法です。

 これは RPA 等にも関連する話題です。RPA 自体も作業の自動化を目的としていますが、その理由は近いものがあります。手作業による作業ミスを減らすために、自動化できるところは自動化しようという思想です。RPA に対しては色々思うところがあるかもしれませんが、私としては実際の業務で利用していることもあり、どちらかというと工程派です。これが自分たちのシステムに対して利用するのであれば、そうじゃないだろ、と思うことはありますが、現場の業務では自分たち以外が作成したシステムを利用することも多く、そうなると自動化が行える RPA は有用な手段です。

 今回の Excel にとどまらず、世の中には数多くの自動化ソリューションが出てきています。大元のシステムで対応できれば一番良いのでしょうが、それにかかるコストなどを検討すると、RPA などの外部ソリューションを利用することが最適解となることも多いです。その手段が今回増え、かつそれは今までよりもはるかに導入が容易である、というのがインパクトの大きい理由だと思います。

 こういった状況を見ていると、すべてを自前で用意する思想はもう現実的でなくなった、そのように感じます。これまでもそうだったのですが、これからはますますその傾向は大きくなるのではないでしょうか。他で生成したデータを取り込み、自分たちのシステム処理を行い出力する、そしてその結果をさらに別のシステムへ連携する。Integration Platform という言葉で表され、そこに属するサービスは iPaas として扱われたリもします。これからの流れとして一つのシステムを大きくするのではなく、複数の小さめのシステムを連携する思想が、主流となってくる可能性もあると感じます。

 もちろんそれがいつまでも有用であることは、ほぼほぼありません。ですがここ数年という期間で考えたときは、かなり有用であると思います。開発に関わる側としては、このような思想の変化に対応できるようなシステム構築がこれからは求められていくかも知れません。一度作成しても短期間の間に作り直すことを可能とする、業種を問わずにこのような思想で対応していくことが必要になるかと思います。

 そう考えていくと、システムというのは何を示すのか、そんな変に難しいことを考え出したりもします。これまでは何かしらの開発を行って運用する部分を表していたのが、純粋に業務を行う枠組みのことを表していくこともあり得ます。ここエンジニアライフは 10 周年を迎えましたが、次の 10 年が経過した時、改めてシステムとは何を表しているのかと考えると面白いかも知れません。

 個人的には、今の自動化の流れについては、賛成することが多いスタンスです。まずはそこを推進し、システムと呼ばれるものを小さくしていくことが、次へとつながる大切なことではないかと私は思っています。

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