ビジネス系資格をめぐる3つの疑問と、5つの活用法
お久しぶりです。
46@人間活動中≒無職の方程式が成立しそうなわたしですが、9月のリッツパーティ@東京には姿を現しました。お会いしました皆さん、その節は本当にありがとうございました!
というわけで、今回は、大好物な? 資格ネタの「時事総論」に参加。
下記調査結果を基に、特にたんまり保有しているIT分野以外のビジネス系資格について、わたしの体験を交えていっちょ久々コラム、というわけです。
ITエンジニア・スキル調査2010「上位資格を狙う派2割、IT以外の資格も取りたい派4割」からは、多くの人が「実務に使うために(趣味ではなく)」「幅広く」「IT分野以外の資格も含めて」資格を取得して、「転職や昇進に役立てたい」というイメージが浮かび上がってきます。
ここで問題になるのが、「IT分野以外の資格も含めて」ってところ。
IT資格であれば、エンジニアの皆さんにとっては、基本的にはこれまでの職務経験の延長範囲内、のことだと思います。
たとえ、プロマネをやったことがない人がPMPやプロジェクト・マネージャ系の資格を取得したとしても、現在プロジェクトに参加していたり、隣でプロジェクトが動いていれば、知識を持ったうえでメンバーとして参加する、などの生かし方は想像しやすいところです。じゃあ「IT分野以外の資格」ってどんなのをイメージしてるんだろう?
人気の高い順に、TOEIC(600点以上)、診断士、簿記、ファイナンシャルプランナー、社労士……あれれ、今年社労士に合格したので、簿記以外は取ってます! ファイナンシャルプランナーがエンジニアにこんなに人気だとは意外ですね! ……簿記は来年の取得予定に入れておきます。
ところで、「資格」の話でよく聞こえてくるのが、こんな疑問の声。
- 資格なんか持っていたって、大してあてにならない
- 資格の勉強よりも、まずは業務をしっかりやれ
- 資格だけじゃダメ、経験が無いと意味がない
なるほど! おっしゃるとおり! ……なのかな? 順に見ていきましょう。
「資格なんか持っていたって、大してあてにならない」。
……って、「学歴が高くても、大してあてにならない」と何が違うんだろう? どうでしょう? むしろ、社会においては、学歴よりもずっとあてになるんじゃ……なんて思いませんか?
そして、 「資格なんか持っていたって、大してあてにならない」は「資格を持っている=一定の能力がある」が前提になっているがゆえの「そうとはかぎらないぞ」というアンチテーゼではないでしょうか?
もちろん、学歴と同様、実際にあてにならないケースがあることも知っていますから、どの程度「あてになる」のかは分かりませんが……。
ただ、「資格なんか持っていたって、大してあてにならない」で話を終わらせてしまうのは、もったいない。たくさんの人が依然として資格取得に関心を持っている、という現状が、1つの答えではないかと思っています。
そして、「資格の勉強よりも、まずは業務をしっかりやれ」。
これは、もちろん入社当初などの時点では真理だと思います。日常業務をろくにこなせないのに資格の勉強をしている人は、資格を取得したとしても良質な経験をその職場で得ることは難しいでしょう。
しかし、いまの業務だけやっていればよいのか? このままで大丈夫なのか? という先への不安が、多くのエンジニアを資格試験に駆り立てます。
なぜなら、自分のキャリアの結果については、自分しか責任を取れないからです。
年齢に見合ったキャリアを歩めているか? 自分の転職市場での価値は? といった視点で考えることで、資格取得へ向かうエンジニアが増えているのかもしれません。
また、資格手当を活用するのが、手っ取り早く給与を上積みする方法、という人もいます。
「業務をしっかりやった」結果よりも、資格取得の方が報われやすい環境だとしたら、業務に集中しろ、という言葉は空しく聞こえるのかもしれません。
次が難問!
「資格だけじゃダメ、経験がないと意味がない」
これはホントによく言われます。
一般的にはやはりこの図式になると思います。
経験+資格>経験のみ>資格のみ>どちらもなし
ですので、資格なしで、求めるキャリアに向けた経験を積むならば、先に経験を積む方が良いと思います。
ただ、どちらも持っていない人が1歩進むための方策として、資格取得は確かに有効です。というわけで「意味がない」は言いすぎ感があります。
資格を持っていることがきっかけで経験を積めれば、経験+資格の道に向かって歩んでいけるからです。
というわけで、資格の活用法としては、単に資格を取得する=取りっぱなしで終わらせずに、どう経験を積んでいくか、が大きなポイントとなります。
エンジニアがこれらのビジネス系資格を取って、キャリアにどう生かしていくのか? について、わたしのこれまでの経験や見聞から、タイプ分けしていきます。
1.業務をより深く理解する
わたしは会計システムなどの業務系SEからのスタートだったので、会計知識がないとユーザーの話が理解できない、といったところから始まりました(簿記試験は申し込んだのですが、当日プロレスを見に行ってしまいました……)。そして、社会保険労務士の知識があると給与計算システムの改修の要件をスムーズに進められるといった形で、資格を現場業務の理解に大いに活用することができました。
また、中小企業診断士を取得してからは、経営層への「BIの活用方法」といったヒアリングや要件の把握の際に、以前よりも格段に「勘どころ」がつかめるようになってきたことを強く実感しました。
エンジニアとしての経験に資格を上積み、という点では王道かもしれませんが、各資格の一部分しか使っていない、とも言えます。
しかし、活用の入り口としては上々ではないでしょうか?
2.間接的に業務に生かす
直接的に業務に生かす以外にも、例えばキャリアコンサルタントの訓練を受けてからの方が、部下と話す際に親身になれる、あるいは、FP資格の中で得た知識を基に景気の動向や投資、運用などをネタとして、社内外の人たちとコミュニケーションする、といった活用の仕方もあります。
3.仕事のチャンスを増やす
TOEICなどに顕著ですが、周囲があまり持っていないスキルを持つことで、より報酬の高い仕事に就くチャンスを得ることは可能です。
しかも、英語がそこまで重要じゃない場面でも、「一部必要なため」、あるいは候補者を絞るために「一応」英語の条件がついたりする場合があるので、要注意です。
また、資格を持っていることで、さまざまな研究会に参加できます。
もともとの家族や友人、そして仕事での知人などに加えて、資格を生かして新たなコミュニティに属することは、これまでと異なる出会いにつながります。
ビジネス系の資格のコミュニティの中で、IT系の専門家として認知されることで、仕事、あるいは転職につながるような関係が生まれることは多々あります。
4.キャリアアップに活用
特定の会社だけで通じるスキルもあれば、多くの会社でも通じるスキルもあります。資格の一番いいところは、非常にポータブルなスキルだという点です。
クライアントに提出されるキャリアシートや、面接先に提出する職務経歴書で「A社のBプロジェクトで~な役割をしていた」、という点について、関連資格の取得が書類選考段階で後押ししてくれるケースは多々あります。
わたし自身、マネージャに採用された後に上司に採用の決め手を尋ねたところ、
「診断士だからそんなにダメなことはないだろう、と思った」
と言われたことがあるので、資格取得が一定のレベルを期待させる、という効能は大いにあると考えています。
また、「英語が必要とされるマーケットに参加する」という前提のもとでは、「英語力」ほど報酬との相関性が高いスキルをわたしは知りません。そしてこれが、TOEICが人気ナンバー1の座を得る理由だとも思います。
5.独立、開業へ
社労士&診断士としてコンサルティングオフィスの開設に向かっているわたしは、今このステップです。これがうまくいくかどうかは分かりません(実施するかどうかも未確定ですから!)。
ただ、資格によっては、「いざ」という時に「資格を生かして開業」という選択肢を検討できる、ということは、先行き不透明な中で過ごす日常に、ちょっとしたエッセンスを加えてくれるのではないでしょうか?
そしてここは、毎度おなじみ、キャリアの複線化の話でもあります。それでは、また近日中にお会いしましょう!(毎度おなじみ絶筆フラグ)
P.S.
最後に宣伝です。前職を退社後に始めたことの1つに、ポッドキャスト(ネットラジオ)番組「資格の歩き方」があります。
こちらでは、ビジネス系資格などを中心に、資格試験に合格するための勉強法や、モチベーション管理などについて、パーソナリティ2人が経験などを基に語っている、資格試験の受験生を応援する番組となっています。
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コメント
http://www.kkr.mlit.go.jp/kingi/n_info/koukoku/100224.pdf
入札条件に指定される事があるから、というのが取得を目指す最大の理由だと思ってます。
まあ資格を排除要件に使うと新聞に書かれてしまうので抜け道は用意してあるのが普通みたいですが。