たった1つの冴えないやり方
この記事を書いているのは4月30日。
そう、前回の記事に書いたように、ボクは本日をもって退社する。
ザンネンなことに、いまのところ今後の進路は定まっていない。俗にいう「無職」ってヤツだ。
20代で倒産による解雇、そしてその後、事業停止による派遣社員雇い止め。
二度の非自発的離職を経験して以来、ずっと念頭において目指してきたのが
「会社に依存しない、しがみつかない生き方」
会社に依存することの恐怖を、ぞんぶんに味わったのだから当然といえば当然。
そのためにやってきたのが、英語や資格の勉強、経験でのスキルアップ、そして転職だ。
IT、会計や英語によるキャリアアップ、これはいま風に言うと「カツマー」的な生き方、か。
「自分がやりたいかやりたくないか」や「向いているかどうか」ではなく、あくまで「転職マーケットで高い評価をもらえるかどうか」を主軸に置いた考え方だ。いわば、競争で強者になるための戦略。
たしかに収入は上がった。
とはいえ勝間さんの著書のタイトルのように10倍にはなっちゃいない。せいぜい3倍ぐらいだ(元が安かっただけとも)。
そのころは、収入が上がればもっと幸せに、もっと自由になれると思っていた。
実際どうだっただろう?
高収入とともにボクに到来したのは、大幅な「時間不足」だった。
大きな理由の1つは、その過程で培った社外でのネットワークから生まれた活動によるもの。もともとは、これらもある意味「しがみつかない」ための第2、第3の道として始めたものだ。
この3年ぐらいの間に、いろいろ手がけてきた。
- ポッドキャスト番組「秘伝!診断士暗記術」の開始、そして書籍化
- 兄弟番組「秘伝!社労士暗記術」の開始、そして書籍化
- 番組内企画としての社労士試験への挑戦~敗北
- 新番組「秘伝!FP暗記術」の開始
- 各番組のテーマソングを作ることから、テーマソングクリエイターとしての音楽活動の再開
- キャリア・コンサルタントとしての認定を受け、NPOへ参加。無料コンサルティングも提供
次から次へと刺激的な新しいことが生まれ、ボクはそっちに時間を割き、挑戦することを選んだ。
その一方、キャリアアップをするたびに、仕事に必要な時間がどんどん増えてきて、家族との時間や、まともな食事をする時間などがどんどん削られていった。
さまざまなツールでタスクを効率化したけれども、焼け石に水。
ムリを続けることで体力がどんどん低下する中で、ボクはこのバランスの悪い生活が限界点に達していることを認めざるを得なかった。
多すぎるものを捨てて、バランスを取らなければならない。
一番のターゲットとなるのは「会社での仕事」だった。
ここに費やしている時間の長さに比べたら、他の活動に費やす時間など大した問題じゃない(当たり前といえば当たり前だ)。
「しがみつかない生き方」を実践するならば、会社での役割は全体のバランスの前では大きな意味はなかった。
部長であろうと、課長だろうと、契約社員だろうと、バランスを取るためならどんな働き方でもよかった。
けれど、そこでのルールを決めるのはボクじゃない。約1年弱の交渉は失敗に終わった。
こうなると、社外活動のすべてを捨てても、生活とのバランスは取れそうになかった
すると、選択肢は、「たった1つ」になってしまった。「しがみつかない」を前提にするボクの中では、最初から選択肢に入っている。
そう、退職だ。
しかも、まともに転職活動をするヒマすらなかったから、無職になってしまう。
決して利口とは思えないけれど、倒産で失業してから10年目に、同じ無職で再スタート。
第1部がミュージシャン志望期、第2部がキャリアアップ期ならば、第3部への突入。
第3部のコンセプトは「後悔しない生き方」でいくつもりだ。
これは今回「何を捨てるか?」を考える中で軸に据えたものである。キャリアアップよりも大事なものをないがしろにしてきた第2部の反省をふまえてのものだ。
とはいえ、依然雇用情勢は厳しい。
10年前と変わったのは……歳をとったこと。結婚したこと。いくばくかのスキル、経験がついたこと。あ、使うヒマがなかったから少々の貯蓄はある。
10年前と同じなのは……途方に暮れていないこと。もちろん不安はあるけれど、おそらくボクは楽観的なのだろう。
楽観的なボクは、とりあえず退職が決まったあとは、体調回復を最優先にして、
- 規則正しい生活
- 適度な運動
- ほったらかしだった各種通院の再開
で過ごした。おかげで、ここ1年で最上のコンディションだ。
「……今ぐらいの体調ならば、もう少し、仕事つづけられたかもしれないな」
そんな弱気な声に耳を傾けてもしかたがない。
何しろ「後悔しない」のがコンセプト、というか後悔などしている場合じゃないのだから。
明日から無職スタート。さて、次はどうしたものか。