「幸せとは?」をインドで考える
Zoho推進事業部の安田です。
2008年12月中旬より当社開発センターのある南インドの都市チェンナイへしばらく出張になりました。技術的な話を書く予定でしたが、朝、ふと感じたことを記します。
このコラムを書くきっかけとなった出来事は、「滞在しているマンション前の道路がきれいに掃除されていたこと、舗装工事の準備が進行しているのを見かけてうれしく思ったこと」です。
このことを少しでも共感してもらうには、まずインドの環境について説明する必要がありそうです。
インドについて、以前ほどの勢いはなくなった感はありますが、まだまだ急速な経済発展をとげていている国ととらえている方も多いでしょう。確かに、1年前にこの開発センターに来たときと比べると、オフィス周辺の様子は、大きく改善され続けています。しかし、現状でも次のようなことは日常的なものです。
- 大通りに面するごみ捨て場は、ごみが未分類で山のように積んである
- ゴミを狙う野良犬が、10メートルに1匹はいる状況。夜になると凶暴化
- 車が通ると舞い上がる土ぼこり(目が痛くなるほど)
- 車道はなんとか舗装されているが、歩道はがたがたなのでやむなく車道を歩く
などなど。
画像1 公道にちらばるごみを食べる牛さん。写ってはいませんが、猫さんや犬さんも同席しています。日常的な光景です。 |
画像2 出勤のためバスを待つ人々。この人数で郊外です。車内に乗り切れない人は、手すりにぶらさがります。乗り口がある側に大きく傾いているバスを見かけるのもまた日常的な光景です。 |
想像していただけたでしょうか? この環境下で、「滞在しているマンション前の道路がきれいに掃除されていて、舗装工事を行う準備をしているのを見かけた」のは、まさに喜びです。
いわゆる小さな幸せというやつでしょう。私はこういう「小さな喜び」というのを軽視していたというか、日本にいる間はほとんど意識することがなかったように思います。
日本のような成熟した社会では、舗装道路は当たり前です。私は約30年生きてきましたが、(幸い?)学校のグラウンドや公園で土を触るくらいで、道路はきれいに舗装され、下水道も整っている環境で育ったために、初めてインドに来たときはインフラの未熟さに愕然としました。
一方で、インド人エンジニアが来日したときに一番印象的なことは何かと聞くと、声を揃えて「道がきれいなこと」をあげます(「日本人はとても礼儀正しいと感じる」もよくある回答です)。
物理的な成熟度で比較し、判断するならば、はるかに日本が恵まれて幸せであると結論付けられそうですが、通勤電車内の人々の様子や日本で起きる事件、事故を見ていると、日本人が自分たちの環境に満足しているとはとても思えません。統計的にもそのような傾向が見られるようです。
参照:平成19年度国民生活白書
インドでの生活満足度の調査結果がないので、なんとも言えないところですが、個人の感想としてご了承ください。
インドを見ていると、「昔はよかった」という言葉を、初めて納得することができました。日々成長していく様をありありと実感できることが、将来よくなるだろうという希望を持つことにつながり、精神的な満足度の向上に結びつくものなのかな、と思えたのでした。
当社の製品について考えてみても、インドのITインフラは十分ではないので、「この環境でどうやって当社の製品・サービスを開発したんだろう」と不思議に思っていました。しかし、環境をよりよくするためには何をすればよいかを追求することが、よい製品を作る糧になっているのでは、と思えるようになりました。
コメント
ヨギ
こんにちは。コラムニストのヨギです。
僕はクリスチャンではありませんが、マザー・テレサを見たくて、92年頃にカルカッタに行ったことがありますが、記事と写真を見る限りでは15以上前とあまり変わってないなという印象です。
インフラについて書かれていますが、僕が行ったときは、「そもそもインドは(他国から援助された)インフラを使いこなす国力、というか人力が全くない。これはいくら援助しても無駄だ。」と感じました。
とは言っても、マザー・テレサはそんなこと関係なく黙々と活動されていたわけですが。
確かインドは南ほど貧しいのでしたよね。
そちらへご出張ですか。「ちょっと行ってくる」では済まない場所ですよね
尤も、慣れておられるご様子なので、間違っても生水(少し黄色かった..)など飲まれないでしょうけれど。
どうかお気を付けて。
ヨギさん
こんにちは。アドベントネットの安田です。
コメントありがとうございます。一度デリーへ行きましたが、
チェンナイよりきれいだなという印象でした。
カルカッタに15年前に行かれたとのことですが、大きく変化
しているのではと思います。
私の上司も10年ほど前からチェンナイへ出張しているのですが、
体験談を聞く限りだいぶよくなったのだと思っていましたが、
カルカッタの15年前と印象が変わらないというは驚きました。
コラムを読んでコメントをいただいただけでなく
体の心配までしていただきありがとうございます。
生水はさすがに飲みませんが、レストランでの
コップにくまれる水は飲んでいます。
今のところ・・・問題ありません。
ありがとうございました。今後も投稿いたしますので
よろしくお願いいたします。
安田
zoho 安田 様
初めまして、先日コラムニストに為ったばかりの朝之丞です。
実は、「Zoholics!2008 X'mas」にも参加させて頂き、Sridhar Vembu CEOともお話をさせて頂きました(このコメント投稿時のメアドをご確認頂きたい)。
@ITでお会い出来るとは感激です!
今後ともよろしくお願いします。