働いている世のエンジニアの手助けになることを願う独り言

善意エンジニアのちょっとした修正・微調整地獄

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エンジニアとしてキャリアを重ねる中で、私は多くのクライアントや社内の依頼に応えてきました。大きなプロジェクトから始まり、納品が終わると、なぜか頻繁に「ちょっとした修正」や「微調整」の依頼が舞い込むようになります。この現象には共感する方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな話をお届けします。

善意のはじまり
納品後のちょっとした修正依頼は、エンジニアの仕事の一環として避けられません。例えば、「このボタンの色を少し変えてもらえますか?」や「このテキストのフォントサイズを少し大きくしてもらえますか?」など、依頼は細かく、緊急性が低いことが多いです。

「まあ、これくらいならすぐに終わるし、やってあげよう」と思い、1回目、2回目と対応します。するとどうでしょう。「あのエンジニアは、ちょっとした修正は快くやってくれる」と思われるようになり、依頼が絶え間なく続くのです。

善意の誤解
この状況が続くと、次第に「善意のエンジニア」という名がついてしまいます。依頼者は「またちょっとお願いしてもいい?」と言ってくるものの、その依頼の積み重ねがエンジニアの作業工数を圧迫していることに気づいていないのです。

「これくらいなら」と思い、善意で対応することが、結局は自分の首を絞めることになる。しかも、依頼者はその善意に感謝するどころか、それを当然のように思うことが多いのです。「ちょっとした修正だから」と見積を出すと、「そんなにかかるの?」と驚かれることも多々あります。

善意の限界
ある日、私は決心しました。もう善意での対応は止めよう、と。しかし、これが難しい。エンジニアの血が騒ぎ、「これくらいなら」と思ってしまうのです。善意の対応が繰り返されると、次第に「このエンジニアは無料で対応してくれる」と誤解され、善意の搾取に繋がります。

この状況を避けるためには、以下のような対策が必要です。

・最初の段階でルールを設定する:納品後の修正は一定の期間のみ無料、それ以降は有料とする。
・依頼内容を明確にする:何が「ちょっとした修正」に該当するかを明確にし、それ以外は別途見積もりを出す。
・感謝の気持ちを求める:依頼者に善意で対応していることを伝え、感謝の気持ちを求める。


善意の結末
ある程度の善意は、信頼関係を築くために必要です。しかし、その善意が搾取されると感じた時、エンジニアとしてのモチベーションは低下します。結局、善意の対応を続けるか止めるかは、自分自身の判断に委ねられます。

私の場合、少しでも依頼者が感謝の気持ちを持ってくれるなら、善意の対応を続けたいと思っています。しかし、そこには限度があり、時には「NO」と言うことも必要です。善意が善意として認識され、感謝される環境を作ることが、エンジニアとしての長いキャリアを支える鍵なのかもしれません。

最後に一つ。ある日、クライアントが「この修正は本当にちょっとしたことです」と言ってきました。私は答えました。「ちょっとしたことが積もり積もって、作業工数が山のようになってるんですけどね。」

皆さんも、善意のエンジニアリングを楽しみながら、時には適度な線引きを忘れずに!

どこかで、エンジニアの価値を少しでもベースアップする手助けが出来てれば幸いです。

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