今さら聞けない「仮想デスクトップ」基礎の基礎
仮想デスクトップが一気に普及し始めた背景にあるのがモバイル環境の新かだと思います。昔は、外出時に重たい添付ファイルがメールで届くだけで、10分くらい、ダウンロードに時間がかかった時代もありました。私の年代には懐かしい話です。今は、びゅーん!と重たいファイルも、都心部であればすいすいできる時代になり、仮想化デスクトップが現実的になってきました。そして、「ワークスタイルを変革したい」「セキュリティを強化したい」などのメリットで”仮想デスクトップ”を検討する企業が増えています。この動きはWindows XPのサポート終了の特需もあり、いまや”旬”とも言える状況になっています。
しかし、意外にも「仮想デスクトップにはどのような方式があって、どのようなタイプのユーザに適しているかといった基本的なことを、分かっているようで、実は分かっていない」という方も多いような気がします。そこで今回は、仮想デスクトップに関する 「基礎の基礎」をデスクトップ仮想化ニュース「デスクトップ仮想化選定 6つの必須ポイント」より引用しながらご紹介します。
そもそも仮想デスクトップとは?
まず大前提として、仮想デスクトップとは何かを説明します。従来はクライアントPCという「利用環境」上にOSやアプリケーション、データ、ユーザのプロファイル(ユーザ設定)などの「実行環境」が搭載されており、2つの環境が一体になっていました。
仮想デスクトップは、「利用環境」であるクライアントPCからOS、アプリケーション、データ、ユーザ設定などの「実行環境」を仮想化し、サーバへ集約するのが特長です。2つの環境を切り離すことで、1人のユーザが「いつでも」「どこからでも」「どんなデバイスからでも」同一のWindowsデスクトップ、アプリ ケーションを利用するということも可能になります。よく「シンクライアントと仮想デスクトップの違いがあいまい」という声も耳にしますが、シンクライア ントは仮想デスクトップで活用できる多彩な端末のうちの1つという位置づけです。仮想化された「実行環境」をどのように「利用環境」であるデバイス(PC、シンクライアント、タブレット、スマートフォン等)に提供するかにより、仮想デスクトップの方式が異なります。
次に仮想デスクトップの5つのタイプを解説します。仮想デスクトップには、大きく分けて5つの方式が存在します。
(1)クライアントハイパーバイザー
ネットワークに接続していないオフラインでも、仮想デスクトップを実行可能です。更に、1台のノートPC上で複数の仮想デスクトップを稼働することもできるため、1台のPCで「業務用」「プライベート用」の環境を使い分けることも可能です。
(2)ネットブート
OSやアプリケーションイメージ化し、ネットワーク経由で共有PCなどにブート、実行する。OSやアプリケーションを端末側のCPU、メモリで実行し、 PCの処理能力を最大限に活用するので高いパフォーマンスを実現します。また使用後は、PCのメモリからアプリケーション、データを自動消去し、セキュリ ティを確保できます。
(3)リモートPC
外部のPCからオフィスにあるPCへ1対1で接続します。操作側PCからはマウスやキーボードによる操作のみ送信され、操作対象PCからは画面のみが送信されます。大規模な環境整備を必要としないため、すぐにでも仮想デスクトップの利用をスタートできます。
(4)VDI (仮想PC)
クライアントOSをサーバ仮想環境で稼働させ、ユーザごとに個人専用のデスクトップ配信イメージを個別のVM上で管理します。ユーザが個別の環境のOSを 占有できるため、利用できるアプリケーションに制限がなく自由度が高い反面、ユーザ数にあわせた環境の構築が必要になるためサーバやストレージなどインフ ラ費用が増大する傾向も。
(5)サーバ共有デスクトップ
1つのサーバOSを複数ユーザで仮想デスクトップとして共有。管理すべきOSが単一であるため、管理コストを削減するだけでなく高集約性といったメリットが見込めます。
iPadでPowerPointやExcelなどの活用も!
「Windowsをアプリケーション仮想化して配信」
上記5つの方式と組み合わせることで効果を生むのが「Windowsアプリケーションを仮想化してタブレットなどのモバイルデバイスへ配信」です。 例えば、「iPadでMicrosoft Office」のアプリケーションを活用したい…という場合などでも効果的です。顧客先でiPadの画面を顧客に見せながら、顧客からのニーズやフィード バックを反映させられるために、PowerPointの企画書を変更し、Excelの見積書の数字も変更できます。Outlookにてメールで企画書と見 積りを送信…といったことも可能になります。
ユーザのタイプによって最適な仮想デスクトップは異なります
前項では仮想デスクトップの5つの方式を紹介しましたが、ユーザの属性によって、どの方式が適しているかは異なります。例えば、外出先でも様々な経営情報へアクセスし、迅速な意思決定を行わなければならない「経営層」。営業マンのように客先での営業活動やその報告を 行いたい「モバイルワーカー」。特定のアプリケーションだけを利用する「タスクワーカー」。そして、与えられたミッションにより、様々なアプリケーション やデータにアクセスする必要のある「ナレッジワーカー」…などです。それぞれの属性により「モバイル性」「アプリケーションとデータの自律性」が異なることにより、どの方式の仮想デスクトップが適しているかにも、当然違いが出てきます。簡単に説明してきましたが、いかがでしょうか?
もっと深く知りたい方は、デスクトップ仮想化ニュース「デスクトップ仮想化選定 6つの必須ポイント」をご覧ください。「デスクトップ仮想化ニュース」関連記事として下記も併せてご覧ください。
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