段々畑でつかまえて
2009年9月11日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。@IT自分戦略研究所 編集担当も、学生時代に「大地の芸術祭」の設営ボランティアに参加したことがあります。米と水がおいしい、よいところです。興味がある方はぜひ訪れてみてください。
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こんにちは、営業担当新人の滝沢です。
わたしは、よく人から「初対面でも緊張しなそう」といわれます。新人のくせに態度がデカイ&テキトーなどなど、理由はいろいろあるかと思います。しかし、そんな見かけとは裏腹に、わたしはかつて人見知りが激しく、初対面の人とは極力話さない性格でした。学生時代に必死に克服したのですが、両親はわたしが営業を担当していることにだいぶ驚いている様子です。そんなわたしが、営業として得た経験を少しお話しします。
先日、営業訪問した企業の方から「大地の芸術祭2009」にモバイル版のスタンプラリーサービスを提供しているという話を伺いました。
「大地の芸術祭2009」は、過疎高齢化が進む新潟県越後妻有地域を会場とした、世界最大の国際芸術祭です。地域再生化のアートイベントで、妻有地域には著名デザイナーの創作物が点在しています。10年前に始まり、3年に1度開催されているそうです。
わたしの出身は新潟県で、越後妻有地域にも何度も行ったことがあります。しかし、このイベントについてはまったく知りませんでした。伺ったお話によると、「大地の芸術祭」に出ているアート作品は非常に芸術性が高く、開催期間中には、過疎化で落ち込んでいる地域がかなり元気になるとのことでした。
芸術祭の概要とスタンプラリーサービスの応用方法を聞いているうちに、芸術祭自体に興味が湧き、さっそく帰省がてら寄ってみることにしました。
段々畑を横目に山中をドライブしていると、突如「難破船」や「ガラスのない窓」が現れます。作品から作品までの移動時間は、なんと車で30~40分。Webサイトで「現代の合理化、効率化の対極として、徹底的な非効率化を試みる」と謳っているだけのことはあります。鏡が一面に張り巡らされた山小屋や、墨で塗り尽くされた古民家など、理解の域を超えたアートの数々に、それまで芸術にはあまり興味がなかったわたしですら「早く次の作品にたどり着かないか」とわくわくしました。最後にはどっぷりと芸術にはまり、3年後も行きたいなと思ったほどです。
「人見知りを克服してよかった」と思うのは、自分と全く違う知識や価値観を持っている人に会い、興味関心の幅が広がるときです。特に営業職は、自分次第でいろんな人に出会えるため、そのチャンスを増やしてくれます。
ただただ仕事を作業としてこなすのではなく、自分の楽しみを見つけながら進んでいく。社会人になって半年。まだまだ半人前ですが、営業としてのやりがいの1つを経験することができました。