街で見かけたガジェットを分解してわかったこと・わからないこと色々レポート

第17回: キッチン以外でも便利。ダイソーの「4WAYキッチンタイマー」

»

はじめにお詫び

番外編の「USB充電の歴史シリーズ」、今回もお休みさせていただきます。
「USB Power Delivery」の規格書がまだ読み解ききれません...

ということで、今回はダイソーで人気の200円商品「4WAYキッチンタイマー」の分解です。

時計や温度も表示できるので、筆者はキッチン以外でも便利に使っています。

最近販売されているものはパッケージが新しくなっていますが、今回の対象は旧パッケージの製品です。

パッケージと製品の外観

画像1

「4WAYキッチンタイマー」は正面から見ると正方形をしていて、本体を90°回転させることにより4つの機能(時計・アラーム・タイマー・温度)を切り替えて表示できます。時計と気温が普通の部屋でも役に立ちます。

02_90°回転することで表示切替

90°回転することで表示切替

本体を分解してみる

本体前面の透明パネルの隙間にピック等を差し込んでゆっくりはがすと、本体を固定しているビスが見えますので、これを外して開封します。

04_前面パネルをはがした状態

前面パネルをはがした状態

本体を開封してプリント基板を外します。背面側には「プッシュスイッチ」「角度検出スイッチ」「ブザー」等が実装されています。

05_プリント基板を取り出した状態

プリント基板を取り出した状態

前面側の液晶パネルの接続に使われている細長いピンクと黒の部品は「異方性導電ゴム」です。

06_前面側に接続された液晶パネル

前面側に接続された液晶パネル

回路構成を調べてみる

メインボード

メインボードは紙フェノールの片面基板です。液晶パネルの下には「樹脂モールドされたコントローラ」「角度検出スイッチ」「室温検出用サーミスタ」が実装されています。

07_メインボード(前面側)

メインボード(前面側)

主要部品の確認

液晶パネル

液晶パネルは表示部分とガラス面の透明電極のみ、信号線の組み合わせで固定された表示部分を切り替える「セグメント液晶」です。「4方向の表示」という仕様から本製品のような機能の為に専用設計されたパネルのようです。液晶パネルの電極数は34本、パネルと基板の間の接続は「異方性導電ゴム」です。

09_液晶パネルと基板の接続

液晶パネルと基板の接続

「異方性導電ゴム」は垂直方向のみ通電・水平方向は絶縁という特性を持っています。接続面を顕微鏡で拡大すると、「導電性ゴム」と「絶縁ゴム」が交互に並んでいて水平方向には絶縁する構造となっているのが観察できます。垂直方向の抵抗値は実測1~2kΩですので低速のデジタル信号の接続用途であれば使用できます。

10_異方性導電ゴムの接続面の拡大写真

異方性導電ゴムの接続面の拡大写真

角度検出スイッチ

「角度検出スイッチ」は両面ガラスエポキシ基板をメインボードに画面に対して45°の角度で半田付けする構成で実現しています。基板の内側の断面にはプリントパターンが印刷され、そこを金属のボールで短絡する事によりコントローラで画面の回転角度を検出します。

14_金属ボールの位置で回転角度を検出

金属ボールの位置で回転角度を検出

コントローラ

コントローラは樹脂モールドされたベアチップ実装、基板には「HX1188」という基板の型番のシルクの表示があります。メーカー・仕様は不明です。

15_基板上のシルク表示

基板上のシルク表示

基板のパターンより14ピン x 4辺 = 56ピンの専用コントローラであると推定しました。基板パターンより接続先を特定して周辺回路図を作成しました。
「水晶振動子」の発振周波数の32.768kHzは、デジタル時計でよく使われる「16bitカウンタの最上位bitが1になった時に1秒(32768は2進数で1000 0000 0000 0000)となる周波数」です。

16_コントローラ部の回路図(拡大)

コントローラ部の周辺回路

シリコンチップの観察

ベアチップ実装のモールドはダイヤモンドヤスリとカッターで削れるので、いつものように露出させたチップをUSB顕微鏡で観察してみました。
チップサイズは実測で1.4mmx1.4mmです。

チップ写真を回路図に重ねて、パターンの結線からシリコンチップ上の大まかな回路ブロックの配置を推定しました。
シリコンチップのパターンの違いによるブロック分けを見ると、ワイヤーボンディングで配線されているシリコンパッドの近くでブロックが変わっており、各機能がパッドにあわせて配置されているようです。

19_大まかな回路ブロック(推定)

大まかな回路ブロック(推定)

まとめ

購入時期が異なるものが手元に2台あったので、両方分解してみたら、メインボードの製造年月日によってパターンが修正されていました。
以下の写真の右が「180717」左が「190520」です。新しい方では裏付けされていた抵抗がなくなり、デバッグ用端子のパターンも削除されています。

20_製造日でメインボードのパターンが異なる

製造日でメインボードのパターンが異なる

「4WAYキッチンタイマー」はダイソー以外からも同じような商品が販売されている人気商品ですので、最初のロットでの問題点は継続して改善されているとみてよいでしょう。

最後にちょっとだけ宣伝

2022年9月3〜4日に東京ビッグサイトで開催される「メイカーフェア東京2022」に出展します。(昨年は分解ネタで落選したので、今年は工作ネタです)
作っている様子や展示場所は筆者のツイッターアカウント(https://twitter.com/tomorrow56)で順次流していますので、ご来場される方はよろしければブースをのぞきに来てください。

次回こそはUSB PD規格をまとめないと...


次回更新は2週間後の9/13(火)の予定です。

Comment(1)

コメント

匿名

これ1年前くらいに買って重宝しています。

台所においていて、普段室温を表示されておいたり時計表示にしておいたり。
カップ麺や時間指定のある調理には減算タイマー機能をつかったり。
時間指定タイマーはあまり使ったことがないですね。

回すとカラコロ言っていたのは金属ボールだったのかと納得しました。
ウチのはBeep音に接触不良なのかちょっとノイズが乗ってます。

コメントを投稿する