エンジニアは「変人」と呼ばれてなんぼだと思う。

新技術コレクターとの向き合い方

»

■新技術コレクターに焦る
 ITの世界、特にソフトウェア開発の分野に関しては、次々と新しい技術が登場します。その目まぐるしさは半端ではなく、多分完璧に全部を追っていこうとしたら、新技術ウォッチそのものを仕事にする記者にでもならなければ無理じゃないかと思います。

 ソフトウェア開発技術者は普段自分のプロジェクトの開発をしているわけですから、当然そんな時間はありません。全てを完璧に追うのは不可能です。とはいえ、全く新技術を無視するわけにもいきません。

 しかし、中にはやたらと新技術に詳しい人間もいたりします。会話していると、全然知らないキーワードを連発してきます。こっちは知らないことをあっちは知っている、という状況は、結構焦るものがあります。なんだか、もっと新技術をガンガン知らないとまずいんじゃないかって気にもなってきます。では、自分も新技術の追っかけを始めればいいのかというと、ちょっとそれも違うと思います。

■落ち着いて考えてみると
 考えても見れば、技術を本当の意味で知るというのは並大抵のことではないというのは、我々自身がよく分かっているはずです。例えば、新技術のデモと説明をさらっと見て、ちょっと自分でサンプルを作ってみたところで、それが仕事に使えるレベルで「知っている」と言えるのかというと、全然違いますよね。我々は専門家でありプロフェッショナルであるのですから、実際の仕事に使えるレベルで「知っている」ことこそが本当の財産だとすでにわかっているはずです。

 もちろん、新しい技術を取り込むことの重要性を軽視しているわけではありません。しかし、その前にもっと大切なことがあると思うのです。それは、今自分が仕事でまさに使っている技術の掘り下げです。例えば、プログラミング言語、その言語における業界標準のライブラリやフレームワーク、あるいは運用環境でのOSや各種サーバといったものを、より深く知るということです。

 実は、実際に仕事で使っているとはいえ、もっともっと深堀りできる余地はあったりします。言語の分厚い解説本の端から端まで目を通してみるとか、フレームワークのソースコードをじっくり読んで内部の動きを追ってみるとか、色々やれることはあると思うんですよね。

■新技術をどう取り入れるか
 そして、新技術というのはえてして現在の技術の問題を解決しようという動機から生まれてきたりします。現在の技術を深く知ることにより、新技術で何を解決できるのか、どう使えばいいか、という新技術に対する見方も磨かれてくるはずです。すると今の仕事の技術を掘り下げる中で、気になる新技術が出てくるでしょう。あるいは、今すぐ取り入れるべき新技術の登場に気づくかもしれません。その時にこそ新技術を学んで取り入れれば、より意味のある勉強ができる、と思うのです。これなら無駄になる可能性も低いし、理解もより深くなります。

 ですから、新技術コレクターに対して焦りを感じることもあるでしょうが、上記のように自分の分野で着実に研鑽を積めばよいのではないでしょうか。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する