キーボードは体の一部です

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» 2014/05/12

■ITエンジニアの仕事道具といえば
　ITエンジニアにとって一番の仕事道具は何でしょう？スキルなどのソフト的な意味ではなく、ハード的・物理的な意味のほうで。そう訊いたら「パソコン」と答える人もいるかもしれません。確かに間違いではありませんが、もう少し細かく絞りましょう。パソコンの中でも物理的な道具としてどの部分を最も使っているでしょう？

　え？電源？あのー、それは使っているというより動いているだけでは・・・え？CPU？確かに使ってますけれどもね・・・ええい、自分の体で直接使っている部分ですよ！

　そうそう、何と言っても「キーボード」でしょう。特にプログラムのコーディングに関わる人はなおさらです。1日中キーボードを打っていることが仕事の日常風景ですからね。

■プロの道具は体の一部
　一流のプロスポーツ選手は、使う道具がまるで自分の体の一部であるかのように脳が働くそうですね。あのイチロー選手も、バットの先まで神経が行き届く、というような表現をしています。さらに、イチロー選手は感覚が狂うからと他人のバットには触れさえしないといいます。

　ITエンジニアにとってのキーボードは、野球選手にとってのバットに似ている、と僕は思っています。今までの様々な職場での経験を思い出してみると、キーボードに対してこだわりを持つ人がもっと居てもいいのにと感じています。与えられたPCに付属でついてくるチャチなキーボードをそのまま使っていたりする人が結構多いです。

　そういえば、ペンや万年筆にはこだわりを持つ人が多いですよね。でも今じゃ職場で文章を書くときにはペンや万年筆よりもキーボードを使うことが比べ物にならないほど圧倒的に多です。もはや現代の筆記用具はキーボードだと言ってもいい状態なのに、なんでキーボードに対してこだわりを持たないのか、不思議で仕方ありません。

■キーボードは消耗品ではない
　「日本で最初のハッカー」と呼ばれる東京大学名誉教授の和田英一氏はこんな話をしています。

「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。」

　つまり、キーボードは消耗品ではないのです。実際、PC付属のチャチなキーボードではなくて、しっかり作られたキーボードであれば30年以上使えるという話も聞いたことがあります。僕も買ってから8年目になるキーボードを使っていますが、なんの問題もありません。

■マイキーボードのすすめ
　ということで、今までキーボードはPC付属のものしか使ったことないという人も、ぜひ自分にマッチする良質なキーボードを探してみて欲しいですね。職場には私物キーボードを持ち込んで差し替えましょう。僕は派遣エンジニア時代、派遣先の職場でも自前のキーボードを使ってました。

　そして、職場と家で同じものを揃えればベストです。同じメーカーの同じ機種にするってことです。ちなみに僕はキーボードだけでなくマウスも職場と家で同じものを揃えてます。（実際にはマウスではなくトラックボールにしてます。）前述したように、道具が擬似的に体の一部となるまで感覚を磨きたいなら、常に同じ道具を使い続けるのがベストですからね。

　なお、良質のキーボードはそれなりの値段がしますが(1〜2万円程度)、投資の対費用効果を考えれば決して高くありません。耐久性としても数十年は使えますし、自分に合った良質のキーボードは指や手首への負担も軽減してくれますので、腱鞘炎などの予防にも貢献します。ぜひ、自分にとってベストなマイキーボードを見つけて、徹底的に使い込んで欲しいと思います。