町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

ホワイトな大手企業へ転職!その20 新入社員の研修④ 手柄はあっち、責任はこっち!

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まだ20歳であったけど、ここまでされたら自分が何をされたのかくらいは分かるよ。このときはほんとに悔しかった。なんなんだよ!!私はみんなに気づかれないように藤田班長が一人の時を見計らって不満を言いに行った「藤田さん、あのレポートは僕が苦労して書いたものなのでみんなに使いまわしにすることはなるべく辞めてくださいよ」って、申し訳なさそうな口調で言ってみた。すると藤田班長は「おう わかってるわかってる。」って苦笑いしながらの返答だった。

更に隣の係の新人の先輩までもが数週間後に「田中君、レポート出した?」って。提出期日から何日経ってるんだよ。「とっくに出しましたけど」「人事から早く出せって班長に督促が来ちゃってさ、何を書きゃいいの?」って。この先輩、入社試験のときにスカジャン、ジーパンで来社していた坂本先輩である。隣の係に配属されていたのだ。私は「僕なんてたいしたことも書かずに適当に出しちゃいましたよ」って言っておいた。これ以上、楽して甘い汁を吸おうとする輩に利用されるのはごめんだからね。私の言葉に坂本先輩も納得したようで「ありがと」って、単純な先輩だなぁ。

そしてある日、偶然にも新人研修の司会進行役をしていた加賀さんに食堂の休憩フロアで会ったのだ。例のレポートの件で怒りをぶちまけてみた。「なんか僕のレポートが使いまわしにされています。一体なんなんですか?」すると加賀さんは「あら?あれは田中君のだったの?」って、「そうです」「そうだったのね、1班の人たちはみんなレポートの内容が一緒だったからおかしいと思ったのよ」って。さらに加賀さんが「あれはね、上司が評価されるのよ」って、いきなりの会社の裏話をしてきたのだ。

そうか、そういうことだったのか。レポートを書いた本人ではなく、そこの班の責任者が評価される、ってことは要するにそこの係の評価が良くなるってこと。しかし、言い換えれば「手柄はそっち!責任はこっち!」ってことになるのだ。私は何も言い返せなかった。そこへ加賀さんと一緒に休憩していた人事の女の子数人が「それはひどいよ」って私の見方をして参戦してくれたのだ。これだけでもちょっとは救われた。

そして最後に加賀さんが「いいじゃない、それだけ田中君の能力が認められたんだから!」って言葉でちょっとは救われたのだが前の会社でも、ここの会社でも、管理職連中はみんな似たようなもんだなあ。って、身を持って感じた一件であった。高校時代、実習などでレポートを提出しないと成績は(1)にされてしまってたし「社会に出たら、出すのを忘れてました!なんかは絶対に通用しないぞ!」ってよく先生に言われていたので、提出する。そして期限を守る!ってことの大切さを嫌というほど叩き込まれていたけれど、現実はそうじゃなかったね。このときの教訓としては、提出物は期限を守らなくて良い!ということを身を持って感じた出来事であった。それよりもショックだったのが、美人の加賀さんが38歳独身ってことを知ったことだった。絶対に20代前半~後半に見えたのに。。。

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