本配属編!その15 他人は自分の機嫌をとってはくれないのだ!
入社して既に1年半。仕事の方はまったく進歩せず、やる気もなかった私だが、体のほうは健康で風邪なんかもひかず一度も欠勤はしていなかった。しかし、体に違和感を覚えるようになった。会社の敷地に足を踏み入れると体が重い感じになってしまうのだ。これがストレスってやつなんだろうなって初めて感じた。帰りの時間になり会社から出た瞬間には体が元通りになる。仕事というか、会社そのものが嫌になっていたんだと思う。主任や係長、課長たちも気を使ってくれて様子を伺いによく話しかけてきてくれたのだが、逆にそれが凄くストレスになった。
心配してくれているのに何故ストレス?って思うかもしれないが、休みがない!残業が多い!この二つを訴えてもいつの間にか丸め込まれるだけだったからである。「俺もそうだったよ」「みんなそうだよ」「頑張れ」なんてことを主張して丸め込まれるだけであった。20歳の小僧が会社員歴数十年の役職連中に討論で勝てるわけがない。こういうときの人間の心理って、とにかく同情してほしい、わかってほしい!この二つがほとんどですよね。なんとかしてほしい!っていうよりも、私の場合は自分がどれだけ苦しい状況に居るのかわかってもらいたいっていう気持ちでした。そういう気持ちが周りに伝わらないと、無理やりにでもわかってもらおうとして常識はずれな行動に出る。今風に言えば「かまってちゃん」ってやつですね。酷ければ自殺という最悪な結果になる。いじめなどが原因で自殺する人たちもこんな心境なのかもしれない。
「鬼十訓」で有名な大手広告会社の社員が過重労働を苦に自殺した事件は日本中を騒がせた。その方は生前に自身のブログで次のように述べている「深夜の残業が、東京の夜景を作っている」。短い文章だけど、この方がどれだけ辛い目に遭っていたのかが読み取れると思います。これから新入社員になる人に言いたいのだが、私みたいになってしまったら、専門家とか、上司とか、そういう人たちよりもまずは身内に相談するのが良いと思います。自分のことを一番よくわかっている人です。どうしてかって?私の経験から言わせてもらうと「どんなに辛い状況でも、他人ていうのは自分の機嫌をとってはくれないのだ!」
そして、身内や自分のことをわかっている人でも、できるだけ多くの人に相談することだと思います。例えば、歩いているときに車にぶつけられた。でも、怪我もないし、洋服が掠った程度なのでその場で「大丈夫です!」と運転手に告げて家に帰ってきたとします。そのことを親や友人に話たら大騒ぎになるでしょう。「なんで何もしないで帰ってきてしまったんだ!」「なんで警察に言わないんだ!」「なんで相手の連絡先を聞かないんだ!」このようにして周りの人間がいろいろと知恵をつけてくれるんです。このように味方ができると大人の場合は子供と違ってそれなりに強い心を持てるんです。
当事者は気が動転して自分に起きたことを客観的に見ることができないのです。そして、それに関係している人も同じように客観的に見れないんです。この場合は同じ部署の連中です。学校のイジメが外部へ漏れて、教師や校長たちが慌て始めるのと同じです。私の場合は退職という場面になってようやく上司や管理職連中が慌てだしましたからね。