071.「正論」論の正論を語る
初回:2020/04/29
1.先週から来週末まで在宅勤務です。
P子「話をそらさない。まだ『正論』論を繰り返す気?」(※1)
思ってたよりも長引くのは、私のコラムのネタだけではありません。(※2)
話の発端となった(勝ち逃げ先生さん)が、上手くまとめられていたので終わりにしようかと思ったのですが、私の中では(山無駄さん)の『エセ理想論』『シン理想論』という言葉が妙にしっくり来て気に入ってしまいました。
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/kachinige/2020/04/post_7.html
あの「正論」祭りが、じつはトリックアートだった話
勝ち逃げ先生さん
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/densol/2020/04/post_39.html
コロナ禍中での、理想論、正論、現実論
山無駄さん
『エセ理想論』『シン理想論』の説明箇所を抜き出してみると...
リモートワークを可能とする仕組みは多くあります。このような仕組みを導入しつつ、お客様へのサービスを維持しながら、国の要請にも応えるための具体的な方策を検討する、これが現実論ですね。もしかしたら「サービスレベルを維持しつつ、国の要請にも応じよう」これをシン理想論というのかもしれません。
この単語を利用すると、先のコラムのタイトルも、このように読み取れると思います。
「エセ正論を武器にする人間が、仕事が出来ない本当の理由」
「シン正論を語れない人間が、仕事が出来ない本当の理由」
正論≒理想論と考えてもらっても構いません。
2.エセ理想論とシン理想論の違い(見分け方)
前回の、070のコラムで『4.間違った「正論」には正しい「正論」で立ち向かうべき』と書いていますが、これも『エセ正論には、シン正論で立ち向かえ!』の方が判りやすかったと思います。
では、この見分け方は何かと言うと、その正論の目的と手段を明確にすればよいのです。
先の例で言うと、
エセ理想論:
目的:国からの要請に応じたい
手段:なし
シン理想論
目的:サービスレベルを維持しつつ、国の要請にも応じたい
手段:リモートワークを可能とする仕組みを構築する
これは判りやすい例ですが、目的と手段は、階層構造を持っているので、もう一階層上がると目的が手段になります。
目的:国からの要請の在宅勤務 → 手段
目的:ウイルスの蔓延を食い止めたい → 手段
目的:患者数の急増による医療崩壊を防ぎたい → 手段
目的:国民の命や財産を守りたい (※3)
一つの手段からは通常一つの目的があります。目的が二つあるのは例外的で「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言われる様に余り良い事はありません。所が一つの目的からは複数の手段が考えられます。スパイ映画では必ず「プランB」という言葉が出てきます。
P子「しかも、大抵はプランBになっちゃうもんね」
P子さん、起きてたんですか?てっきり退屈して寝てたと思ってました。
さて『目的:国民の命や財産を守る』の中には、倒産による自殺者や、臨時休業による収入の減少や、犯罪の増加、偽情報によるパニック等を起こさないための対策(手段)も講じる必要があります。
エセ理想論の中には、2段階、3段階と、何段階も登っていかないと、エセでないことを見破れないこともあります。また、最終的な目的が利己的な場合、それ以上の思考が止まってしまう場合もあるでしょう。
目的:トイレットペーパーを買う → 手段
目的:みんなも買うし無くなるかも知れないので多い目に買う → 手段
目的:自分とその家族の分だけは確保したい → 利己的
帰着:他の商品が品切れで自分が買えなくなる
目的:トイレットペーパーを買う → 手段
目的:在庫は十分あるそうだし、必要な分だけ買おう → 手段
目的:この一大事をみんなの努力で乗り切ろう → 協調的
帰着:他の商品も品切れにならず皆が購入できる
目的の正しさと手段の正しさの両方を考えたうえでの、帰着も考慮した正論を考えたいところです。
https://news.infoseek.co.jp/article/bunshun_37098/
「絶対にマンションに入らせるな」住人の看護師さんの感染を疑ってバリケードが設置される
文春オンライン / 2020年4月8日 6時0分
自分もウイルスに感染する可能性があるという事まで考えが及ばないんでしょうか?
3.別の視点で見ることの大切さ
(勝ち逃げ先生さん)のコラムのサブタイトルまんまですが、私も同感です。この例では、同じ事象を見る方向が違うと別の物に見えるという話です。良くあるコインの裏と表の話ともいえるでしょう。
臨時休校で学習時間が減っている為、夏休みを返上しようとか色々と大変な事態になっていますが、そんな中、ちょっと感心した話題がありました。
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2020042202100198.html
「9月新学期に転換するのもーー」尾木ママが約100年ぶりの教育制度"大手術"を大胆提案...新型コロナ禍で 臨時休校続くのなら...
2020年4月22日 22時33分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042400952&g=pol
国民民主、「9月入学」検討チーム 休校受け、27日初会合
2020年04月24日18時08分
https://hochi.news/articles/20200425-OHT1T50072.html
橋下徹氏、一斉休校要請で持論「小中高大と一気に9月入学制にすれば学習の遅れは心配する必要なし」
2020年4月25日 11時34分スポーツ報知
9月新学期の話は、昔からちょいちょい出ていたのは覚えていましたが、課題が多すぎて実現不可能と思っていました。所がこの危機的状況を逆手にとって、いっそのこと9月新学期制度を導入しては...という提案は、個人的には大賛成です。
P子「9月新学期制は、反対じゃなかった?」
よくご存じで。私は反対派です。そもそも外国の制度に合わせる必要もないし、企業の決算月が3月末というのも多く、メリットよりデメリットが多いと感じていました。特に卒業・入学シーズンの桜は見事なので、もったいないじゃないですか?映像的にも感動的だし...
逆に言えば、その程度の反対派だったので、9月入学制に切り替えるには絶好のチャンスと言えるでしょう。どうせなら企業の決算月も、8月末にしてしまえば、4月~8月は、なかった事にしてうやむやにできる...かもしれません。
P子「どさくさ紛れにうやむやにするのが好きよね」
スパイ映画では、弾薬庫を爆破した隙に、本部に忍び込んで人質を救出したり機密書類を盗んだりします。コロナでてんてこ舞いしている今こそ、どさくさに紛れて一気に9月入学制にするのは、有りだと思いました。
この考え方、エセ理想論なのか、シン理想論なのか...
ほな、さいなら
4.「9月入学論」に追記(4月29日 15:00)
こういう記事を見つけました。
https://news.infoseek.co.jp/article/hochi_20200429-OHT1T50019/
前川喜平氏「9月入学論」に「無責任な議論が横行」「文科省で過去に何度も検討」と明かす
スポーツ報知 / 2020年4月29日 8時30分
「無責任な議論」と言われちゃ、黙ってはいられません。
P子「どさくさ紛れにうやむやにするって、無責任発言じゃなかったの?」
ここでは、いかにも正論ぽい「出来ない言い訳」を並べてるのにカチンと来ただけです。
1.「文科省で過去に何度も検討」
なるほど。文科省では、首相が学校の一斉休校を要請したり、会社の自宅待機を要請して、市民が出歩かなくなるこの事態を何度も予測していたという事ですね。すごい予知能力です。
2.義務教育の年齢を『6歳から』でなく『6歳5か月から』に変えることになる。もし来年9月の新入生を6歳に戻すなら、来年の4~8月に6歳になる子も加わるから、この学年だけ人数が4割超多くなる」と解説
なるほど。法改正が必要なら、時限付きで行えばよいだけでしょう。例えば、従来通り4月1日付で6歳になっていた場合はとか...
それに、同年齢同学年と言う発想も切り替えてはどうかと思います。いわゆる飛び級ですね。または、科目別能力別クラス編成と言うのもありかもしれません。
この議論は、別に行わないとこれだけでも結構大変です。
3.来年から大学を全部9月入学にすると、来年の新入生の検定料、入学金、授業料の入金が5か月遅れになる。私学財政には大打撃だ。当然補償が必要になる。
なるほど。すでに一部では、休校分の学費を返して運動も起こっています。
そもそも、今年だけ、3月卒業ではなく、8月卒業にすればいいんです。ただし授業料は休校にした分は返金すればよく、(でも8月までの授業料は入るわけで)間のやりくりは、当然補償すればいいんです。
https://www.kyoiku-press.com/post-215553/
高校授業料、免除を 保護者対象民間調査、6割以上で減収に 新型コロナ禍
2020年4月27日
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20200423-00174838/
「#学費返還運動」に苦慮する大学~就実・明治学院は神対応も
4/23(木) 12:23
今は、平時の思考ではなく「どさくさ紛れにやっちゃえ」という思想で考えてみては?ということです。
これは「無責任な議論」ではないと思いますよ。
https://hochi.news/articles/20200429-OHT1T50025.html
尾木ママ「9月入学制」への議論で文科省へ提案「今は異常事態 平時の議論ではありません!」
2020年4月29日 7時48分スポーツ報知
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「話をそらさない。まだ『正論』論を繰り返す気?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
※2 思ってたよりも長引くのは...
https://www.asahi.com/articles/ASN4H3SY1N4HUHBI00G.html
「外出自粛、22年まで必要」 米ハーバード大が予測
2020年4月15日 11時49分
※3 国民の命や財産を守りたい
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58067590V10C20A4CE0000/
「対策ゼロなら40万人死亡」 厚労省クラスター対策班
2020/4/15 11:10
コメント
勝ち逃げ先生
ちゃとらんさん
ぼく自身も山無駄さんのコラムは気に入っているのですが、ぼくのスキルではどう頑張ってもトリックアートネタに紐付けることが出来なかったのです。。。ですので、個人的にはこのコラムでスッキリしました。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
あと、こちらも個人的な話ですが「紅鯨団」はツボりました。(笑)
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
いやいや、あの、トリックアートネタは、素晴らしかったと思います。
良くある(私が良く使う)コインの裏表とかいう表現より、ずっとインパクトがあり判りやすかったです。
# 絵画系のは良くありますが、漢字でああいうのは初めて見ました。ありがとうございました。
山無駄
どうも、ちゃとらんさん
わかりやすい説明ありがとうございます。
理想って、大きく2つの意味があるみたいです。
1.人が心に描き求め続ける、それ以上望むところのない完全なもの。
そうあってほしいと思う最高の状態。「理想を高く掲げる」⇔現実。
2.理性によって考えうる最も完全な状態。また、実現したいと願う
最善の目標あるいは状態。
1はおそらく、個人の理想。個人が勝手に思うところだから、理性など
は必要なく、妄想と区別はあまりないのかと。
2はおそらく、集団の理想。集団の場合は、その理想を共有しないといけ
ないので、説明し、理解してもらい、共感してもらわなければなりません。
だから妄想ではだめなのでしょう。
「理想論」は、論の言葉がついていることで、誰かに説明することを前提
としていますので、2の意味が必然。でも、1の意味の理想を語りたい人
も中にはいて、でもそこに理性や思考はないので誰かに伝わるわけではない
ので、本来ならば論という言葉はつかないはずなのに、つけてしまったので
エセ理想論。そんなことを考えてみました。
9月入学論、私も少し思うことがあり、時間ができれば別途コラムにまとめ
てみようかと思っております。シンか、エセかは、またその時に。
TO:勝ち逃げ先生 さん
ちょうど、在宅勤務ネタで何か書こうと思っていた先に、「正論を武器にす
る人間が、仕事が出来ない本当の理由」を拝読し、コメント書きながら在宅
勤務と正論ネタを融合させることを思いつきました。
いわゆる、便乗です。どうもありがとう。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
なるほど。個人の理想→妄想と、集団の理想→皆で共有するために説明が必要… この視点も判りやすいですね。
論理的に正しい事でも、自分だけが納得して進めたい事と、皆で同じ目標に向かって進むために、きちんと説明と理解を取り付けていく…感じでしょうか。
今後、何かを『論じる』時には心がけていく必要がありそうです。