今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

070.正論を語れない人間が、仕事が出来ない本当の理由

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初回:2020/04/15

1.今日は在宅勤務です。

P子「話をそらさない。また喧嘩する気?」(※1

 最初はそのつもりでしたが、目指すべき方向は同じようなので残念ながら喧嘩にはなりそうもありません。

 https://el.jibun.atmarkit.co.jp/kachinige/2020/04/post_5.html
 一部抜粋します。

 「どうやったらその理想に近づけるかを一緒に考えましょう」と優しく言えばOKです。 ・・・ 理想論を共通目標として掲げ、同じ方向を見て突き進む努力をするよう、気づきを与えるのです。


 さて、まずは復習から。

 正論とは「道理にかなった正しい意見や議論」または「問題に対する最適解」

 理想論とは「現実の状況は考えに入れず、理想だけをいう意見や主張」

 言葉の定義をごちゃごちゃ考えるのは止めときます。まずは「理想論」がなぜ必要なのかという所から入りたいと思います。

2.「理想論」を語れないことがダメな理由

 私の好きな言葉の中でも、この松下幸之助さんの逸話が特に好きです。

 https://www.gqjapan.jp/life/business/20110530/2423
 3%のコストダウンは難しいが、3割ならばすぐにできる

 要約すると、毎年、3%のコストダウンを求められていたが、ある年のこと、突如「3割、安くしてくれないか」と相談されたが、担当の事業部は無理だと判断し断ることにしたが、松下幸之助氏は「まあ、よく考えろ」と諭したという。

 「3%だったら、今までの延長線上でコストダウンを考える。しかし、3割下げるには商品設計からやり直さなければならない。そうだとしたら、3割は無理ではない。やってみよう」

 つまり「現実の状況を考えずに、理想だけを追求」することで現状打破が可能になる事もあると思います。

 「今はこうしている」「昔からこうなんだ」「今さら変えられない」など出来ない理由はいくらでも出すことが出来ます。「現状の課題を解決し、より良い状態にすること」では打破できない壁があります。現実の状況を度外視して初めて技術革新が出来るのだと思います。

 誰もが納得出来る「正論」は「問題に対する最適解」ではない可能性があるという事を肝に銘じておく必要があると思います。

3.理想論を共通目標として掲げ、同じ方向を見て突き進む努力をする

 さて、話を戻します。

 Aさんは、理想論を武器に議論してくるしんどい奴です。Bさんは「理想論」を「正論」だと錯覚状態に陥っている参加者を味方に付けつつ、現実を理想に近づけるためにエネルギーを注ぎ続けます。

 AさんもBさんも、目指すところは同じで、同じく努力をします。

 AさんとBさんの違いは何でしょうか?

 Aさんは『主体となり』『自分の理想に近づける為』に努力します。Bさんは『従属して』『しんどい奴との議論を避けたい為』に努力します。

 ただし、Aさんの要求は、Bさんにとって理不尽、無理、不可能と思える内容かも知れません。Aさんにとっては自分のやりたい事であり、あの手、この手で実現方法を模索します。

 Aさんの仕事とBさんの仕事、どちらがやりがいのある仕事でしょうか?

 さらに、もう一つ。

 Aさんの様に理想論をぶち上げて実現しようとすると、色々な現実の壁にぶつかります。それらを乗り越えるには、現場をよく知る人に話を聞いたり協力を求めたりすることもあるでしょう。ですが、実現すれば大きなブレークスルーになります。

 BさんはAさんのような外部からの圧力が無ければ、ずっと既存のやり方に捕らわれて改善を積み重ねるだけで終わる可能性があります。最後にはどうしても乗り越えられない壁にぶち当たる事でしょう。その時に、Aさんのような人が現れるのを待つか、自身がAさんの様な存在になるしかありません。

 つまり「理想論」を語れないBさんでは、ダメってことです。

P子「そういうことが『理想論』じゃないの?」

4.間違った「正論」には正しい「正論」で立ち向かうべき

 ここで一つ注意が必要です。間違った「正論」をぶち上げて実現しようとする人がいます。特にその人が上司とか権力者の場合は、やっかいです。

 例えば「在庫を無くそう」という「正論」っぽい理想論があったとします。「かんばん方式」なら在庫を減らすことが可能でしょう。これを究極まで推し進めたい...みたいな感じです。
 現実では部品供給が遅れればラインが止まり、生産量が増えれば(受注が急増すれば)在庫不足や生産ができない(機会損失)が発生します。在庫をなくす一番手っ取り早い方法は、受注生産でしょう。しかも、受注してから部材の調達を行えば、納期は遅くなりますが在庫は不要になります。

 私はTOC (theory of constraints) =制約条件の理論が好きです。

 これは、簡単に言うとスループットを最大にしようという事です。「受注日に納品」とかそういう目標になるのでしょうか?納期を最短にする一番手っ取り早い方法は、標準品を作り置きしておき受注即出荷する方法でしょう。在庫は増えますが納期を最短にすることが可能です。

 「問題に対する最適解」を考える場合、何が問題なのかをきちんと見極める必要があります。在庫が多い事が問題なのか、納期が長い事が問題なのかによって、最適解が異なってきます。

 この問題のテーマは、在庫削減でも納期短縮でもなく、その先の「顧客満足度を上げたい」という事だとすれば、より顧客の要望に近い「納期短縮」を目標にすべきでしょう。

 つまり「在庫を無くそう」が、間違った「正論」であり「即日納品」を目標にするのが、正しい「正論」だと私は思います。

P子「じゃあ、在庫をいっぱい持てばいいってこと?」

 それは、納期を最短にする一番手っ取り早い方法であり、誰でもできる事です。到達点にはなり得ません。手順としては、「現在の在庫を増やさずに」納期を短縮していくのが良いと思います。当然、並行して在庫削減には努めますが、納期短縮の優先度が高い(目標設定している)事を意識しておくべきです。

 例えば、製品を組み立てるネジが何種類もあれば(安全在庫の考えを考慮すれば)その分在庫が増えます。ネジを統一すれば在庫の削減は可能ですが、この対応では納期に直接影響しません。例えばネジを無くし、はめ込み対応にすれば、作業時間短縮と在庫削減の両立が可能です。

5.正論・理想論は、目指すべき方向を示す北極星のような存在だ

P子「いきなり、何を言い出すのかと思ったら」

 理想論は、あるべき姿というか到達点を示す方が良いと思います。時代の流れや技術革新などで手段は変わっていきます。そういう変化への対応は迅速かつ丁寧に行うべきですが、目指すべき方向がコロコロ変わるのは非常にまずい事です。

 先ほどの例であげた「即日納品」という目標であれば、Webで受注即工場ラインで組み立てが開始されドローンで宅配...など、手段は変わっても目標は変わりません。

 目標をさらに高みに持っていくために、積極的に変化を受け入れる組織になれば、素晴らしい事でしょう。

ほな、さいなら

P子「ちょっと待ったぁぁぁ」

 P子さん、ねるとん(※2)ですか?

P子「あなたが土曜日にコラムを書いてる間に、Horusさんが取り上げたわよ」

 またまた喧嘩になるかと思ったんですけど『正論』に対するニュアンスが異なるので私の先のコラムとは別物ですね。

 https://el.jibun.atmarkit.co.jp/horus/2020/04/post_155.html
 同様に、一部抜粋します。

 正論を武器にしている人というのは、言葉を武器にしている人です。 ・・・ 正論とは何でしょうか。私は多数決で決まるものだと思っています。

 私が先に書いたコラムでの『正論』のイメージは少数派の意見です。多数意見は「今はこうしている」「昔からこうなんだ」「今さら変えられない」という既得権を振りかざす意見の方です。

 もう少し分析すると『正論』とは、左脳(=論理的思考)では正しいと理解できても、右脳(=感情、直感)では反対しているような状況です。

 『正論』を左脳(=論理的思考)で説得しようとしても、現場は右脳(=感情、直感)で反対してくるので苦労するというのが、私の悩みです。

P子「ちゃんと傾聴しないからでしょ」

 そもそも説得するという考え方が反発を食らうのでしょう。

 ただ、勝ち逃げ先生さんも、Horusさんも、何となく『間違った「正論」』に苦労されている気がします。この『間違った「正論」』というのは、論理的には正しいのですが、目的が間違っているので努力が逆効果になってしまいます。これを、力でねじ込まれるとたまったものではありません。

 結局、仕事ができるかできないかは、目的を正しく設定できるかどうかと言う事なのかもしれません。

ほな、さいなら

======= <<注釈>>=======

※1 P子「話をそらさない。また喧嘩する気?」
 P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。

※2 ねるとん
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%82%93%E7%B4%85%E9%AF%A8%E5%9B%A3
 ねるとん紅鯨団
 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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