警備室のモノクロモニタに映し出されているのは、2人の男性が言い争っているシーンだった。防犯カメラの解像度が低い映像だが、武田さんと久保さんであることは、本人たちを知っていれば見分けはつく。少し見ている...

きっとそれぞれの心の中では、それぞれの思いや葛藤があったのだろうが、週が明けたとき、第2開発課の雰囲気は少なくとも表面的には、元に戻っていた。3バカトリオはいつもの議論を就業時間中に平気で繰り広げるよ...

「申しわけないですが」アツコさんが乾いた声でつぶやくように言った。「夢物語にしか感じられません。あまりにも理想論すぎて、現実感が感じられないんです」「ほう？」五十嵐さんは笑顔のまま答えた。「現実感ね」...

手が挙がった。「私は部外者ですが」アツコさんは五十嵐さんを見つめながら、やや固い声を発した。「質問してよろしいでしょうか？」私は秘かにアツコさんに感謝した。守屋が言っていたように、五十嵐さんの意図はと...