「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

人生100年時代に求められるITとは

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 COURRiER JAPONの9月号を読んでいたら、日本人の平均寿命が将来107歳になる、というようなことが書かれていた。織田信長は「人生五十年」と言っていたが、どうやら我々は近いうちに戦国武者たちの倍の寿命を手に入れることになるらしい。

■平均寿命より健康寿命

 「Ageing populations: the challenges ahead」の2ページ目Table 1を見ると、確かに2000年生まれの日本人の平均寿命は104歳、2007年生まれだと107歳となっている。20世紀生まれのわたしの世代だともっと低いのだろうが、数日前のニュースによると、去年の日本人男性の平均寿命が初めて80歳を超えたという。わたしもまだまだ先は長いようだ。

 しかし、本当に重要なのは平均寿命ではなくて健康寿命だ。健康寿命とは、何歳まで介護を必要とせずに生活できるか、ということ。2010年の時点で、日本人の平均寿命と健康寿命の差は男性で9.13年、女性で12.68年。つまり、人生の最終段階で、10年くらいは要介護の状態を余儀なくされているということになる。

 もちろんこれは平均の話なので、個人差は大きいだろうが、今後のために覚えておいた方がいい情報ではないだろうか。

■最大の敵は生活習慣病

 厚生労働省によると、2013年の日本人の死因トップ3はがん、心疾患(狭心症や心筋梗塞)、肺炎。4位の脳血管疾患(脳梗塞、クモ膜下出血など)も含めてほとんど生活習慣病で占められている。肺炎に関しては、最近の傾向では誤嚥性肺炎の増加が著しいようで、これは脳梗塞の後遺症で飲み込み能力が低下するのが原因となるなど、ここでもやはり生活習慣病の影響が大きいようだ。

 また、要介護の原因トップ3は脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱。認知症も、高脂血症や高血圧により悪化する動脈硬化が原因となる脳血管性認知症はもとより、アルツハイマー型認知症も、糖尿病によるインスリンの増加によって原因物質「アミロイドβタンパク質」が脳内に蓄積しやすくなるのだという。いずれにせよ、生活習慣病との関係が深い。

■生活習慣病にどうアプローチするか

 そんなわけで、人生100年時代を生きる我々の敵は、生活習慣病だといえるだろう。

 その生活習慣を改善するために必要なものとしては、

  • 適度な運動
  • 禁煙
  • 食事内容を見直す
  • ストレス解消
  • 十分な睡眠

 などが挙げられる。

 これらに対して、ITはなにができるだろうか?

 例えば、トレーニングをサポートする様々なアプリが存在する。中には生体センサーを搭載したデバイスと連携して血圧、体温、心拍数、呼吸数、呼吸量、消費カロリーなどを表示できるものまである。

 体重や体脂肪などを記録できる健康管理アプリや、快適な睡眠をサポートするアプリもある。さらには禁煙をサポートしたりストレス解消をサポートするアプリまであるらしい。効果のほどはわからないが。

■もっと根本的なものが必要

 しかし、ここではそういうアプリやデバイスをもっと進化させよう、と言いたいわけではない。結局のことろ、そういったデバイスやアプリを使うのは、生活習慣を改めようと思った人だけだ。大切なのは、そう思わせること。

 例えば厚生労働省が2014年2月に行った調査では、「健康寿命」という言葉を知っているのは2割にとどまったという。

 ITの力によって、情報はさばききれないほど世界中に溢れている。しかし、本当に必要な情報が必要な人に届いているかというと、残念ながらそうではないのが現状だ。

 我々エンジニアが本当に考えるべきなのは、小手先の便利ツールのアイデアではなく、もっとシンプルに大切な情報を、必要とする人に確実に届ける仕組みなのではないだろうか。

Comment(2)

コメント

仲澤@失業者

2020年8月8日付けホイター電
厚生保健省は20歳以上の国民全員に「保健時計」を配布すると発表した。
配布実施は2021年度からで各地方自治体が担当する。
この時計は装着者の生体データと活動記録を取得して省に転送。
省はそのデータを元に高度な分析を行って結果を時計に返送する。
内容は主に生活習慣や食生活に対するアドバイスであるが、
明らかな疾病やその兆候を捉えた場合は本人のに対して病名、
対応可能な病院等を知らせる機能を持つ。
省ではひきつづき国民の健康を守るために最大限の努力をしていくとした。
しかし、識者の中には計算結果の中に高精度の算定余命や、
疾病罹患確率等があるため、個人情報流出に対する懸念が広がっており
中にはこれは国民の生死を管理するための余命時計ではないかと、
指摘する声もあがった。

・・・みたいなことを想像しました(笑)。

onoT

仲澤さん
ものすごく詳細で具体的なご想像、ありがとうございます(笑)
実際、こういうテーマを考えると、「じゃぁ、個々人が必要な情報をどうやって判断するの?」というところからガチガチの管理社会を連想してしまいますよね。
そこが難しいところなんですけど、この「ガチガチの管理社会」というのをなんとか再発明できると面白いなぁ、なんてことを妄想したり。。。

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