レスポンシブの達人
『レスポンシブ』というイマドキなキーワードに惹かれてこのページを開いた方にとっては残念なお知らせだが、ここには『レスポンシブWebデザインのノウハウ』といった類いの情報は一切存在しない。ここで展開されるのはサイトをレスポンシブにする話ではなくて、人間をレスポンシブにするという話だ。
■レスポンシブというスキル
レスポンシブとは「敏感である」とか「反応が良い」といった意味だ。エンジニアにとって、これは非常に大切なことだといえる。
例えばソースコードや設定ファイルから不吉な匂いを敏感に嗅ぎ取る。これは仕事の品質を上げるには欠かせない。また、チームメンバーやステークホルダーの態度から、プロジェクトの状態を敏感に嗅ぎ取る。言い換えれば空気を読む能力だ。これはチームプレーに欠かせない。
そしてなによりも、自分自身が相手からの質問や問い合わせに対して素早く反応すること。不明点やリスクに気づいたら、自分からアラートを上げること。このようなスキルは、チームやステークホルダーに対して、確実にそのエンジニアの価値を高める効果がある。
このように、エンジニアにとって自分自身のレスポンシブ化は、なによりも大切なスキルだといっても過言ではないのだ。
■もうひとつ上のレスポンシブ
ところで、あなたは反抗期を経験したことはあるだろうか。もしあるならば理解していただけると思うが、反抗期には『親や教師など一部の人間に対してまったくレスポンシブでなくなる』という大きな特徴がみられる。しかし、すべての人に対してではない。いつもつるんでいる友だちにはレスポンシブだし、学校にひとりくらいは、仲のいい先生がいたりもする。
だとすると、反抗期の少年少女側だけに問題があるわけではないと考える方が自然だ。つまり、接し方ひとつで相手をレスポンシブにも、その逆にもできるということなのだ。
業務システムを開発する際に、敵意と警戒心を露骨に示す現場の人たちに出会うことがある。しかし、彼らが心を閉ざすか開くかは、実はわれわれの接し方でも変わってくるのだ。
では、どうすれば相手の心を開きレスポンシブ化することができるのだろうか。その答えは、自分の中にある。あなたはどんな接し方をされたときにレスポンシブになるだろう。その反対の気分になるのはどんな接し方をされたときだろう。
まずは自分をいつもレスポンシブにしてくれる人を見つけて、その人のマネをするところから始めるのがいいだろう。なかなか難しいスキルだが、だからこそ、このようなスキルを身につけたエンジニアは無敵だ。
ぜひとも、あなたもレスポンシブの達人を目指してみてほしい。