品質の良し悪しは顧客が決める
スーパーの生鮮食品売り場には、カタチのいい野菜や果物ばかりが並んでいる。こんなにキレイなものばかりが並んでいると、これらの作物は畑で作られたものではなく、工場で大量生産されている規格化された工業製品なのではないかと疑ってしまいそうだ。
■一般消費者の求める品質
多くの消費者にとっては、野菜や果物の品質で大切なのは、カタチの良さと、虫がついていないことだろう。月末になると、安いことが最優先になったりする。その場合はカタチの悪い『ワケあり品』や少し鮮度の落ちた値下げ品コーナーを徘徊したりする。ニュースで話題にならない限り、安全性は優先順位が低いのが一般的だ。
一方、食物アレルギーを持つ人に取っての品質とは、自分や自分の家族が口にできない成分が含まれていないことが第一条件となる。多少値が張っても、安全性にこだわることになる。
■特殊な品質を求める場合もある
江戸時代の一時期、江戸っ子たちの間で初がつおフィーバーが起こったことがあったらしい。しばらく待てば安く手に入るのに、周囲より少しでも早く食べたいがために、高い金を払って市場に出回り始めたばかりの高価なかつおを求めたという。この話は、新製品が発表されるたびにAppleStoreに何日も並び続ける人たちとオーバーラップして、なんだか微笑ましい。彼らは、間違いなく江戸っ子のDNAを受け継いでいるのだろう。
このように、同じモノでも人によって求めるものが違う。場合によっては味とか機能とかの実用的な価値には見向きもせずに、見栄を満足させるという点に品質を求めたりもする。
■まず、求められる品質を明確にしよう
プロジェクトの最初の段階で要件を明らかにする際に、機能にばかり注目して非機能的な要求を明確に顧客から汲み上げないまま進めてしまうことがある。経験豊富なエンジニアだからといって油断はできない。逆にこれまでの経験のフィルターでモノゴトを見てしまい、非機能要件の確認を怠ってしまう場合もある。
どんなに優秀なQAチームも、顧客の求める品質がわからなければどんな製品に対しても品質を保証することなどできない。たとえ設計者が求める品質を保証したとしても、それが顧客の求めるものと乖離していたなら、まったく意味がなくなるのだ。
まずは顧客の求めるモノを理解しよう。話はそれからだ。