トラブル時の対応次第で、ヒトは不安にもファンにもなる
先日、身内が体調を崩して医者にかかったのだが、その後MRI検査をすることになって別の大きな病院へ紹介状を書いてもらった。紹介先の病院で検査を受けた後、元の医者に渡して診断してもらうようにと検査結果のデータをCD-ROMで手渡された。そこでそのCD-ROMを持って最初にかかった医者に行ってみると、そのデータを見るためのソフトウェアがないという。
「なん・・・だと・・・」
■意識合わせができていないではないか!
その医者の話では、紹介した病院で検査だけでなく診断までしてもらうつもりだったらしいのだが、紹介状を受け取った側ではそうは思わず、自分のところでは検査データを作成するところまでだという認識だったようだ。
なんということだろう。患者であるわたしの身内は紹介状作成料金とMRI検査料金を両方の病院から取られた挙げ句、診断結果は不明のまま、自分ではどうすることも出来ないCD-ROMだけが手元に残ったというわけだ。
しかも恐ろしいことに、検査をした病院に診断をしてくれるように電話をしてみると、正規のルートでないので予約さえさせてもらえなかったという。現在、元の医者に再度紹介状を書いてもらい、もう一度予約を入れてみようとしているところだ。(紹介状の作成にはまた金がかかる!)
■典型的なコミュニケーション不足
話を聞いただけでわたしはブチキレ寸前だ。病院の名前とか、ここに思いっきり晒したいという衝動に駆られてしまうほど頭に血が上っている。しかしまぁ、ここはグッとこらえて名前は伏せたまま、コラムのネタにするにとどめて置こう。
問題点は明らかだ。いうまでもないことだが、患者であるわたしの身内の過失ではない。医師間での情報伝達に問題があったのだ。まず、作業範囲が明確になっていない。検査結果情報の受け渡し方も明確になっていない。相手が読めない形式でデータを渡すということは、今回が初顔合わせだったのだろう。にもかかわらず、相手の環境も確認せずにデータを渡すとは。
■リカバリもお粗末
データを読めなかった医者側の対応も問題がある。自分のところで検査結果のデータが読めないのなら、なぜその場で検査をした病院に連絡を入れて、診断までやってもらうなり、自分でも診断できるように検査結果をプリントアウトしてもらうなり対策を協議してトラブル解消のための対策を取らなかったのか。
問題が発生したとき、患者が一番欲しいのは安心感だ。それは、いつまでにどんな対策を取るかというリカバリ案を示すことに他ならない。それさえできれば、トラブル時にも頼りになる尊敬すべき先生だと評価されるだろう。
しかしその医者はそれを怠った。だから不安になった患者が両者に電話をかけまくって、自分主導で対策を講じることになったのだ。ていうか、それ、患者がやることか?
■トラブル時の行動がヒトの評価を左右する
今日はずっと医者の話をしてきたが、いうまでもなくダメな医者を弾劾するのが趣旨ではない。これまでの話をパートナー企業と恊働でプロジェクトを進めているエンジニアに置き換えて考えて欲しい。『パートナー企業との間がうまくいかずにクライアントに迷惑をかける』というシチュエーションは、残念なことに多くの現場でかなり頻繁に発生しているのではないだろうか。
トラブルはできれば避けたい。それは誰だってそうだ。だからトラブルを未然に防ぐために、パートナーとのコミュニケーションも日頃からしっかりと取っておかなければならない。
しかし発生してしまったトラブルは、なかったことにはできない。だからもし発生してしまったなら、それを最大限利用することを考えよう。相手を不安にするか、それとも相手が自分のファンになってくれるか。トラブル対応はその分かれ道なのだ。
コメント
ardbeg32
とはいえ、現実にマルチベンダユーザーでベンダ間の谷間でトラブルが生じた場合、うかつに「うちがやります」なんて言おうものなら果てしなく費用の持ち出しが発生する恐れもあるわけで。
ましてやユーザーの方が話のわかる人ならともかく、一方的に悪者にして実費すら支払おうとしない(というか医療業界ではそうやって業者を泣かせてナンボというのが通例)場合は親切が仇となりかねません。
問題の件は、普通CDにビューワーソフトを入れておくか、紹介元に閲覧環境があるかをMRI検査した病院のほうが確認するものなんですけどねぇ。
onoT
そうですね。下手に自分の首を絞めると、それが廻り廻って結局ユーザーにも余計に迷惑をかける結果にもなったりするので、そのあたりもちゃんと考えて行動することは当然必要となりますね。
問題の件、普通はそうですよね。ちょっと信じられない話ですよね...