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データサイエンティストは占い師の職を奪うか?

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 「ウェブ・モバイル・ウェアラブルと時代が進む中で、われわれは自分の個人情報であるライフログを次から次へとデータ化することに夢中だな」。先週、わたしはそんなことを考えながらCEATECの会場を歩いていた。

■ライフログは何のため?

 ライフログの使い道は、大きく分けて2種類ある。

 自分で自分を知るためのものと、他人に自分を知ってもらうためのものだ。

 健康管理のためのライフログは前者の代表だが、これとて家族や友人、あるいは医者などに見せるという後者的な使い方もされる。なお、最近は自分だけでなくペットの健康までチェックできてしまうソリューションまであるのだから恐れ入る。

 そしてもうひとつ、圧倒的に多いのが後者の使い方だ。

 食べたもの、入った店、買ったもの、行った場所、聴いた音楽、覧た映画やテレビ番組、読んだ本、知ったニュース、会った友達、楽しかったこと、驚いたこと、ムカついたこと、悲しかったこと、思いついたこと、感じたこと…

 それらはすべて、ヒトに知ってもらうためにせっせとネットに公開される。

■ライフログが人を迷走させる

 しかしこれらの膨大な情報のほとんどは、有効活用されることなく一瞬にしてタイムラインの彼方へと消えていく。

 ヒトの興味はたかだか直近数時間のタイムラインだけ。長期的な視野でものごとを見るヒマはなかなか持てないのが現状だ。

 自分の周囲の人々も同じように忙しく自分の存在をアピールするし、それらの目先の情報に影響されて、日々の行動は迷走を続けることになる。

 もちろん、さまざまなライフログを集約する方法はある。Evernoteに送ったりして、毎日振り返りを欠かさないような意識の高いヒトもいる。

 しかし、それはほんの僅かな、どちらかというと例外的なヒトだろう。

 多くのヒトは、今日も膨大なライフログに押し流されて、刹那の感情に身を委ねて迷走を続けているのだ。

■データはある。あとはそれをどう活用するかだ。

 そんな人々の迷走にブレーキを掛けてくれるような仕組みを、われわれIT業界の人間はもっと提供する必要があるのではないだろうか。今よりもっともっと手軽な仕組みだ。

 現在、ビッグデータは企業が消費者の行動を分析したりしてマーケティングに活用する方向で普及しているが、個人が自分のライフログを解析してみると、きっと占い師から得られるよりも多くの気づきを得られるに違いない。

 しかし、やはりデータを読むにはそれなりの知識が必要となる。そこで、個人向けのデータサイエンティストなんて商売も、面白いかもしれない。次世代の占い師だ。

 統計解析手法に精通しつつ、社会学・心理学の知識も必要となるだろう。もちろん、個人情報に対する高い意識と守秘義務をきっちりと履行できることも必要だ。しかし、これはなんともセクシーな職業ではないだろうか?

 近い将来、特定の個人のデータを解析するプラットフォームを構築して、次世代の占い師を目指すヒトが出現することに期待したい。

Comment(6)

コメント

abekkan

面白い話ですね。

データーサイエンティストは、まずは企業が新人を採用するときの調査に使われそうですね。ネットで呟いてたらプライバシーなんて無いようなものだから、やろうと思えば他人のことでも分かってしまう。他人に勝手に解析されたら怖いな!

onoT

うわ。採用時の調査とか怖いですね...

Twitter占い師とか出現して、ある日つぶやいていたら「これこれ、おまえさん今悩んでおるじゃろ?」とかメッセージが飛んで来たらどうしよう?(震)

いすか

90年代末期のある小説で、「表向き占い師のババァ(水晶占いをしているという名目)だけれど、実は凄腕の情報屋(今でいうビッグデータから顧客の必要な情報をピックアップして流してくれる)」というキャラが登場してましたなあ。
占いに使う水晶の中にモニタが仕込まれてて、っていう。ババァだったんでそういうセクシーからは程遠いですが、職業としては確かにかなりセクシーかも知れませんねー。

レモンT

うーん、どうなんでしょ。占い師っていうのは客がそうあってほしいと望む事(多くの場合は事実と異なる)を客観的な事実であるかのように粉飾して語ることが本分ですから、客観的な事実(多くの場合客にとって望ましくない真実)を語るデータサイエンティストを待っているのは、現代における『カサンドラの悲劇』でしかないような気もします(いや確かにカサンドラも占い師(予言者)ですが、だからこそ占い師は彼女の轍を踏まないように行動するわけで(苦笑))。

onoT

>いすかさん
90年代末にそんな小説がありましたか。
その作品、読んでみたくなりました!

>レモンTさん
なるほど!
占い師も、顧客志向と技術志向に分かれるんですね。
これまた興味深い。

いすか

> onoTさん
後池田真也「ヘヴンズ・ルール」(角川スニーカー文庫)です。今でいう「ライトノベル」のジャンルではありますが、刊行当時ではまだ形すらなかった3Dプリンタの様なものが出てきてたり、「モバギ」なるPDAが出てきたりなどなど、IT方面の方なら今でも割と楽しめるんじゃないかなって気はします。
作者がIT業界の方だったらしいですがw

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