「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

知的エンジニアライフの方法 (2)座り方

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■エンジニアは人生の大半を座って過ごす

 ITエンジニアに限ったことではないが、一般的にホワイトカラーは1日の大半を座って過ごす。肩や首の凝りは慢性化するし、腰痛にも悩まされる。いうまでもなく、長時間座り続けることがこれらの原因の少なくとも1つであることは、ほぼ間違いないだろう。

 そう考えると、われわれは座り方にもっと目を向けてもいいはずだ。つまり、知的エンジニアライフの第1歩は、座り方に気を使うことなのだ。

■人生いろいろ、座り方いろいろ

 少し職場を見渡してみよう。世の中にはさまざまな座り方があるものだと感心してしまう。足の組み方1つとっても、多様な流派があるようだ。片足であぐらをかくような、まるで広隆寺の弥勒菩薩像のような座り方をしている人も見かける。思わず、火のついたプロジェクトをお救いくださいと拝みたくなるではないか。

 腰かける位置もいろいろで、浅く掛ける人もいれば、深く掛ける人もいる。イスからずり落ちそうなほど浅く掛けて、向かいの席からはまったく姿が見えないのに、キーボードを叩く音だけが聞こえるなどという人もいる。

 そうやって長時間座って疲れるのを、イスのせいにする人が多いが、それは間違いだ。いや、確かにそういう面もあるのだが、しかし、イスだけのせいにできないことは、職場の同僚たちの座り方を観察すればすぐに気が付くはずだ。あなた自身の座り方も、ひょっとしたらひどいものかもしれない。

■重力を意識しよう

 皆さんは自分の頭の重さをご存じだろうか。個人差はあるだろうが3~4kg、あるいは5~6kgともいわれている。また、腕の重さも片方3~4kg以上はあるという。3kgにしたって結構な重さだ。それだけの重さのものを、首や肩で支えているのだ。そして、上半身は全体重の60%の重さを占めているとか。65kgの人なら39kgを腰で支えていることになる。

 手で3kgのダンベルを持つことを考えてみよう。腕を肩から斜め上に伸ばした状態で3kgのダンベルを持ち続けると、どうなるだろう。わたしなら、すぐに筋肉がプルプルといい始める。しかし、前かがみでノートPCに向かっている時、首はまさしくそれをやっている。そしてキーボードを叩いているとき、もしも肘や手首が空中に浮いた状態なら、肩は左右それぞれ3kgの重さに耐え続けているというわけだ。ムリな姿勢で座っているときの腰の負担を考えると、気が遠くなるではないか……。

■ラクなポジションを見つける

 ヨガの根本経典といわれている『ヨーガスートラ』によると、「座法(アーサナ)は安定していて、快適なものでなくてはならない」と記されている。もともとヨガは座って瞑想することが中心だったらしいので、長時間座って瞑想を続けられるように、安定して快適な状態が求められたのだろう。

 達人は、悟りの境地に到達するために、まず快適な座り方を求めているのだ。われわれも、座り方が定まって安定して快適なものになってこそ、知的エンジニアライフをエンジョイできるようになるといっても過言ではない。

 しかし、王侯貴族でもないわれわれがオフィスのイスの座り心地に文句を言ったところで、召使がアーロンチェアを買って来てくれたり、座り心地の調整をしてくれることはあり得ない。そんなことより、自分の頭や腕や上半身の重さを意識して、それを少しでもラクに支えられるポジションを自分で探してみる方がよっぽど生産的だ。

■バランスを感じよう

 重いものを持つとき、最もラクなのはバランスが取れた位置でそれを支えている状態だ。例えば、バケツを持つなら手を前に突き出して地面と水平にしているよりも、真下に下ろしている方がラクに決まっている。バランスが取れている時には、そのポジションを維持するのにあまり力は必要としない。

 バランスが取れているかどうか分からないときには、肩の力を抜いてみるといい。脱力してみてはじめて、自分が今までどれだけ力を入れて緊張していたかに気づくし、バランスが取れていなければ力を抜くこと自体ができない。モニターの端にでも「脱力!」と書いた付箋を貼っておいて、それが目に入ったら脱力するようにしてみるのもいいだろう。
 また、アームレストやイス用のクッションなど、ちょっとしたサポートによって驚くほど効果を発揮するものもあるので、それらも検討してみるといい。

■1つのポジションにこだわらない

 最後に1つ。快適なポジションを見つけたからといって、それにこだわるのは良くない。じっとしていると、どうしても身体が固まってしまってコリが生じる。

 目が疲れるのも、長時間モニターを見続けていると目のピントを合わせる毛様筋という筋肉が緊張したまま固まってしまうからだ。「たまには窓の外を眺めろ」と言われるのは、この毛様筋を動かしてコリをほぐすのが狙いなのだ。

 同様に、肩や首や腰を守るためにも、バランスに気をつけながら、適度にポジションを変えて筋肉が固まるのを防ぐことが肝心だ。皆さんも、ぜひとも自分にとって快適な座り方を追究して欲しい。

Comment(4)

コメント

仲澤@失業者

座り方。重要ですね。
自分は椅子の上であぐらをかいてます。やや後ろに傾き、
体重の一部を背もたれに託してます。
この姿勢が定着してからは、目の疲れも肩のコリも感じたことはありません。
新人君に教える時は
 1.前傾になっては「絶対に」いけない(やってるやつは後ろから殴ります)。
 2.モニター中央が目の高さより高くてはいけない。
 3.キーボードを打つときは手首を上げない(やむをえない場合を除く)。
 4.マウスを動かすときに手首を上げてはいけない。
 5.用のないときにはキーとマウスから手を離す。
の5つの基本を守らせてます。

TASUKU

弥勒菩薩様は56億7千万年後の末世を救う為に、控えておられる方なので
残念ながら、今現在、火の付いたプロジェクトをお救いすることは
無いかと...。(笑)

nsh1960@twitter

自宅では座椅子と低いテーブル(ちゃぶ台の高さ)ですが、5本足のオフィスチェアとキーボード・モニタ(含むノートPC)と向かうときはまるで座椅子の背もたれの位置が意味を持たないのですね。中座するために膝腰脚にかかる負担も大だし、逆に着席開始から座席のベストポジションが決まるまでの時間も余計かかるし。姿勢が固まり易いので身体のあちこちが凝って痛くなるし。
あくまでオフィスチェアに座っての軽作業との対比限定ですが。

onoT

>仲澤さん
どうもありがとうございます。
基本の5.は見落としがちですけど、重要なポイントですね!

ちなみに私も、特に集中してコーディングしているときなどは、少し後傾してあぐらをかくことが多いです。行儀悪くみられるんですけど、腰への負担が少なくていいですよね。

>TASUKUさん

そうですね。未来仏なので仕方ないのでしょうけど、弥勒様にもアジャイルな手法を取り入れて頂きたいところです。。。

>nsh1960さん

なるほど、座椅子にちゃぶ台の高さのテーブルですか。私は自宅でもそういう環境ではないのでよくわかりませんが、椅子と座椅子では座り方も違うものなのですね。そういえばウチにはコタツもないのですけど、冬には自宅でコタツでノートPCっていう人も多いですよね。
そういう人たちは、コタツでの楽な座り方というのもマスターしているのでしょうか。

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