面接なんて、ファイブミニッツあればイナフさ
■面接は当てにならない
多くのIT企業において、最も悩ましいもののひとつとしてエンジニア採用の問題が挙げられる。
この時代、頭数をそろえるだけならそれほど難しくはないだろう。しかし本当に欲しいスキルを持ったエンジニアを採用するのは至難の業だ。履歴書や職務経歴書などは当てにならないし、通常の面接で1時間話をしても、エンジニアとしての実力や適性を判断することは非常に難しい。
そこで今回提案したいのが「ライトニング面接」だ。イマドキのエンジニアにはおなじみのライトニング・トークス(以下、LT)を、面接のときにやってもらおうという話だ。
でもその前に、準備段階で使いたい「ペルソナ・シナリオ法」についても合わせて話をさせていただこう。どんなに素晴らしいライトニング面接を聴いたとしても、評価基準があいまいでは、結局のところ適切なエンジニアを採用することはできないだろうから。
■ペルソナ・シナリオ法
採用後に「こんなはずでは……」と思ってしまうのは、多くの場合、組織に必要なエンジニア像が明確に定義されていないからだ。そこでまずはこれ。ペルソナ・シナリオ法で自分の組織に必要なエンジニア像を明確に定義してみよう。
これはご存知の通り、インタラクションデザインの分野で要件定義に使われる手法なわけだが、自分の組織で欲しい人物像を定義するためにだって使えるはずだ。
年齢、性別、経歴から性格・趣味までしっかりと落とし込む。また、プロジェクトで何か問題が発生した際にどんな行動をとるかとか、アサインされたタスクに不明確な点があった場合にどう動くか、さらにはプライベートな時間の使い方まで定義する。とにかくなるべく具体的な人格を定義しよう。
また、ペルソナはひとりではなく、最低でも男女数名分は用意しておくべきだ。そしてそれらを組織内で共有していなければならない。(この共有は、実は重要なポイントだ。既存メンバーが自分のスキルと組織に必要なスキルの差を把握し、軌道修正する役割も期待できるからだ。しかし今日の本題からは外れるので、これ以上の言及は避けよう。)
ここまで事前準備しておけば、面接時にもかなり踏み込んだチェックができるにちがいない。
■ライトニング面接
さぁ、必要な人物像が明確になったら、ここからが本番。ライトニング面接だ。カウントダウンタイマーをセットして、5分で自分の伝えたいことを存分に語ってもらおうではないか!
といっても、学歴や職歴の紹介や自己アピールに終始されては困るので、テーマは事前に伝えておいて、募集者に準備してもらわなければならない。
例えば、求めているスキル(や特定の技術)に対して、それをどういうところで使うべきか、メリット・デメリットはどうか、といったことについて本人のスタンスを語ってもらうのはどうだろう。採用された場合、自分のスキルを活かしてどんなことがやりたいか、などというのも面白い。
とにかく、直接仕事に関係するテーマでなければならない。このテーマも、必要なエンジニア像が明確になっていればそれほど苦労せずに設定できるはずだ。
LTの利点は、自分の考えをまとめるスキル、自分の考えを伝えるスキル、資料作成スキルなどがはっきりとわかることだ。それはまさしく日々の業務に必要なスキルだ。
そして、テーマにもよるが、当人の技術的な志向や技術に向き合う態度もよく見える。発表中やその後の質疑応答からは、そのテーマに対する本人の理解度も見えるし、なによりも本人のナマの姿を垣間見ることもできる。
ざっとこんな感じだ。どうだろう。
事前準備は当然必要ではあるにしても、LTを使えばこのように、面接なんてファイブミニッツでイナフなのだ!