この夏、リゾートオフィス計画を
4月27日、倶知安観光協会の「ニセコリゾートオフィスプロジェクト」の説明会が東京で行われたので参加してきた。
これは、夏場の電力供給不足対策として、首都圏のIT企業などを、北海道のニセコオフィスへの移転を提案するプロジェクトだ。今回はこの説明会について、軽くレポートする。
■予備知識
国土交通省の「平成23年地価公示」内の「変動率上位順位表(全国)」を見ると、倶知安(くっちゃん)の変動率は全国第2位だ。
この地域は2000年以降、オーストラリアからの観光客(特に冬場のスキーヤー)が増え、それに目を付けたオーストラリア資本によりセレブなコンドミニアム(貸別荘)等が大量に建設されている。また、最近は香港や中国の資本が中心になって開発が進んでいるらしい。
おそらく、これらの宿泊施設をシーズンオフに、どのように活用するかが課題なのだろう。これまでは個人向けの長期滞在リゾートプランのみ提供してきたが、今年は新しい試みとして、首都圏の企業向けの企画をスタートさせた。
私の聞き間違いでなければ、この地域の宿泊施設のベッド数は9000にもなるという。夏季移住者の受け入れキャパシティは十分といえるだろう。
■気候
夏場でも平均気温30度以下。エアコンはほとんど不要という気候で、湿気も少なく、梅雨もない。
ただ、資料を見たところ夏の降水量は東京より多いようだ。しかし、温度も湿度もそれほど高くないので、雨が降っても東京の梅雨~夏のような不快感は感じないだろう。
■アクセス
千歳空港から電車やバスで180分。これはちょっと遠いが、長期滞在を前提で考えると、あまり苦にはならないだろう。シャトルバス(チャーター)なら140分。
レンタカーもこの企画に合わせて格安プランが用意されている模様。
■生活
スーパー、コンビニ、薬局、病院等、ひととおりそろっている。
銀行は、都市銀行はないが、コンビニがあるから大丈夫だろう。宿泊施設が多いのは「ひらふ」エリアで、倶知安町からは距離にして約10km、クルマで約10分ほど。バスもあるが、機動性を考えるとレンタカーがあると、より快適だろう。
■オフィス・宿泊環境
今回紹介されたコンドミニアムは、最初に[予備知識]で触れた例のセレブ向けの物件だ。パンフレットの写真を見ても、家具調度品は非常にセンスが良く、間取りも広々としているので、リビングルームを仕事場として利用可能。もちろんネット環境も万全だ。
少人数なら、ひとつのコンドミニアムを仕事と生活と兼用するスタイルでも十分だろう。例えば2LDKのコンドミニアムを4名で利用すれば、かなり格安で生活できる。
ある程度の人数になったら、宿泊施設はあくまでも生活の場として、倶知安エリアの空きオフィスを借りて、仕事はそこでという手もある。
[基本セット]
調理器具一式、食器、グラス類
[施設設備例]
無線LAN、冷蔵庫、テレビ、CD/DVDプレーヤー、掃除機、洗濯乾燥機(洗剤付き)、電子レンジ・オーブン、食器洗浄機、トースター、コーヒーメーカー、炊飯器、コンロ、アイロン、電話
※各施設により違いがあると思われるので、詳細は要確認
[価格]
※各施設により違いがあるため、5月から観光協会のサイトで公開される宿泊施設の詳細情報を参照していただきたい。かなり格安であることは間違いない。
■アクティビティ
もちろん『リゾート』オフィスなので、周囲には、渓流ラフティング、フライフィッシング、ゴルフなどなど、アウトドアライフを満喫できるアクティビティがたくさんある。
■詳細情報、窓口
倶知安観光協会のサイトで、5月から宿泊施設等に関する詳細情報をアップするとのことなので、ご興味のある方はチェックしてみることをお勧めする。
■所感
まずは電力の消費を抑えるとか、停電で仕事が途切れるのを防ぐといったところからの出発となるかも知れないが、このリゾートオフィスは、それだけにはとどまらないパワーを秘めていると感じる。
技術者にとって、普段自分が所属する組織以外のヒトとの交流は、モチベーションとレベルアップのための必須アイテムだ。多くの技術者が集まれば、そこからコミュニティが生まれ、イベントが開かれ、そのような交流の中から新しい何かが生まれてくるに違いない。
エンジニアのための「夏フェス」というのも面白いのではないだろうか。環境の変化は視点の変化をもたらし、それは創造や革新の土壌となるだろう。
そんなわけで、さぁ、皆さんもご一緒に、リゾートオフィス計画してみませんか?