テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

新潟初のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'11 Niigata」開催レポート(その3)――ここからがはじまり

»

 こんにちは、第3バイオリンです。

 「JaSST’11 Niigata」開催レポート、いよいよ完結編です。今回は、クロージングパネルと情報交換会の様子をお届けします。

■パネル/クリニック 「品質改善に関するよろず相談」

 「JaSST’11 Niigata」最後を締めくくるパネルディスカッションです。西さんと三浦さんがパネラーとなって、参加者のテストや品質に関するお悩みに答える場となりました。

 まずは、三浦さんが以前、組み込み系の仕事に携わる人たちに向けたアンケートに寄せられた、品質に関する悩みが紹介されました。

 それによると「そもそも品質基準が不明確」「納期が最優先で品質が二の次になってしまう」「テスト担当者のスキル不足、人によってスキルのレベルがバラバラ」「外注にテストを依頼したけど、全然テストが進んでいなかった」などなど、業務内容に特化した悩みではなく、もっと普遍的な部分の悩みがほとんどです。

 そのような話をしているところで、何人かの参加者から手が挙がりました。ある方は「顧客のやり方でテストをしているが、顧客によってテストの方法はバラバラなのでできれば統一したい」という悩みを打ち明けました。

 それに対して西さんは「まずはバグ分析をきちんとして、データを証拠として提示すること、それから、仕事の進め方などのさまざまなルールについて、『なぜそのようなルールにしたのか』をお互い理解しあうこと」と回答しました。さらに「お客様が指定したものを超えるものを自分たちが持てるようになると、こちらからお客様に『それだけでよろしいのですか?』と言えるようになる」と付け加えました。

 また別の参加者は、西さんの基調講演の内容をふまえて「部下にフォロワーシップをつけさせるにはどうしたらいいのか」という質問をしました。

 この質問に対して西さんは、社長以外の社員はすべて「誰かの部下」つまり社長以外のすべての社員にフォロワーシップが必要である、と意見を述べました。

 さらに、フォロワーシップのつけさせ方については、あらゆる場所でしつけを行う、決して例外を作らないことで、フォロワーシップをつけること自体を会社の文化にしてしまうのが一番と回答しました。

 そのための方法のひとつとして、部下に対して「今から自分が何て言うと思う?」と尋ねるのが効果的だそうです。要は部下に、上司が言うことを先回りして考えさせることで、上司はこういう判断をするものだということを教えることができるのです。

 最初のほうは、参加者のみなさんも緊張されていたのか、なかなか手が挙がらなかったのですが、後半のほうでは活発な質疑応答ができて良かったと思います。特に、悩みを抱えている参加者の方にとって、このパネルを通して悩みを解決するヒントを得られたのであれば幸いです。

■クロージングセッション

 クロージングセッションで、わたしは実行委員長として最後のご挨拶をしました。

 挨拶の前に、わたしは会場の皆さんに「今日、時間が過ぎるのがあっという間だったと思う方は手を挙げてみてください」と質問をしました。すると、ほとんどの参加者が手を挙げてくれました。それだけ大勢の方が、時間が過ぎるのも忘れるくらい、テストや品質のことを真剣に考えてくださったわけです。主催者として、これほど嬉しいことはありません。

 挨拶の締めくくりに、わたしはこう言いました。

 「この『JaSST’11 Niigata』をきっかけにして、新潟でも勉強会やコミュニティ活動を始めたいと思っています。そういう意味では、今日やっと種をまくことができたと思います。しかし、この種はわたしひとりだけで育てることはできません。皆さんのご協力が必要です。どうか、この種を、花が咲くまで、一緒に育ててください」

 それだけ言って、頭を下げたとき、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。感極まって、ちょっとだけ泣いたのはここだけの話です。

■情報交換会

 本会の終了後は情報交換会です。同じ会場で、お茶やお菓子を用意して参加者の皆さんと語り合いました。

 この情報交換会で、「勉強会をやるなら参加したいです」と、おっしゃってくださった方が何名かいました。実は先日、勉強会開催に向けてキックオフミーティングを実施したばかりです。その後のお話は、そのうちコラムに書きたいと思います。

 情報交換会は1時間ちょっとで終了したので、参加者全員とお話することはできませんでした。しかし、会場の雰囲気から、参加者のみなさんが、とても楽しんでいる様子が伝わりました。

 情報交換会の後は、実行委員と、登壇者や関係者と一緒に懇親会を行いました。新潟のおいしい地酒を飲みながら、新潟のテストのこれからについて語り合いました。

■個人的に振り返り

 「JaSST’11 Niigata」開催から、1カ月経ちました。立ち上がりから開催まで期間が短く、バタバタしたところもありましたが、当日は大きなトラブルもなく、参加者のみなさんにもご満足いただけたようで、良かったと思います。

 もちろん、改善の余地がある部分はたくさん見えたので、それをふまえて、来年開催するときはよりよい場を作っていきたいと思います。来年も、どうぞよろしくお願いします。

◇ ◇ ◇

 3回(+1)にわたってお届けした「JaSST’11 Niigata」開催レポートはこれでおしまいです。ここまで読んで下さった読者のみなさんに感謝いたします。

 それから、「JaSST’11 Niigata」でメディアスポンサーをお願いしたWACATE-MagazineさんのVol.27に、「JaSST’11 Niigata」のレポート記事が掲載されました。こちらも、よろしくお願いします。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する