エンジニアでいかに稼ぐか?学校や会社では知ることができなった体験、経験を綴ります

【11】フリーと個人事業主と法人化

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こんにちは、手塚規雄です。

「フリーのシステムエンジニアやプログラマーは個人事業主と法人化している人はどちらのほうが多いのか?」

こんな質問を案件紹介会社の担当さんに懇談会などの場で聞いてみました。複数の会社で聞いてみたのですが、まだ全体の半分以上は個人事業主のまま仕事をやっているそうです。しかしここ数年で限った話ではフリーの方でも法人化している方がかなり増えてきている、とのこと。

これは2006年5月1日に施行された会社法により最低資本金規制が撤廃されたのも1つの要因になっていると思います。いわゆる1円起業というものです。実際に資本金1円で会社を設立すると銀行口座が作りにくいなど色々大変なことになるので、少ない資本金でも数十万円~百万円程度の資本金を作る場合がほとんどです。今は設立できませんが有限会社の場合は最低資本金が300万円だったのでそれでもだいぶハードルは下がりました。

法人の種類も株式会社の他に合同会社もあります。合同会社というものは一般にはあまり知られていませんが、合同会社は中小企業だけでなく有名な会社ではApple Japan、西友、シスコシステムズも合同会社になります。詳しい話はググってください。

 

私自身についてですが、個人事業主でなく合同会社で法人化しております。また弊社は社員が私一人しかいない一人法人です。最初から法人化して仕事をしていたわけでなく、半年間ほど個人事業主の期間があり、その後に法人なりしたパターンになります。

「法人化=雇用」

と考えている方は多いのですが、実際には一人法人や家族法人という企業は多く存在しています。一人法人や家族法人の割合や数を調べた資料はありませんが、5人以下の法人数は約98万社と中小企業庁から統計情報が公開さています。2013年度の資料はこちら(「中小企業実態基本調査」)。

 

そこで今回はフリーエンジニアが法人化するメリットとデメリットを私なりに考えてみました。個人事業主と法人の両方を経験した上での経験談となります。

 

法人化するメリット

1.節税

なんといっても法人化の最大のメリットは節税です。法人になることによって経費計上として認められるものが増えます。また法人が事業主へ給料を支払うので、事業主は給与所得控除を受けられるようになります。これはエンジニアに限らず、他のどの事業でも同じです。

 

2.社会的信用

他に法人化することで得られるメリットに社会的信用があります。しかしフリーエンジニアが社会的信用を得られたところでそれを利用する機会がありません。なぜなら企業と取引する場合には結局はエンジニアのスキルが最重要視されるからです。案件紹介会社と通した場合の面談では、エンジニアが個人事業主だろうが法人化してとか聞かれる事はありません。一緒に仕事をするようになった後に、興味本位で聞かれる事はありますけど。

社会的信用を必要とするものは融資があります。ただしフリーのエンジニアには店舗、事業所や雇用の必要がないので店舗や事業所、雇用の必要がないので融資は必要ありません。

例外的なものをいえば案件紹介会社を通さずに、自分のコネや営業力により個人や企業と契約する場合には法人か個人事業主か気にされる場合はあると思います。

同じように株式会社と合同会社では、株式会社の信用力(認知度)が高いため、株式会社にしたほうがいい、というのも一般的には言われています。しかしフリーエンジニアではそれも関係ありません。弊社は合同会社ですが特に困ったことはありません。合同会社にした理由も設立費用が安かったという理由だけで決めました。(設立費用 株式会社:20万円、合同会社:6万円)

 

法人化のデメリット

1.決算書作成

個人事業主であれば確定申告がありますが、法人の場合には決算書作成の義務があります。確定申告は会計ソフトを使って、それをe-TAXで送るだけです。驚くほど簡単に終わります。しかし法人の決算書はそれなりに会計の知識が必要となります。私の場合は税理士の先生にお任せコースです。勉強すれば決算書も作れるとかもしれません。しかし、それにかける労力と時間を考えるとお金を払って専門家に任せるほうがずっと安心です。

 

2.法人税

次に法人税です。個人事業主の場合は赤字の合は納税不要ですが、法人税は赤字でも7万円の納税が必要です。言い換えれば7万円以上の節税効果があれば法人化したほうがメリットになるのでそれほど大きなデメリットにはなりません。

 

3.事業主への給与

最後に事業者への給与です。役員報酬は年度の初めに決めて、変更することができません。多すぎると赤字になり経営困難になりますが、少なすぎると自由に使える生活費が減り節税面でも失敗する可能性があります。また法人として想定外の出費がかさむと赤字になってしまいます。意外と法人としての出費は多いので税理士の先生とよく相談するのが大事になってきます。

 

メリットとデメリットを比較しても、いうほど明確な差がありません。そのためフリーのエンジニアは個人事業主と法人化、どちらのほうがいいのか?と聞かれてもぶっちゃけた話、どっちでもいいと思います。ちょっと前までは法人化のメリットがあると思っていましたが、明確なメリットが言えないのでどちらともいえません。法人には節税効果があるのですが、売上が少なくなると節税効果が低くなり個人事業主のほうがよい場合もあるので、一概にメリットあると言えません。私個人としての感想は法人化することで初めて知ること、経験できたことも多く良かったと思います。

 

多くの人が法人化する理由は独立したからには会社を持ちたい!というのが一種の目標や夢になっています。私自身も会社設立する事に対して夢を見ていました。実際に会社を持ってみると

「紙っペラ1枚(登記事項証明書)を手に入れる事に対して変な夢を見ていたんだなあ」

と感じているのが正直なところです。会社設立しただけでは人生は変わりません。むしろ設立したあとにどのようにどれだけお金を稼ぐか?をしっかり考えるほうがよっぽど大事だと実感しました。

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