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エンジニアのスキルシート / エピソード5 PMOを文句なしのスキルセットで採用したのに

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エンジニアとして経験を積んでくると保有するスキルも増えてきます。そこで保有する技術や経験をスキルシートとして作成することをお勧めします。

書き起こしのタイミングは参画した案件単位でも良いですし、何年か単位の節目の時に更新していくことによって自分を見つめ直す機会となり、将来はこうなりたいという欲求も生まれます。

また、自分自身をプレゼンテーションする時にもスキルシートは大いに役にたちます。スキルシートはただ漠然と書くのではなく、獲得してきたスキルを繋ぎ合わせたストーリーを表現できれば、転職活動やフリーランスとしての案件獲得にも役にたちます。スキルシートは職務経歴書として兼ねることもできます。

エンジニアのスキルはどう分類すれば良いでしょうか。

職種を元にキャリアパスとして今どの位置にいるのか、今後どうしたいのかを見えるようにする。

エンジニアのオーソドックスなキャリアパスとしては、テスター、PG(プログラマー)→SE(システムエンジニア)→PL(プロジェクトリーダー)→PM(プロジェクトマネージャー)→PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の流れです。

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各キャリアパスでどのようなテストツール、フレームワーク、OS、データベース、開発言語を使ってきたか、プロジェクトの規模を書いていきます。このような項目は書けているという方が大半だと思います。

プロジェクト遂行、リリース、運用で特筆すべきことがあればそれを必ず記載して下さい。(実績は定量的に書ければ一番わかりやすい説得力があります。)

PGであればコードを書くことだけではなく、ソースコードを読む技術も必要です。ソースコードレビューの実績もスキルに入ります。バージョン管理システムの利用も今どきは必須のスキルですが記載しておきましょう。
PL、PMであれば実績として量的に書ける数字を書いて下さい。納期遵守率、黒字達成率、リリース後の顧客満足度も重要です。

炎上プロジェクトを記載するかはどのようにリカバーして最終リリースまで持っていったか、その後顧客は満足したか、保守は獲得できたかによって記載します。これは職務経歴書に記載するのが良いでしょう。

私自身もスキルシート、職務経歴書を転職目的で書くことも何度かありましたが、現在は採用者側の立場でもあります。そっけないスキルシートを受領して書類選考段階で落とす予定でもいざ面談してみると、技術的に欲しい人材だったりします。もっと抜け漏れのない魅力的なスキルシートにすればとアドバイスしたくなるぐらいです。

採用者側(技術者視点)から見たスキルシート

スキルシートもしくは職務経歴書の判断項目は次のようになります。
1)保有技術
2)直近の案件での環境・言語、規模と役割
3)PGであれば開発言語以外にソースコードレビュー、バージョン管理システムやフレームワークの利用、データベースの操作のスキルを評価します。

4)PL、PMであればプロジェクトの規模と達成度を評価します。また過去にテスト、PG経験を積んできたかも加点ポイントにしています。
なぜなら、テスト、PG職を経ると将来PL,PM職になった時に工数妥当性、技術的要件の見極めを正確に推し量ることができるように
なり、プロジェクト進行において構成するメンバーに対して的確なアドバイスができるからです。

5)資格の重要度は業務内容によって違ってきますが、情報系、インフラ系>語学系>会計系>その他の順で参考にします。情報系は、「応用情報技術者」、「プロジェクトマネージャー」、オラクルデータベース関連、シスコ関連の資格。
インフラ系であれば、「ネットワークスペシャリスト」、AWS関連です。いずれもひとつでもあれば良いと私は判断しています。語学系はTOEIC600以上あれば十分です。会計系はITエンジニアであれば簿記3級もスキルになります必ず記載して下さい。
見やすいスキルシートを受け取るとそれだけで印象が良くなります。

6)JOBチェンジした場合の前職のスキルと現在職の関連
一環したJOBチェンジには意味がありますので、その流れは記載して下さい。

過去職に海上自衛隊、潜水艦のメンテエンジニアと記載されたスキルシート見た時には、それだけでも面接したいとなります。

最後にヒューマンスキルに含まれるコミュニケーション能力ですが、これはスキルシートからは直接読み取ることができません。
面接でのやり取りから推し量ることになりますが、面接官側にも評価ができるスキルが必要です。

エピソード5

大規模プロジェクトで外部にPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を探すことになり、協力会社から紹介して頂いた。

経歴書とスキルセットから読み取るに、技術的なスキルは自分と同等かそれ以上で、大規模プロジェクトのPM経験数は自分を遥かに凌いでおり、全てのプロジェクトは成功裏に収められていた。

営業本部長と共に面接を行い、人物的にも問題なく採用ということで、一緒に働けることを楽しみにしていた。PMOという職種のスキルを知ることによって自分もレベルアップできるだろうと。

でも、実際は違いました。どこでどう読み間違えたのかプロジェクトは上手く遂行しませんでした。来て頂いたPMOは、ただ一点の問題として、過去の手法にこだわりすぎて柔軟性が全くありませんでした。

この性格から派生してコミュニケーションが次第にメンバー間で取れなくなり、システムの方向性も私がイメージしたものと異なった方向になりそうで、最終的にお引き取りになり、PMOを交代して頂いた経験があります。

あの経歴書に書かれた大規模プロジェクトは本当に彼が成功に導いたものだったんだろうかと。自分が他人の評価の判断に自信が全くなくなりました。採用する側ももっと人を見抜くスキルが必要だと悟りましたが未だそれは達成できておりません。

Comment(2)

コメント

読者

PMの上にPMOがいる位置付けは正しいのかなと思います。
本来のPMOの定義からすると、PMを補佐する職務のはず。

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