いつも心は穏やかにと思っている私ですが……

ぼくのシステム回顧録(2)

»

  ハードウェアエンジニアを辞めてしまった後、SEの職につくことになった。1990年代前半はITという言葉が生まれた時代である。コンピュータやパソコンは以前からあった。しかしLANを接続し情報を交換することが企業活動に役立つことが認識された時代なのだ。

 Lotus Notesなどのグループウェア製品も多くの企業で採用された。いままで紙での報告書や会議でしか社員同士の情報交換の場がなかったのがPCを通じて情報交換できるようになり、今までパソコンなどさわったこともなかった人がパソコンユーザーになってしまった。

 我々の業界でいえば、システムといえば、C/Sシステムがシステム構築の常道となった。今までパソコンといえば単体でゲームをするか会計ソフトを動かすものだったのだが、LANを接続するのが必須となり、ハブやスイッチを介してサーバーのデータベースにアクセスするという現在のシステム利用形態の原型ができあがった。

 わたしがこのC/Sシステムの走りの時代に特に興味をもったものは、マイクロソフトのVisual Basic とリレーショナル・データベースであった。Visual Basic についてはGUIベースのアプリケーションを手軽に開発できるという意味で画期的だった。

 また、コンポーネントの属性にプロパティというオブジェクト指向っぽい手法が取り入れられていた。オブジェクト指向はBASIC、 コボル、C言語の熟練プログラマーでさえ抵抗感があり、C++の入門書を読んでもピンとこない概念であるから、それを開発手法にとり入れることは非常に先駆的である。

 その後、VBアプリについては生産性がいいことから多くの企業で採用され、また取得も簡単であることから多くのプログラマーを生み出していった。このC/Sシステムの形態が数十年定着するだろうと思えたがところがそうではなかったのだ!

 当初のインターネットといえばHTMLで書かれた読むだけのものであった。入力やデータ検索ができるような動的なWebサイトをつくる手法は後になってからで、仮にそのようなものができてもVBアプリと比べて何がいいのか認められていなかった。

 ところが、マイクロソフトのASPというものを知りノートパッドでコードを書き、IISの設定を行うことで動的なサイトが簡単に作れる! この手軽さから、わたしはVB開発はやめてASPによる開発を全面に押し出していった。

 とにかくシステム導入が楽だ。ユーザーにはこのURLを見てくれとアナウンスすればいい。操作方法は画面上にHTMLで書いとけばいい。バグがあってもすぐに修正できる。HTMLを知らなくてもHTMLエディタを使えば書き方がわかるのでASPは習得が非常に楽なのだ。クライアント、Webサーバ、DBサーバの3階層システムで一見C/Sシステムよりも複雑化しているがWebサーバ上のプログラムで制御することで多様なことが実現できるようになった。Webブラウザはインターネット見るだけの道具だけでなく、企業内でイントラネットにより業務を行う窓口になったのだ。

 通常の話ならば、ここで「THE END」となるはずなのだが、なぜかITの歴史は続く。現在マイクロソフト製品による動的なサイトの開発の主流はASPではなくASP.NETになっている。個人的にはASPは非常に気に入ってが、現在ASP.NETでシステム開発を行っている。マイクロソフトはASP.NETに将来を託しているに違いないので、その路線に乗らざるを得ないってとこですかね。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する