ordinary -何てことない- 普通のエンジニアが書くコラム。

冬休みに読みたい大人の課題図書

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みなさま、おはようございます。Kyonです。

今年はあっと言う間に過ぎ去っている気がします。年を重ねるほどに「早かったな」と感じるのは、経験したことが増えて、同じようなことを経験しても、「前にも経験したな」と感じて、刺激と受け取らないからだとか聞いたことがあります。

今年については、未経験の事案がたくさんあったような気もします。個人的には転勤があったし、世界的には新型コロナウィルスという未曾有の出来事に見舞われたし。いろいろなことが起きすぎて、時間を気にする暇もなく、過ぎ去っていっているのかもしれませんね。

さて、年末年始が近付いてきました。外出する機会の多い年末年始。人手を分散させるためか、年末年始のお休みを長く取るように勧めているというウワサをお聞きしましたが、みなさまはどうでしょうか。

これまでの年末年始休暇中は、帰省したり初詣に出かけたりお買い物に楽しんだりとバタバタ過ごしてきた方も少なくないと思いますが、今年の年末年始はお家でゆっくり本でも読んでみませんか。

夏休みに読書感想文という宿題で、どの本を読むか、課題図書というものがありましたね。冬休みの課題図書と銘打って、エンジニアのみなさまがあまり手にしないような、技術書以外を含む3冊をご紹介します。

童話だったら怖くない?

『PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント』(飯田剛弘)

社内のメンバーに「プロジェクトマネジメントに関する、取っつきやすい本ないですか?」と聞いたら、返ってきたのがこちらの本です。

『3びきのこぶた』や『桃太郎』等、多くの人が知っている童話をプロジェクトマネジメントという視点で見ていくという内容です。

一度は読んだことがある童話で考えるので、実際のプロジェクトに当てはめているようで、プロジェクトマネジメントを体験しながら読み進めることができます。

PMBOKって本にするとすごくたくさんの内容でアタマがパンクしてしまいそうですが、最初のとっかかりにおすすめの1冊です。

付章として『PMBOKへの橋渡し』として、PMBOKの内容も説明されているので、こちらも必読です。

音楽、消えないで・・・文化として終わってしまうの?

『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』(岡田暁生)

年末といえば、日本ではベートーヴェンの交響曲第九番(いわゆる第九)がいろいろなところで演奏されますが、今年はオンライン開催になったり、演奏者・合唱団・観客を減らして開催されたり、中止になっているようですね。

実は、今年2020年はベートーヴェン生誕250周年です。そのため、大々的にキャンペーンをはって、コンサートも盛大に企画されていたはずなので、この状況はとても悲しいです。そう思うのは、私も第九の合唱団の1人だったことがあるから。もう何年も歌っていないけど、今でも歌詞は覚えているし、年末になると聴きたくなります。

さて、この本では、そんなクラシック界だけでなく、音楽全体が置かれた状況から、社会にとっての音楽とはどういうものか、過去の非常時下で音楽はどうだったのか等が書かれています。単なる音楽の歴史ではなく、社会の中の音楽という視点が興味深いです。

成功することが幸福なのか

『人生論ノート』(三木清)

最後は、改めて落ち着いて考えてみたい内容の本を選んでみました。

三木清さんってご存知でしょうか。明治から昭和に生きた、現代哲学を代表する哲学者の1人です。精力的に執筆された方らしいので、全集もたくさん出ているようです。その中でも『人生論ノート』は、文庫本1冊というコンパクトさ、わかりやすい文章なので、課題図書にはピッタリではないかと思います。

目次を見ると、「死について」「幸福について」等、「◯◯について」というように書かれているテーマがはっきりしていて、それはどれも誰しもが突き当たる問題です。

私個人的には、「幸福について」と「成功について」の項が気になりました。欲しいモノもしたいことも、まぁだいたいのことができる世の中で、成功=幸福と思われがちです。目に見えるような成功をしないと幸福になれないのかというと、それは違うと思います。そのあたりのことを、三木さんの視点を得ることができて、自分なりの答えを見つけられた気がします。折に触れて、繰り返し読み返したい1冊です。

ちょっと難しいなと感じられた方には、副読本として、『NHKテレビテキスト「100分 de 名著」人生論ノート 2017年4月』がおすすめです。解説は、『嫌われる勇気』や『幸せになる勇気』で有名な岸見一郎さんです。『人生論ノート』のエッセンスを散りばられた解説は、前でお話しされているの聴いているかのようで、スッと入ってきますよ。

大人の課題図書

大人になると、本との出会い方が決まってきてしまいますよね。自分が興味がある分野や勉強したいと思っている分野がはっきりしているので、その分野以外を見る機会が減ってしまいます。

課題図書という形で、自分が見えている視線のちょっとだけ外側をご提案できていたら幸いです。

ちょっと早いですが、年内の更新は今回でおしまいです。積ん読本を消化しながら、ゆったりお休みしたいと思います。

良いお年を。

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