マネージメントをやっていて信頼を失いやすいポイント
目上の人にたいしての信頼は重視するが、目下の人への信頼は軽視する。何故かは知りませんが、日本人にはそういう傾向があるようです。ただ、これは別におかしなことではなく、そうなってしまうものだと考えています。人間の注意力は有限です。その注意力を目上の人に全部割り振れば、目下の人への割り振りは当然軽くなってしまいます。目上にも目下へも全ての人に注意力を割り振ると、今度は仕事に割り振る注意力が尽きてしまいます。気遣いなんて頑張ればいくらでもできそうな気もしますが、実際は何らかのリソースを消費しているようです。
残念なことに、仕事熱心な人ほどリソースの割り振りが下手です。どのように下手かというと、リソースを無制限と見積もる傾向が強いです。これも何となく分かります。テンションが上がると、モチベーションが無制限に上がっていきます。一時的に何でもできそうな気分になってしまいます。どうもこのテンションが上がった時の状態を基準に物事を考えると、リソースを無制限に見積もってしまうようです。もしくは、単にリソース云々を考える余裕が無いのかもしれません。熱心さと思っていたものが、実態は制御不能で暴走しているというのが実情です。
実のところ、上下関係が厳しいほどマネージメントは難しくなるのではないかと考えています。上下関係が厳格なほど、目上の人に対して注意しなければならないポイントが増えます。目上の人への注意にリソースが多く割かれるので、本業に割けるリソースが減るということです。その結果、目下の人への対応が雑になったり、本業がおろそかになって結果が出なくなったり、信頼を失うことになってしまいます。ただ、上下関係の組織がダメという訳ではありません。上に立つ人が配慮できる人なら、下につく人が効率的に動くことができて、生産性が最大限に上がります。
マネージメントについて話をすると、結果を出して信頼を勝ち得るという話に傾倒しがちです。それも大事ですが、マネージメントとは別の話ではないでしょうか。マネージメントとは人と人を調整する役割です。出した結果で発言力を強めて言うことを聞かせるにしても、何を発言するのでしょうか。そこが抜けている人が多いです。大事なのは発言力でねじ伏せることではなく、データに基づいた話をして納得させることです。誰かの信頼を勝ち取るには結果は大事です。しかし、正確な情報や的確な判断でも人の信頼は勝ち取れるものです。
結果主義というのは、一見効率が良さそうですが、集団でやると競争になって制御が難しくなります。安易に結果を求める人はマネージメント向きではありません。むしろ、誰かの下についた方が活躍できます。マネージメントは役割です。立場の上下ではありません。競争で勝ち残った頂点がマネージャではありません。むしろ、細かい調整ができる縁の下の力持ちなタイプの人の方が向いているのかもしれません。マネージメントの目的は適切に情報を共有したり組織をまとめることです。そのために重要なのはペース配分ができることかと思います。
コメント
えどわーど
いつも良質な記事をありがとうございます。
リソースの割り当ては言い換えると工数見積ですが、最高の状態ではなく最低の状態を基準に見積もるとちょうど良いかもしれませんね。
マネージメントは立場の上下ではなく役割であること、マネージメントは細かい調整ができる縁の下の力持ち的な能力が求められるということ、なるほどなーと思いました。
刺さる記事これからもお願いいたします。