言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

スキルでロックインしないために

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ITの仕事をしていて、技術についてこれなくなる人には共通の特徴があります。特定の技術にロックインしていることです。特定分野においてはスペシャリストですが、そこを外れると何もできなくなるタイプの人です。現代では技術の変化が激しいです。新しいものが出ては消えていきます。また、昔はメジャーだった言語、例えばVBのような言語でも「今後は機能追加しない」というフェーズに入ったりもします。特定の技術にしか対応できないというのはリスクになります。

特定の技術にロックインしやすいタイプの人ですが、意外と計画的な人が多いです。キャリアプランをしっかり立てて、会社の方針に乗っ取って資格などを取得していくタイプです。着実に課題をこなして職位はあがるのですが、それに伴って技術についていくのがしんどくなるようです。どちらかといえば、SESで漂っていたり、フラっと転職してしまうタイプの人の方が、逆に市場価値を維持できている印象を受けます。技術へのキャッチアップと会社における堅実さは、必ずしも一致しないのかもしれません。

そもそも、技術へのキャッチアップをプランニングなんてできるのでしょうか。今後、どういう技術が伸びて、どういう技術が廃れていくという予想はできます。ただ、その予想にガッツリと乗っかってしまうのは、ギャンブル的な要素が強いです。確実な予想を練るよりも、時代の変化を感じ取ってフレキシブルに動く方が賢いです。そのフレキシブルに動くために必要なのが、特定の技術にロックインしないことです。技術へのキャッチアップをプランニングすることは難しいですが、動ける幅に余地をのこしておくことであれば、意図して実現できることかと思います。

最近の「駆け出しエンジニア」の傾向を見ていると、余地を残さずに追い込んで全力投球というスタイルが多いです。また、隙間時間の活用をやりすぎると、プランがびっしり詰まります。自分の計画した以外の事をやる余地がなくなってしまいます。余地がなくなると、自分のコントロールが難しくなります。この、余地がなくなって自分のコントロールが難しくなった状態がロックオンした状態と考えています。ガチガチに「こうありたい」が強すぎると、そういう状態に陥りやすくならないでしょうか。

そういう意味で、私はあまりキャリアプランというのは好きではありません。確かに、自分の思考や方向を言語化できれば、説得力を持ちます。その言葉に基づいて行動すれば、更に説得力を増します。ただ、堅実過ぎるプランは労力がかかります。その人の頭の良さというより、スタミナ切れで継続不能になることもよく見かけます。単純な話で、技術の習得以外に労力を割き過ぎれば、技術の習得に割ける労力は減ります。スキルでロックインしないためには、綿密なキャリアプランも大事ですが、それに振り回されないための時間や労力の余地が必要なのではないでしょうか。

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