疲れた身体と心に響く書籍をご紹介

書籍「現実とは?」を読んでみた。夢と現実の狭間は心地良い。【第56回】

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平岡麻奈です。あっという間に夏が始まりました。1番好きな気候は【季節の変わり目】だったりします。絶妙などっちつかずの曖昧さに迷った結果、『あー、今日の服装失敗した!』という状態。明らかに寒いか、暑い。私の記憶を掘り起こせば、大学生活の二学期が始まるあたりの残暑もまだまだ厳しい中、毎度同じ失敗を繰り返していました。洋服を新調すれば、とりあえず一度着てみたい。ちょっと手触りがモコモコしていたり、ニット生地を着ちゃったりして、『おそらく【NEW ARRIVAL】ゾーンの服を買ったんだろうな』という視線なんてお手の物。そしてやっぱりまだ早かったな、という流れで夏服に戻ります。

日本に住んでいると四季折々の変化を楽しむことが出来ますが、世界には一年中、気温があまり変化のない国もあったりします。そして言語が違う、習慣が違う、時差がある、気候もバラバラ。海に面していたり、山に囲まれていたり、そんなことを考えていたら、当たり前なことではあるけれど、暮らす場所による違いに興味を抱くようになりました。それは日本で暮らしている中でも同じこと。もっと細かく考えてみると、個人の【見えているもの】だけでも全く違う。興味があるものに囲まれて、その中で生きていれば、それが【全て】になります。近頃私は【ちいかわ】沼にどっぷりとハマっていますが、日本中にちいかわグッズが溢れているように感じています。おそらくそれは、自らアンテナを張り、その情報に埋もれているから。隣の席の人は、あらすじもキャラクターも知らないかもしれない。けれど、きっと私と同じようにその人にも独自の世界があるんだろうな。お互いを認め合うってこういうことなんだろうなあ、ふむふむ。と、ひとつまた勉強。

【現実逃避】という言葉があるけれど、逃避行していても【現実】は広がっています。【現実逃避】という名目で旅行をしていたら、『明日からは現実だねー』と帰り道につぶやいたりする。よく解らない、楽しい時間が【現実】で良いんじゃないか。逃げている訳でもなく、過ごしやすい場所に自分の【現実】を移行させてはいけないのかな?エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第56回は、現実的で、はたまた理想的な【現実】に触れる1冊をご紹介します。

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現実とは?
脳と意識とテクノロジーの未来
【著】藤井尚敬

https://www.amazon.co.jp/dp/4153400041

『現実とはなにか?』

著者がホストとなり、8名のゲストと【現実】に関する議論を繰り広げる。個々に違った得意分野を起点としているため、自然と考え方の幅が広がり、固まった思考も緩み始めます。万人共通の【現実】は存在しない、そして刻々と変化する【現実】を作り出す脳。本書では『現実というものを切り口に、脳と社会を理解すれば良いのではないか』という考えから生まれた【現実科学】がキーワードとなります。『現実を科学してゆたかにすること』をミッションとして掲げている為、【ゆたかさ】への問いかけも多く見受けられました。例えば、VRのクオリティや解像度が高まる中、ゆたかな体験は出来ているのか、リアルと同じように感動するのか?という疑問。本書では『俳句』を例に挙げ、俳句がもたらす【ゆたかさ】の必要性を説いています。俳句に備わる少ない文字数の中での壮大な表現力を越える【ゆたかさ】への挑戦。本書ではあらゆる【現実】に触れるだけでなく、ここまで世界は進んでいるのか?!という最新技術や研究の情報が満載です。

『口パクは最強のインターフェース』と紹介されていたことにとても興味を抱きました。声に出してはダメな雰囲気、でも伝えなきゃいけない状況の最中、視線を向けて、口をパクパク。『違う、それは〇〇、、、!(正しい答えを伝えたい)』と身振り手振りを加えて伝わる感覚を、舌の動きの記録として機械学習に覚えさせ、音を推定する研究が行われているとのこと。今まで現実的でないと考えられていたことが、続々と現実味を帯び始めています。

行き着いた私なりの答えは、【現実】を色々な場所に散りばめることでした。現実逃避した場所での出来事も記憶に留めておきたいし(例え夢見心地であっても!)、バーチャル空間でも【現実】だから、やりたいことが出来たら良いよね。

でも、事故がなくなっても、「どこに行きたいか」っていう人間の意思はありますよね。カーブを曲がり切れないということはなくなるかもしれないけど、「今日は箱根に行きたい」とか「海に行きたい」というのは依然として残る。だから、テクノロジーが進むからすべてが決定的な社会になる、という感じではないと思いますね。(自動運転の精度が高度になれば交通事故の確率が減ると同様に、テクノロジーが高度で精密になれば偶然性がなくなるのか?という問いに対しての回答 P,131)

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