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書籍「AI時代の『天才』の育て方」を読んでみた。今を生きる「天才」とは?【第20回】

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ありがとうございます。平岡麻奈です。先日、お知り合いの方のお子様が「急に進路を変えた」話をお聞きしました。それは「エンジニアになりたい!」というもの。しかし、学校では進路選択の時期が終了していて、必須科目である「物理」の授業を受けることが出来ない。今は「物理」を独学や塾で学んでいるようです。

「急な進路変更」と聞いて、少し昔を思い出しました。高校3年生の夏まで「文系か、理系か」をずっと悩んでいたからです。高校1年生で理系を選択したものの、その年の冬に「古典」の魅力に気づき、ずっと図書館で「古典文学」の本を読みあさっていた記憶があります。理系の科目より、1番楽しく授業を受けていました。楽しむ気持ちとは裏腹に、「理系を選択したのに古典が好き」な自分がなんだか悪いことをしているような気分でした。結果的に「化学」に対しての熱量が勝って、「古典」は趣味として楽しむことに決めたのですが、当時は人生がここで全て決まってしまう!というくらいに重く捉えていました。

今となれば、わざわざどちらかに決める必要もないのでは?とも考えたりしますし、人をひとことで表す難しさを感じます。実際に色々な活躍の場を持ち、「職業」をひとつとしない人も沢山活躍されています。10数年程前に進路で私の頭を悩ませていた時には、「社会」は自由が利かない場所だと思わずにいられなかったのですが、時代は移りに移り変わり、予想もしなかったこと、夢の話だと感じていたことが実際に起きています。ましてや、最近では「好きを仕事にしていこう!」という言葉に触れることが多くありますが、「好きなことを仕事にしていいの?」と聞き返したくもなります。これはあくまで、「好きなことは仕事にできない」「仕事と遊びは別」と教わってきたからかもしれません。

目まぐるしく変化する時代に順応出来る人、これから求められる人はどういう人なのだろう?と考えるようになりました。将来どのような仕事が求められるのか、エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第20回は、「エンジニアになりたい!」と夢を語るAI時代の到来、そしてその未来を学ぶ1冊を紹介します。

AI.jpgAI時代の「天才」の育て方
【著】 市村 よしなり。
https://www.amazon.co.jp/dp/4866630809/
「圧倒的なスピードで技術が進化し、人間の仕事の9割がAIに置き換わるといわれる時代。未来を生きる子どもたちに何が必要なのか?いまこそ、それを語らなければならないのではないか?これが本書を書いた理由です。」(prologue P.2)

時代がこれほどまでに変化していながらも、「教育」に関してはあまり変化が見られずにいます。本書は「これからのAI時代に、いかに天才を育てていくか」を目的としており、子どもの育て方に重点を置いた内容ですが、育てる立場でなかったとしても、「これからの時代の先端をいく人物に育てるための答え」を知る必要があると感じました。それは、人は過去に学んだこと、経験したことを元に物事を考えてしまう傾向があるからです。これから仕事をしていく上で、例えば数年後に新入社員として迎える人達の気持ちを理解出来るかどうかは大切と感じます。実際に今でも、職場で少し年齢の差があるだけで、これほど違いがあるのかと驚いたことも沢山あります。私が学生の頃はね、と懐かしく話す時もありますが、時代の変化を受け止めることは必要です。

本書では「天才」という言葉が多く使われています。今後の子どもたちの将来に活かすのならば、時代に合った「天才」への理解が求められます。では、今の時代の「天才」とはどういった人物を表すのでしょうか。

「これまでの天才は、過去の情報を上手に活かし、現状をよりよく生きる力を持つ人が優れた人物、すなわち天才でした。それに対し、これからの天才は、過去の制約にとらわれず、未知なる未来を生み出す力に優れた人であるといえるでしょう。」(新しい時代の天才の創り方 P.38)

過去に学んだことを記憶していたり、沢山の情報から早く正確に答えを導き出すことは、ITの発達、AIが多くの仕事をこなす時代にはわざわざ人間が行う必要性がなくなります。「正解がある問題についてはAIに任せれば、瞬時に人間よりも正確な答えを提示」してくれるので、人間が頑張って記憶して取り組む必要もなくなります。本書では、「天才」を育てる大人たちへのインタビューを行った対談も記録されており、中でも印象的であった内容をご紹介します。

「二極化していくと思います。AIなどのテクノロジーを駆使することと、人間本来の能力を活かしていくこと。」(03 能力開発の第一人者 医学博士・森田敏宏さん P99)

「これからのAI時代、社会はどのようになっていくか?」という質問に対しての回答です。「便利なものは便利に活用しつつ、人間本来の力を活かし、自分の能力を発揮する」ことの出来る人が求められる時代であることが理解できます。これは、「将来何になりたい?」という職種の枠を越え、「自分の得意なこと・好きなこと」にもっと素直に取り組める時代であることを表しています。また、同様の対談の中で、私の生き方のプラスとなった内容を最後にご紹介します。

「これからは、どれだけ人の共感を集められるかが評価される世の中になります。自分の興味があることに対して、世界規模で同じようにワクワクしてくれる人を集められる人が天才と呼ばれる人になるでしょう。」(05 インターナショナルスクール代表 リナ・ボヴリースさん P.133)

興味を持ったこと、好きだなと感じたことを表に出すことが苦手でした。けれど、意外とオープンにしてみると、実は私も気になっていた!とか、やってみたかった!という人に出会うことも多くあります。興味のあることへの正解はひとつではありません。「まるでロボットな人生」から「人へと進化する」人生への後押しとなる1冊です。

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