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「英語で『仕事を』する」フェーズ(その9)英語にすることを意識して日本語の文章を洗練させる

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 今回は、「英語で『仕事を』する」フェーズ(その9)として、英語を意識して日本語の文章を洗練させる方法を取り上げます。例によって、記事で「仕事」とあるところは「仕事または趣味」と思ってお読みください。「英語で『仕事を』する」フェーズではガジェットに加えてPC・Mac・タブレットも取り上げていますが、今回の記事には一切出てきません。

■文章を洗練させる魔法の言葉

 あまり文章力のない方の文章を添削するときは、細かいことを言うとキリがありませんし、言われた方も一度にたくさんのことを指摘されると消化不良になってしまいます。

 そういう状況で、筆者は「あとから自分で英訳するつもりで文章を書くといいよ」と助言したことがあります。この一言だけで、その次に添削するときには、見違えるような文章をもってきてくれました。

 ある程度まとまった文章を英語で書いた経験がある人でないと通用しませんが、かなり効果のある助言だと思っています。

■英訳を意識することによって文章がよくなる理由

 英訳を意識することで文章がよくなるのは、表現力がないことを自覚し、限られた表現力の中で文章を構成していくからです。

 母語の場合はなまじ意識せずに話せるために、文章を「話すように書く」ことになります。しかし、これが問題です。ひとつひとつの文が長くなり、英語で言う複文(主語と述語を含む節が複数ある文)や重文(接続詞で結ばれた複数の文)が複雑に入り組んで、内容が分かりづらくなりがちです。分かりづらいを通り越して、分からないものさえあります。自分で書いた文章は見慣れてしまうので、時間をかけて書いた文章ほど、書き手はあまり違和感を持たなくなってしまいます。

 自分で英訳することを考えた途端、見過ごしてきた問題が見えてきます。もとの文章に問題があれば、英訳できないからです。たとえば、係り受けが分からない箇所や、副詞の呼応が正しくない箇所は、英訳を考えることで明らかになります。問題が認識できれば、半分はもう解決したようなものです。

■文章がよくなるステップ

 筆者の経験では、英訳を意識することで以下のような文章になってきます。

  1. 1文が短く、文の中での係り受けが明らかになる
  2. 接続詞によって、文と文の関係が明らかになる
  3. 箇条書きによって、列挙が明らかになる

 このように書いていけば、読み手の負担が減り、一度ですっきり理解される文章になります。

 しかしこれは、分かりやすい反面で稚拙あるいは幼稚という印象を与えることがあります。また、箇条書きは強調という側面もあるので、さして重要でもないことが目立ってしまうという副作用もあります。

 接続詞を多用して書いた日本語を英訳すると、順接の場合はthereforeやthusなどと書きたくなりますが、これらを濫用すると非常に違和感のある英文になります。また、それでなくとも不適切に使用されることが多いsoの出番が増え、首を傾げるような文章になりがちです。

 したがって、1文が短いというのは常によいことなのではなく、明瞭であるならば少し長くともよいのです。

 ちなみに、英語では定冠詞や関係代名詞が使えるので、日本語では分かれていた文を問題なく1文にまとめられることがよくあります。逆もまた真で、英語では1文だったものを複数の文に訳することもあります。

 箇条書きは、ひとつひとつが短いなら1文の中で列挙し、長くなるなら「第一に〜。第二に〜」とすれば、必要以上に強調されることがなくなります。

■学校教育でもっと作文を教えてはどうか

 筆者は、高校までの学校教育で作文をきちんと教えた方がよいと考えています。ある程度まとまった文章を書かせるのは読書感想文くらいで、あまり作文の鍛錬にはならないと思います。大学受験に小論文がある場合は指導があるようですが、全員にやってはどうでしょう。日本語できちんとした文章を書けることが、英語を始めとする第二言語できちんとした文章を書くための基礎なのですから。

 卒論のない大学や学部・学科が増えているように思われ、作文が苦手な人を増やす要因になっている気がしてなりません。かなり前から数の上では大学全入時代に突入しており、学生を確保しやすくするためには、卒論をなくすことも経営上は必要なのかもしれません。しかし、社会に出たあとのことを考えて卒論で手厚く指導し、それを募集で謳った方が、長期的には学生にも大学にもよいのではないでしょうか。

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