ガジェットでPicture Dictionaryを使い、五感で学ぶ-VOA Mobile Wordbook
■語学の専門家が実践する「続ける」学習法
「語学はやり直せる!」(黒田龍之助、角川書店)では、様々な学習方法が紹介されています。そのひとつとして、黒田氏がベルリッツの子供向けPicture Dictionaryを書き写していることが紹介されています。
このPicture Dictionaryは言語ごとに出版されていて、黒田氏はイタリア語を選んだそうです。英語版はこちらです。
黒田氏は、全部で120ページほどのこの本を毎朝5分書き写す作業を続けているとのことです。
過大な効果を期待するのは禁物ということですが、習慣化して続けるという点で参考になります。
黒田氏の学習法には他にも共感できる点が多々あるので、同書については改めて取り上げたいと思います。
■五感を使って学ぶ
Picture Dictionaryに限らず、記憶に定着させるときには五感を使って学習するのが効果があると言われています。ソフトウェアのPicture Dictionaryだと、音声や画像、ものによってはアニメーションやゲーム的な要素もあったりして、楽しく語彙(ごい)を増やすことができます。
黒田氏がPicture Dictionaryを書き写すときには、文字と一緒に絵を見ていて、おそらく発音練習もしながら書いているでしょうから、ただ単語を眺めているよりずっと記憶に残ると思います。
また、このやり方だと一度にたくさんの単語を詰め込むようなことがなく、結果として長期間取り組むことになります。少しずつ覚えることで記憶の干渉が少なく、じっくり時間をかけて記憶するので、長期的に記憶することができるように思われます。
黒田氏は、科学的根拠はないとしながら、「速く覚えたことは速く忘れるような気がする」と述べています。この点、筆者はまったく同感です。
■ガジェットでPicture Dictionaryを使う
その昔、MacにPicture Dictionaryを入れていたことも多少頭にあり、いいPicture Dictionaryアプリがあったら欲しいと考えて、Oxford Picture Dictionaryの無償版などを試していました。
たまたま見つけた無料アプリVOA Mobile Wordbookが、なかなかよさそうです。まずiOS版アプリが提供されたようですが、その後Android版アプリも提供されています。
VOAと言えば、前回のコラム「ネイティブスピーカーからはbrokenと評されるGlobish ー しかし...」では、VOAのWord Book(Learning English Word Book)をご紹介しました。
収録されているのはVOA Special Englishで用いられる1500語で、説明もついていますので、簡単な辞書のように使えます。
■VOA Mobile Wordbookの残念なところ
VOA Mobile Wordbookは見出し語が1000語程度で、VOA Special Englishで用いている1500語を超えています。
Learning English Word Bookでは、hairは以下のように説明されています。
hair n. the fine material that grows from the skin, especially from the head
一方、Mobile Wordbookでは、hairの画面はこうなっています。
写真があるのはよいのですが、使われている単語が難しいのが困りものです。またDefinitionは頭と顔から生えるものに限定されているので、体毛や動物の毛という意味が含まれません。
せっかくDefinition、Synonyms、Examplesが用意されていますが、割り切って単語と写真だけで使うのがよいかもしれません。
VOA Mobile Wordbookの惜しい点について述べましたが、単語と写真、それに発音の組み合わせで十分に強力だと思いますので、一度お使いになってみてはいかがでしょうか。