ITエンジニアの仕事についての質問
今月のお題は「就活生からの『ITエンジニアの仕事についての質問』」です。
いつも無計画に思ったことを書き殴っているので、たまにはお題に沿って採用する側の立場として書いてみよう。採用できるほど儲かってないのに上から目線ですまないな……。なんだか書きにくい。
○ワークライフバランスについて:
どうなんでしょうね。こんなお題は難しいな~。
一番重要なのは、理解のあるパートナーを持つことでしょうか。
そりゃ、ITエンジニアに限らず残業もあれば休日出勤しなければいけないときもあります。しかし、余裕があるときもあります。そんな余裕があるときに、いかにサービスして(土日ぐらいは晩飯を作るとか)、余裕がないときに、いかに分かってもらうかでしょう。
ずーっと家庭サービスするのは大変ですけれど、日頃から感謝の言葉を口にすることと、たまの休みにメリハリ付けてやればいい。
余裕があるときに自分のことだけを考えると、自分が思うよりパートナーはストレスを溜めることになり、それが自分の余裕のないときに噴出して負の連鎖が起きます。プライベートで負の連鎖を作らないことは重要です。
とわたしは考えているので、弊社には「恋愛成就休暇」がある。もちろん、そんなモノを申請したらわたしが一杯呑むネタにされるので、それがイヤなのかまだ、1人しか取ってない(苦笑)。
○デスマーチ・プロジェクトについて:
聞かない方が良いんじゃないかな(笑)。
最低でも何回かは経験したら良いと思う。そこで、どんな解決策を考えるか、流されるかで、その人の将来が決まるでしょうね。
デスマーチは力が付くし悪いことばかりじゃない。自分の頭で考えて、体が潰れない程度にがんばれば力は付きます。ただし、デスマーチの中でいわれたことをその通りやるような流されるタイプが後ろ向きに考え出すと、精神も体も潰れます。それは本当に危険ですね。
○ブラック企業について:
うちのこと?(笑)
まぁ、何がブラックかってのは、多分、視点で変わりますよ。どんな良い会社でも、合わない人は合わない。ブラックといわれても会社として存続し続けているなら、そこには社員が居続けているのですし、社会に対して何らかの貢献をしているわけです。何も貢献していない会社は必ず潰れます。
今は社会貢献していても潰れる会社がいっぱいあるけどね……。
会社がしている社会貢献のうち、あなたのウェートがどれぐらいあるか? ウェートに見合った扱いになっているかを考えましょう。努力ではなく、最終の結果(アウトプット)が見合っているならば文句を言っても良いけれど、見合ってなければ会社(周り)があなたを養うために必死に努力しているのですから、文句を言うのは筋違いです。
もっとも、過去には、稼働さえしていれば絶対に損しない派遣中心の会社もありました。しかし、今は派遣で未経験者を引き受けてくれる上位の会社がないので、新人採用は行っていないはずです。
○学生時代に学んだこと(プログラミングやロジック)は役に立つか:
わたしは授業でプログラミングを習ったことがないので何ともいえません。弊社のコンピュータ専門学校卒の社員は、「プログラミングの授業は簡単過ぎて……」との感想だった。
しかし、半年講義を受けてもFizzBuzzができない人もいるらしい。わたしも、学生と話す機会があれば、「どんな課題がでるのか?」とか聞いたりしますが、FizzBuzz並に簡単だったりしましたし、逆に、某国立大学の課題はなかなかの難易度でした。世間で言われている偏差値以上に差があるな~、と思ったり。
そこそこの難易度でなければ、プログラミングをやっていたことは大したプラスにはならないと思う。弊社の社員では未経験で学校に行ってなくても、簡単なアプリケーションを Vector で公開してたとか、そういう人が多いですね。
○学生時代に「これをやっておけばなあ」と思ったこと:
放浪の旅と読書ですね。恋愛もしっかりやっとくべきです。
○人と話すのが苦手な自分でも、エンジニアをやれるか:
やれなくはないですが厳しいです。エンジニアに限らず、ほとんどの仕事で厳しいです。
会社によって、技術力とコミュニケーション能力を「1 : 1」で見る会社もあれば、「1 : 2」で見る会社も「2 : 1」で見る会社もあります。どこにウェートを置くかは個々の会社の自由ですが、一般的には「コミュニケーション能力」を高いウェートで見ています。
それが苦手で、矯正するつもりがないなら出世は諦めるしかない。
出世を諦めると、もしかするとある歳で放り出されるかもしれません。もちろん、コミュニケーション能力があっても放り出されることはあり得ますけれど、コミュニケーション能力がない人の方が、重要なスキルが欠けているのですから高い確率で放り出されます。
蒸し返しですが、ブラックな会社と批判する人の中に、会社(社会)が自分に合わないことと区別が付いていない人がいます。まぁ、弊社の場合はわたしが悪いのでしょうけれど……。それはさておき、会社はコミュニケーション能力を第一に評価していたとして、自分は技術力を高く自己評価していたりすると、不幸な勘違いが起きたりします。
ともかく、特定のスキル(コミュニケーション能力)がなくて放り出されたときに、例えば人と会わずにWeb上で自分の技術が売れるほど、足りないスキルを補ってあまりある技術力があれば問題ないのです。しかし、そういう人は、それ以前に会社を見限って、個人で仕事をしても何とでもなるでしょう。
逆に考えると、会社を見限っても大丈夫と思う人は、とっくに会社に頼らずに生きていけるわけで、「人と話すのが苦手でも……」のその先に続く言葉を突き詰めると、「人と話すことが苦手でも、会社はわたしを守ってくれるか?」となるわけで、常識的に考えてNoに決まっています。
ある年齢に達したらそれにふさわしい報酬が必要になり、それに見合うスキルがなければ、どこにも行けなくなる可能性が出るわけです。
「人と会わずに自分の技術が売れること」を目指すことは悪いことではないけれど、それは、わたしにはとても無理だと思うぐらい、普通にコミュニケーション能力を高めることの何倍も高いハードルです。「うわぁ、こいつには技術的に勝てないな」と思わせるぐらいの技術力を見せてくれる人でないといけないけれど、滅多にいない。
ですから、仕事上に必要な最低限のコミュニケーション能力は付けるように自分を矯正した方が良いでしょう。
「コミュニケーション能力がない」という人は、「自分がこうしたい」「自分がしたくない」「自分がこうなりたいのになれない」「自分が……」「自分が……」、で周りが見えていない。相手が見えていない。相手をいかに見るかという訓練をして欲しい。
ちなみに、わたしは「自分が……」を貫き通すために起業したので、ちょっと違うのですけれど。
月並みですけれど、「夢をかなえるゾウ」という小説型自己啓発本があるのですが、5回ぐらい読んで試して欲しいな。よく書けている本で、学生時代に心がけるとかなり変わると思う。
○その他
ITエンジニアというのは、いろんな会社・業界を深く知ることができる楽しい仕事です。その楽しさを多くの人に分かってもらいたい。ぜひ、がんばって欲しい。