新米武装派フリーランスプログラマ男子(0x1d歳)

DMR REPORT FILE:1 「DMR緊急出動! データベースマイグレーションの謎に迫れ!!」(下)

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オダ「『データベース移行』だと!? どういうことなんだ、ナカハラ!!」

 狼狽するオダに、ナカハラは不敵な笑みを浮かべた。

ナカハラ「オダ、現在DBを構築しているミドルウェアは把握しているな?」

オダ「当然だ! 業界標準の『Oracle Database 11g Enterprise Edition』でRAC構成を組み、高度な拡張性と可用性、そして耐障害性を担保している!!」

ナカハラ「その通り。そしてこのミドルウェアの年間保守費用が……

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トリイ「そんなにも、コストがかかっているんですか!!」

ナカハラ「サーバの台数が台数だからな。 加えて構築・運用・保守を国内大手SIerに任せきりになっているのも、コスト増に拍車をかけている一因だ」

オダ「なんてこった……」

ナカハラ「このDBをオープンソースのミドルウェアに変更し、運用および保守を専門のより省コストのベンダに乗り換えることで、年間およそ1億のコストダウンにつながる――これが上層部の見解だ」

カンダ「実際には人的コストも絡みますから、丸々1億円とはいかないと思いますが、それでもかなりのコスト削減になりますね……」

ナカハラ「われわれの部署でも運用コストの高さには頭を抱えていたからな……そして、ここで『データベースの移行』が必須となってくるというわけだ」

トリイ「なるほど……『データベースミドルウェアの乗り換え』、だから『移行』というわけですね!」

オダ「……しかしなあ、ナカハラ……。データベースといえばシステムの肝だ。『オープンソースソフトウェアへの移行』と簡単に言っても、DBの事例はあまり聞いたことがないぞ?」

カンダ「たしかに、着眼点としてはありふれている割に、具体的な手法まで突っ込んでいる文献は見かけたことがないですね……」

トリイ「言われてみれば……」

ナカハラ「その通りだ。特に移行においての具体的な手法やノウハウについて、体系的にまとめられた資料はほとんどないといっていい。だが、そのリスクを負ってでも行うだけの価値が、本プロジェクトにはあると考えている」

ナカハラ「……だからこそ、君たちの力が必要なんだ」

 3人は顔を見合わせた。

オダ「……ま、そこまで言われちゃ、しゃーねーな」

カンダ「技術的にも興味深い課題ですし」

トリイ「DBについては、あらためて勉強しなければと思っていたところです」

 ナカハラは満足気に頷いた。

ナカハラ「意見は一致したようだな。加えて、本日付けでうちの部署に配属された新人を紹介しよう。彼も今日から、本プロジェクトチームの一員となる」

シバタ「シバタです! よろしくおねがいします!」

ナカハラ「まだ業界での経験は浅いが、それが本プロジェクトに、新しい観点を吹きこんでくれることを期待している」

オダ「おう! よろしく頼むぜ」

カンダ「よろしくお願いします!」

トリイ「よろしく! わからないことがあれば遠慮なく聞いてくれよな!」

 新メンバーを加え、活気付くメンバーたち。一通り談笑が終わったところで、カンダがおもむろに口を開いた。

カンダ「……ところでナカハラさん。このプロジェクトのチーム名は決まっているんですか?」

ナカハラ「いや…… カンダ、その口ぶりだと、何か案があるようだな?」

カンダ「『データベース移行調査チーム』では少々言いづらいので……『Database Migration Research』――通称『DMR』、というのはどうでしょう?」

ナカハラ「ふむ、『DMR』か…… 悪くない」

 ナカハラは軽くうなずくと、『DMR』のリーダーとして、初の業務命令をくだした。

Deha

Oh

つづく

※この物語は事実をもとにしたフィクションです。
実在の人物、団体、商品とは一切関係ありません※
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