DMR REPORT FILE:2 「商用MWからの脱却! RDBMSを選定せよ!!」(上)
あらすじ:
『商用の大規模DBをオープンソースのミドルウェアへ移行する』というミッションを与えられた"Database Migration Research"――通称『DMR』のメンバーたち。まずは移行対象となるRDBMSを選定すべく、調査を始めたのだが……
オダ「とはいってもなあ。何から手をつけたらいいのか……」
オダが椅子の背もたれによりかかり、ぼんやりと呟いた。
カンダ「現在利用している商用RDBMSの高コストが問題になっているのですから、対象はオープンソース、もしくはより低コストのRDBMSに絞れます」
トリイ「国内で有名なのは圧倒的に『MySQL』と『PostgreSQL』の2つですが、他にも欧米中心に着実にシェアを伸ばしているFirebirdや、組み込み系など小規模DB向きの『SQLite』、あとはFull Javaで記述されているのが特徴の『HSQLDB』なんてのもありますね」
カンダ「今回の移行対象はRDBMSですが、最近ではMongoDBやCouchDBといったいわゆる『NoSQL』のDBMSも注目されていますし……」
シバタ「……はあ……そんなに種類があるんですか……」
呆然とするシバタを横目に、オダはやれやれと首を振った。
オダ「んなこたぁわかってんだよ!! だが、やれバックアップだ、リカバリだ、セキュリティだ、アクセス監査だ、ログ管理だ……とか、運用面も含めて考えはじめちまうとなあ……」
???「悩んでいるようだな、オダ」
オダ「ナカハラ!!」
三人「「「ナカハラさん!!」」」
またしてもいつの間にか背後に現れたナカハラは、カンダから要約を聞くと、皆を会議室へ集めた。
ナカハラ「RDBMSミドルウェアの選定ポイントだが、以下の2点に集約されるだろう」
ナカハラはホワイトボードに向うと、手早く要点をまとめた。
・コストが少ない → 導入、および運用が楽 ・信頼性が高い → 冗長化が容易
ナカハラ「基本的には、この2点が最も重要であるといっていい」
カンダ「オダさんも言っていた、バックアップやリカバリなどの運用面や、セキュリティ面での担保などは、とりあえず置いておいていいんですね?」
ナカハラ「ああ。バックアップとリカバリはともかく、データベース自体の暗号化やアクセスログ監査については、既存のOracle databaseでも行っていないからな。今回の要求仕様にも含まれていない」
カンダ「となると、あとは既存事例の豊富さ、日本語文献の豊富さ……などが選定ポイントになりますね」
トリイ「いざという時にベンダサポートが受けられるというのも、意外と重要じゃないですか?」
ナカハラ「確かにそうだな。それらの点も踏まえて総合的に考えると……」
オダ「……」
カンダ「……」
トリイ「……」
シバタ「……」
オダ「……とまあ、そこまで驚くこともねえな……」
カンダ「……妥当というか……」
トリイ「……無難な選択ですね……」
シバタ「……少々拍子抜けするくらいです……」
こほん、と軽く咳払いをしてナカハラは続けた。
ナカハラ「もちろん、『MySQL』を選択したのは理由がある」
ナカハラはあらためてホワイトボードへと向き合うと、マーカーを走らせた。
・オープンソースライセンス(GPL)である ・オープンソースRDBMSのデファクトスタンダードである ・Web/書籍共に技術資料が豊富で、要員も確保しやすい ・実績のある冗長構成(レプリケーション)が組める ・有料だがベンダサポートが受けられる
ナカハラ「……こんなところか」
シバタ「なるほど……」
オダ「まあ、その通りなんだが……そんな安直に決めてしまっていいのか? 前にも言ったがデータベース移行には意外と資料がない。どこが問題になるのかわからんぞ?」
ナカハラ「もちろんリスクは承知だ。だがそのリスクを『少なく』する方法なら、ある」
カンダ「となると、何か策が!?」
ナカハラ「うむ……これを見てくれ!!」
四人「「「「これは!!!!」」」」
http://dev.mysql.com/doc/migration-toolkit/en/
四人「"MySQL Migration Toolkit"!!!!」
ナカハラ「そう、これこそ既存の商用RDBMSから、MySQLに乗り換えるための……」
オダ「これは……まさに『ドンピシャ』なツールじゃねえか!!」
カンダ「なるほど!! これがあるからナカハラさんは、MySQLを使うのがベストだと判断したのか!!」
シバタ「このツールを使えば、簡単かつ自動的にデータベースが移行できるわけですね!!」
ナカハラ「そうだ。しかもこれはMySQLの開発元であるSun Microsystems謹製……
ナカハラ「そして同社は今やOracle Databaseの開発元であるOracle社に買収されている……!!」
オダ「つまり『品質もお墨付き』ってわけだな!!」
ナカハラ「まだ開発バージョンなので『万全』というわけにはいかないだろうが、このツールを使うことで、かなりの手間は削減できるはずだ!!」
カンダ「その浮いた労力をシステムテストや検証テストにつぎ込むことで、品質を担保しようという方策ですか!!」
トリイ「ミドルウェアとしても、MySQLは最も安心感の高い選択肢ですし、これはMySQLで決まりですね!!」
オダ「そうだな!! ここはMySQLで決まりだな!!」
ナカハラ「うむ。上の方には俺の方から方針を伝えておく……」
※この物語は事実をもとにしたフィクションです。
実在の人物、団体、商品とは一切関係ありません※