新米武装派フリーランスプログラマ男子(0x1d歳)

頭文字J ~コーディング最速理論編~ 神奈川エリア第3ラウンド保守運用 2nd Stage

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like on an only

I just saying now

if you're failing to night

like a bear

in here it if forgive me

baby could we give the graces love

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ギ ャ ア ア ア (プシャアッ) 
ゴ ア ア ァ ッ(シャアッ)

 「ほぅ‥ ついてくる‥ そうこなくちゃなァ‥」

 「‥‥っ!!」

 「オレはMBPだけでもう4台乗り継いでいる‥ マルチタッチトラックパッドのデビューは そりゃすげーインパクトだった‥」

 「17インチのアルミボディを買ったときはがっかりしたなァ‥ デカくて‥重くて‥ あれはジョブズの失敗作だ‥」

 「すぐに17インチを手放して もう一度15インチを買い戻し‥ そして4代目が このMBP Retinaというワケさ‥!!」

 「せえの‥‥どりゃあっ!!」

 「くっ!!」

 (そっくりだぜこの感じ‥‥ モヤモヤとまとわりついてくるこの圧力‥‥!!)

 (Precisionぶん回しているどっかのクソオヤジと‥‥ 嫌になるくらい そっくりなんだよなァ‥!!)

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 「いまさらだが MBPというマシンの強みは Intel製のCPUに Mac OS Xというオペレーションシステムを載せたところだろう‥」

 「ハッカソンに参戦したときも ライバルのWindows勢に比べて市場的に不利だと思われていたけど‥ フタを開けてみればシェアの高いWindows勢を圧倒する戦闘力だった‥」

 「理由はIntelゆえの安定したパフォーマンスの高さと‥ BSD/UNIXベースの特性からくる堅牢性の高さだろう‥ あまりにも目に付き過ぎるので 次の年からMac OSハンデなんていう わけの分からないルールが適用されたくらいだからな‥」

 「ビルドを走らせた瞬間にファンを全開にされ ハンドレストがやたら熱くなるMBPの加速感は‥ 細かい変更の多い保守運用フェイズでは 設計フェイズ以上にモバイルノートに対して有利だろう‥」

 「この難局をどうのりこえるのか‥ 実に興味深い‥ プロジェクトJの‥ コーディング最速理論が‥!!」

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 「アニキ‥ 梶原へのアドバイスなんだけど‥ 本当にアレだけで良かったのか‥?」

 「というより‥ 何もアドバイスはできないというのが 正直なところだろうな‥ あまりにも ムラマサとMBP Retinaのマシンスペックでは 差があり過ぎる‥」

 「Core i7のクアッドコアCPUに BTOカスタムで16GBのDDR3メモリを載せた MBP Retinaとでは‥ マシンの戦闘力が違い過ぎる‥ 普通の条件ならば 100回やって100回 すべて負けるだろう‥」

 「そんな‥!?」

 「普通の条件ならば といっただろう‥ 梶原が作戦どおりに最後まで実装できれば 千載一遇のチャンスは‥ 必ずくる‥!!」

 「‥!?」

 「問題はそれまで 梶原が食らいついていけるかということだが‥ オレの見積もりが正しければ この既存ソース‥ 梶原のゾーンがツボにくるだろう‥」

 「アニキ‥ 前から聞きたいと思ってたんだけど‥ 梶原ゾーンって どんな種類のものなんだ?」

 「理解するのは難しいぜ‥ 要はムラマサというマシンでソースコードをあつかう時の 熟練の度合いというか‥ そういうものが梶原の場合 ふつうでは考えられないレベルにあるんだ‥ 特殊な練習環境によるものだろう‥」

 「ああ‥ 中坊のころから 実家の同人誌通販サイトの保守運用を 全部やらされてたっていう‥」

 「業界ではマシン一体という言葉をよく使うけど‥ 現実的には1ギガ以上もあるプロセッサや HTMLで300メガ以上にもなるAPIすべてを 手足のようにあつかえる人間なんていない‥」

 「だけど梶原とメビウスのペアに限っては それに近いことが起こるんだ‥」

 「CPUキャッシュにヒットする瞬間の 一番おいしいところの出し入れが自由自在にできるし ソースを修正するコーディングと 機能を追加するコーディングの切り替えが自由自在だ‥」

 「その結果どんなことが起こるかといえば‥ あのムラマサは まるでクアッドコアのように加速する‥!!」

 「そんなばかな‥!! ありえないだろ‥」

 「もちろんありえない ムラマサはどう転んでもシングルコアだからな‥」

 「見るものにそんな錯覚をさせてしまうほど キレがいいということさ‥ 隣で見せ付けられたときのショックはでかいぜ‥」

 「同じような姿勢でコーディングしていても いちはやくディスクがソースを読んで オンメモリでコンパイルをかけて いちはやくいちはやくコミット体勢にはいる‥」

 「そんなプログラミングのスタイルがたまたま あのマシンのピーキーな性格にビシッとはまってしまう‥ 今のところオレにも 完全な説明はできていない‥」

 「アニキにも 説明できないことなんてあるのか‥」

 「あるさ‥ 特に梶原とムラマサのパフォーマンスは‥ セオリーだけでは説明できない!!」

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let me take a way

wanna be your name

don't you know me

her love speaking is

well me like your term

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ギ ャ ア ア ァ ァ(グワッ)
タ ァ ァ ァ ァ ァ ァ(ボンッ) 

 「このRetinaは本当にいいマシンだぜ‥ MBPの泣き所だったガンコな重さも500gも軽量化されているしよ‥ よく動くし よく走るんだ‥ こんな楽しいマシンは他にはねえよ」

 「マシンが分かってねえ奴にかぎって ちょっと金持つと バイオだのダイナブックだの使いたがる‥ オレは金はあるけど そんなもんにはまったく興味ねえ」

 「オレは死ぬまで‥ MBPだ!!」

 「‥くっ!!」

 (はや‥い)

 (きびしいぜ‥ いっぱいいっぱいも‥ いいとこだ‥)

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 プロジェクトの保守運用は チケット処理の連続である

 山のようにあげられたバグ票を確認し 再現し 修正し テストして コミットする

 コードを書く時間とは ほんの一瞬にすぎない

 その一瞬を 国分拓哉のMBP Retinaは ファンを全開にしてつっぱしる

 量産型プロセッサとしてはオーバークオリティなほどの 高精度なチューニングをほどこされた Ivy BridgeのCore i7

 モバイル可能なハイエンドといえば聞こえはいいが それはまさにApple純正の改造マシンであり MBPとは開発では無敵のデベロッパーマシン ピュアな戦闘機なのだ

 その戦闘機に納められた最新のIDEを用い コードアシストやリファクタリングといった支援機能を惜しみなく呼び出しながらも 

 バックグラウンドでは常に ビルドとユニットテストのインテグレーションを継続的に回し バグの発生を抑える

 まさに国分は モダン開発のお手本のようなコードマネジメントにより セキュアなスタビリティを確保していた

 一方 達海とムラマサはどうか?

 メビウスムラマサとは ひとことで言うなら「目のつけどころが シャープすぎた」マシンである

 コンセプトとしては 現代におけるUltrabookとまったく同じものであり その先見性の確かさに 疑問を挟む余地はない

 だが残念ながら マシンを構成するパーツの性能が 時代にそぐわなかった

 もし当時‥ より強力で省電力なモバイルプロセッサと 大容量フラッシュストレージがあったなら‥ 現在のPC勢力図は 違ったものになっていたのかもしれない

 だが想像はあくまで想像でしかなく 現実のムラマサは薄く軽いだけが取り柄の ただ非力なモバイルでしかない

 ゆえに達海のムラマサにあるのは 昔ながらの秀丸エディタと コマンドプロンプトのみ

 構文エラーどころか タイプミスすら許されない ギリギリの状況下で 達海はムラマサのわずかなリソースのありったけをそそぎこみ コーディングスピードへと変えていく

 膨大な量の作り込みで 達海の体の一部のようになじんだムラマサと 頭にすべて叩きこまれているAPIドキュメントがなければ とうてい実現できない 奇跡的なパフォーマンスの連続である

 疾走する銀色のMBP Retina

 追走するブラックホワイトのメビウスムラマサ

 神々しいまでに光を放ちながら 2台のマシンは稼働する

 聖地 三浦半島の山々でさえ見たことのない危険な領域へと

 今 バトルは突入していくのだ

→3rd Stageにつづく

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