エンジニア職から営業職へ転換した自分。苦しくも楽しくもあるこのIT業界について、職種を変えたからこそ分かる自分なりの視点で流行のキーワードをぶった切ります。

日本とクラウド(1)~クラウドコンピューティングの定義って何だ!?

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 今回のタイトルは「日本とクラウド」。

 クラウドというキーワードもここ数年で良く聞くようになったけど、果たしてそんなに素晴らしい仕組みなんだろうか?

 前回の「Androidの戦略」と同様に日本でクラウドコンピューティングが本当に流行るのか、本当に新しい技術なのか、日本の経済事情や日本人の民族性を踏まえて検証していきます。

■クラウドコンピューティングの定義

 ここ数年よく聞くようになったクラウドコンピューティング(以下クラウド)。

 皆さんはクラウドの定義をご存じだろうか?

 ウィキぺディアでは「ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態で、ユーザーはコンピュータ処理をネットワーク経由でサービスとして利用する」とある。

 筆者からすると「何、コレ?」だ。

 「ユーザーがコンピュータ処理をネットワーク経由でサービスされる」ことをクラウドの定義とするならば、「いわゆるクライアントサーバシステムだって、単なるメールだって、いつもみんなが見ているWebサイトだって全部クラウドじゃん」……だ。

 筆者はかれこれ25年以上もこの業界で仕事をしている。

 趣味でプログラミングを始めた頃を含めると30年以上はコンピュータと言うものに触れている。

 この長い歴史の中で、何らかの形でもネットワークというものを意識せずに仕事が成り立ったことはない。

 あたかも雲の向こうには素晴らしい世界が広がっているかのようなクラウドという言葉だが、筆者に言わせるとクラウドという言葉の由来は「雲を掴むようなモヤモヤ感満載のいい加減なコンピューティング」という意味にしか聞こえない。

 言葉を変えただけでクラウドなるモノは昔から存在していたと筆者は考える。

 現役のころ一緒に仕事をしていた仲間の技術者と話しをする機会があったのでいろいろ聞いてみた。

 口を揃えて言うことは「今さ、クラウド……っていうの? 流行ってるみたいじゃん。昔、俺らが使ってたホストもネットワーク越しにダム端末(Dumb Terminal)がぶら下がってたよね!? 基本はアレと同じじゃね!?」。

 このダム端末、調べると分かるが「馬鹿な端末」の意味であり、頭を使う処理はホストコンピュータ(メインフレームなど)が行い、端末側は「自分では考えない(頭脳がない、処理をしない)」ことを表している。

 筆者が今こうして原稿を書いているパソコン、これがダム端末だとはまったく思わない。

 だがクラウドと言われるサービスに代表される、「ソフトウェアやハードウェア類は遥か離れた地に置き、端末やユーザーはソフトウェアやハードウェアを所有することから利用することに重点が置かれる」ことがクラウドであり、また端末にそれほどの頭脳を必要としないのであれば、それはまさに20年以上も前に筆者が経験した「ホストコンピュータとダム端末の関係」そのものではないだろうか。

 かつて1機数千万~数億円する大きなホストコンピュータが中央に鎮座し、それにぶら下がった数百台近い端末を叩いていた時代があった。

 だが防災対策やコストの面から世の中は一極集中管理ではなく「ダウンサイジングによる分散処理」というものが主流になっていった。

 たしかに大きくてコストもバカにならない、運用維持も大変なデカい機械を使うより、小さくてコンパクトで低コストな機械のほうが電気代だって安く済むし、やりたいことがソコで実現できるならそのほうがいいに決まってる。

 だからダウンサイジングは時代と共に進みコスト面でも有利になった。

 携帯が小型軽量化されて進化して行ったのと同じだ。

 だがその実を見ると言葉だけが変わり、一極集中型システムの利用形態に戻ろうとしているのだ。もちろん中央のサーバ群は負荷効率や災害対策を考慮して「分散処理」しているかもしれない。

 だがサービスを利用しているユーザーから見れば「あるサービスを提供しているサプライヤは一極集中している」ことに変わりは無い。

 当然この業界でメシを食っている輩は次の時代のトレンドを作って行かなければ自分達のメシの食い上げになってしまうので、基本的な考えは同じでも呼び方を変えてユーザーにアプローチして行かなければならないだろう。

 ただそれにどんな意味があり、どんな手法なのかも分からずに、ユーザーに多額の投資をさせ、仕事を得る為だけにクラウドと言う単語を連呼し仕事を確保するやり手なバカコンサルにはうんざりする(笑)。

 ※そうは言ってもそんなバカコンサルが取って来た何千万、何億という仕事のお陰で末端労働者の自分達はメシを食って行ける事実があるので、安易に否定できない悔しさはあるのだが……。

 否定から入った今回のタイトル。この否定形を貫くためにも次回は「クラウドの手法」からスタートしたいと思います。

Comment(3)

コメント

こんにちは。いつも楽しく拝読させていただいております。

「クラウドの定義」というお話が出ていましたので少し。

日本国内(殊にSIer)で「クラウド」と聞くと、バズワード臭く聞こえてしまうのですが、クラウドコンピューティングの定義は明確に存在しています。

米国のNIST(National Institute of Standards and Technology)によって公開されている文章が、「クラウドの定義」として認知されています。
http://csrc.nist.gov/groups/SNS/cloud-computing/

日本語訳はこちらです。
http://agilecat.wordpress.com/2010/02/22/%E3%81%A8%E3%81%A6%E3%82%82%E9%87%8D%E8%A6%81%E3%81%AA-nist-%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E5%AE%9A%E7%BE%A9%EF%BC%9A%E5%AF%BE%E8%A8%B3-cloud-cloudcomputing-scloud-openmeti/

なにかのご参考になれば幸いです。

コラム中の「クラウドなるものは昔から存在していた」というのには同意です。
わたしも個人的にはSIerが掲げる「クラウド」は既存技術の言い換えにすぎないように思えてなりません。

Part2を楽しみにしています。

I'm out of leauge here. Too much brain power on display!

りょんたろう

私も同じように思っています。
Web2.0の時と同じように思っています。Web2.0って?・・・みたいな。
Web3.0って言うのが心理的につらかったからクラウドとか言っているのかなーと。
Web2.0⇒クラウド⇒???? Webギャラクシーとか言ったりするんでしょうかね?

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