髪盛ってるから森姫

アットマークマキアート物語ラブライフハック企画 『アットマークX'mas-森村編-』◆12月22日 ベンキョウ日和◆

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El_pink

 クリスマス特別企画・ IT業界の恋愛模様を描く集中連載。 ITエンジニアたちよ、恋愛していますか? 毎回、ちょっとしたライフハックネタも紹介。12月20日から12月24日まで、毎日更新!

◆ ◆ ◆

 ちょっと早めに出社すると、森田さんがひとりでこそこそなにかやっていました。

 これは、話しかけるチャンス。

 「あのー、森田さん?」

 「あら、おはよう。なにか?」

 「勉強会参加ストーリーみたんですけど……」

 さっきまで笑顔だった森田さんの顔が凍りつきました。

 「いつ?」

 「昨日」

 森田さん、ちょっとため息。小声で「きっとサラさんが……」とぶつぶつ言ってます。

 「勉強会ってなんなんですか?」

 「あら、森村さんはお勉強会をご存じなくて?」

 「昨日見た放送で、なんかとりあえず勉強する会合だというのはわかりましたけど」

 「興味あります?」

 「あ、はい」

 「ちょっとまってください」

 森田さんはさっとgoogleカレンダーを開きました。こっそりとそのカレンダーを見ると、地名と勉強会がぎっしり書いてあります。

 「こ、これは……」

 「IT勉強会カレンダー」

 「はぁ!?」

 そんなものがあるの!? 世の中って……。

 「今日の夜、青山で勉強会あるからいっしょにいきましょう」

 「え?」

 「興味あるんでしょ? 行かないと損しますよ」

 「えぇ!? でも今日は……」

 「おだまり!!女なら黙ってわたしについてこい!!」

 もはや脅しに近い森田さんの口調にわたしはつい

 「イエッサー!!」

 と答えてしまいました。なんていうか、この人、発言が突拍子もなさすぎる……。

 そんなわけで仕事が終わってから青山へ。

 わたしは森田さんにひっぱられ、とある有名な会社にきていました。森田さんいわく、「日記にここの会社名とかかいちゃだめよ!!」とのこと。とりあえず、誰もがきいたことのある有名な会社です。

 「お、姫さん、今日もきてるね~!!」

 知らないお兄さんが森田さんに話しかけました。だ、だれ!?

 「あれ? 今日は女の子が来てる」

 「は、はじめまして!!」

 「森村さん、お名刺だして」

 わたしはごそごそとかばんから名刺入れをとりだし、そのお兄さんに渡しました。

 「森村と申します」

 「Kwappaです」

 か、かっぱ!?

 いただいた名刺にはどーんとカッパの絵が。

 「森村さんは勉強会に興味があるみたいだったのでわたしがひっぱってきました」

 「強引だねぇ~」

 「興味がある女子を率先してひっぱってくるのがわたしの使命ですから」

 「ところで今日のLTの準備があるんだけど」

 「あぁ、はい。森村さん、ちょっとわたしいってくるからあとは適当に名刺交換してて」

 「え!?」

 いきなりそんなことふられても。

 「森村さん、勉強会はいろいろな人と出会うチャンスだから。今日からがんばって!!」

 「では、ごゆっくり」

 パソコン片手に2人は去っていきました。

 え!? こんな知らない人が多い場所で放っておかれるの!? 超怖い!!

 「あのー」

 後ろから知らない男性に声をかけられました。

 「はじめまして。僕は……」

 「あの……その……森村と申します!」

 そうやって名刺交換の嵐です。けっこうな人と名刺のやりとりをしていい加減、疲れてきました。勉強会は主に男性なのですが、女性もちらほらいらっしゃいました。本当、ちらほらですけど。

 「はい、じゃあ皆さん席についてくださいー」

 そんなアナウンスがあったのでてきとうな席に座りました。

 「あれ?」

 聞き覚えのある声が横から。振り向くとそこには……朝田さんが。

 「森村さん?」「朝田さん!!」

 お互いが「なんでここに!?」でした。

 「いや、わたしは森田さんにつれてこられて」

 「僕も最初はそうだけど……」

 あの人は……布教者か!!

 「それでは発表をはじめますー!!」

 勉強会開始!!

 2時間のセッションがあって、勉強会は終わりました。

 怖いところかと思えば、案外笑いの場所があって、なんだか楽しくなってテンションがあがってしまったわたしです。

 「どうでした、森村さん」

 「はい。すっごい楽しかったです!! こんな楽しい場所があるんですね!!」

 「そうよ。楽しいのですよ。それとこの言葉、覚えておいたほうがいいですよ」

 「なんですか?」

 「勉強しないやつに未来はない」

 「え?」

 「それではまた明日。ごきげんよう。朝田くん、森村さんを送って行ってね」

 「なんで僕が……」

 「おだまり!! 男なら黙って言うことききなさい!!」

 「はいぃぃぃ!!」

 「では、ごきげんよう」

 そうして、森田さんはどこかへ消えていきました。

 「あのおだまりって久実さんゆずりなんですかね?」

 がたーん!!

 わたしの発言にいきなりパソコンを落とした朝田さん。

 あれ? わたしなにか悪いこといったんでしょうか?

 「なんでもない……」

 「いや、パソコンがなんともあるでしょう」

 あわてて起動確認をする朝田さん。なんかかわいい。

 「勉強しないやつに未来はない、かぁ……」

 たしかにそのとおりだと思います。ちょっと名言ですね。

 「あぁ、久実さん……。久実さん……」

 なぜかなきそうな朝田さんの顔。

 「あのー、久実さんとなにかあったんですか?喧嘩とか?」

 「いいんだ!! 僕は勉強に生きる草食男子なんだからー!!」

 わたしの話をまったく聞いていないみたいです。喧嘩ではないみたいですけど。

 「あの、だから!! なにかあったんですか!」

 独り言をぶつぶつつぶやく朝田さんに、わたしは正面から話しかけました。いやでも視界にはいるように。

 ようやくわたしの存在に気づいてくれたのか、朝田さんは我にかえったように顔をぶるぶるとふりました。

 「なんでもない!! さて、帰ろうか」

 「なんか、おもしろいですね!」

 朝田さんって、なんだかかわいい。2人して青山駅に向かって歩き出しました。

 「そういえば、昨日はごめんなさい。わたしのせいで怒られちゃって」

 「気にしなくていいよ。怒られるのも上司の仕事だし」

 あぁ、本当に申し訳ない……。 

 「失敗してどんどん人は強くなるんだよ。だから、森村さんも一生懸命勉強してがんばって!!」

 「はい!」

 その後も帰りの電車で朝田さんにはげましてもらったり、勉強会についていろいろ喋ったりしてなんだか勇気が出ました。明日からもがんばろう!!

 気分転換にはこういう違う場所にでるのがいいのかもしれないですね! 他の人はどうやって気分転換しているのだろう……。

Comment(1)

コメント

森姫

第3話です。
このテーマは
「休日の気分転換」
です。
私個人としてはやっぱり外に出ることかひたすら眠ることなんですけど・・・。

ゲストは
kwappaさんですー。
そしてはずかしながらセルフなゲストで森姫さんですー(笑)
どこかの姉妹みたいなキャラですね。

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