業務知識を切り捨てよう
「業務知識」という言葉は、社会人であれば大体聞いたことがあると思います。IT業界では、システムを作る際に非常に重要なものとして扱われているところが多いと思いますが、実際に業務知識とはどれぐらい重要なものなのでしょうか。
もともと、業務知識は言葉どおり「業務遂行に必要な知識」と言われています。実際、業界の知識や日々の業務についての知識は、間違いなく重要であるでしょう。何かしらのシステムを構築する際には、業務知識がなければ本当にユーザーのためになるシステムを構築するのはできないとも言われています。
また、業務知識と似たような言葉として「業種知識」と呼ばれるものがありますが、こちらは業務知識よりも業種全般での知識ということもあり、どちらかと言わずとも汎用的なものが多く含まれていそうです。
その業務知識ですが、勤務先が変わると途端に通用しなくなるものが意外と多く含まれているのが実態ではないでしょうか。
ある企業での業務知識が、そのまま他の企業で通用するこというのはなかなかに稀な事柄かと思います。重要と言われている業務知識ですが、実際に汎用的に通用する知識というのが思っているほど多くはないのではないでしょうか。
このあたりは経験を積むことにも繋がりますが、本当に重要なのは「汎用的な知識と、そうでない知識を切り分けられること」、そして「自分が身につけているものを必要以上に重要視しないことなのではないか」、と私は考えています。
本当の意味での業務知識は汎用的なものである必要があり、そうでなければ業界としてどうだ、という話が誤った方向へと進んでしまうことになるでしょう。どれだけの数を経験したか、それも重要ですがそれを踏まえて知識の切り分けができるようになってこそ、はじめて業務知識と呼んで差し支えないものではないかと思います。
私個人の感覚としては、世の中では必要以上に業務知識を偏重する考え方が多いと感じています。生涯1カ所の企業に留まり、他企業との関わりを持たないのであればそれも構わないでしょう。ですが企業として活動する以上、他の企業と取引をする必要はありますし、いまのご時世では転職を行うことも珍しくありません。そのような状況ですなので、本当であれば業務知識というものにそこまで重きを置くことはどうかと思えるのです。業務知識よりも業種知識を優先させなければ、独自ルールを標準ルールと錯覚してしまい以後の過ごし方に支障が出てくることも十二分にあり得ます。実際にユーザーと話をしていて業務知識と思っていたことが実はローカルルールだった、という経験をした方は少なくないと思います。
このような点をふまえると、あまり業務知識に囚われすぎるのも考えものではないでしょうか。知識というのは経験から導き出された法則のような面を持っています。この「経験から導き出された」という部分があるために、逆に改善を阻害する事も起きえます。過去の慣習に囚われてしまい、新しいことができなくなってしまう状況は、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
このように考えると、重要であるはずの業務知識ですが、過剰に重要視するとデメリットが大きくなります。ケースバイケースと言わざるを得ないのが難しいのですが、環境に合わせてどこに線引きを行うかが、今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。そのために多くの物事を見聞きしていくことが、非常に重要なポイントになっていくのではないかと感じます。
経験や知識に縛られることは、時としてデメリットしか生み出しません。いろいろな事柄が進化していく昨今、過去に縛られる状態から脱する必要性が日々高じているのではないか、と私は思います。
コメント
クリケット
こんにちは。
ケースバイケース、環境に合わせてということですが、
どういう場合は切り捨ててOKとお思いでしょうか。
顧客の業種や規模などによるのでしょうか?
プロジェクトの形態などですか?
あまり、そのように思ったことが無いので
出会った案件や経験に左右されるのかなあと思い質問させてもらいました。
Ahf
クリケットさんコメントありがとうございます。
私個人の考えとしてですが、切り捨てを行う場面としては、
・同業種における顧客にて異なる事が発覚した場合
・業務上、何かしらの改善を行う必要(提案も含め)が発生した場合
が多いのではないか、と考えています。
同業種における顧客にて発覚するようなケースは、パッケージ的なシステムを扱う場合に遭遇しました。こちらについては、どこまで多くの顧客と接する事ができるか、がポイントなのだと感じています。
改善を行う必要がある場合ですが、システムの開発や効果的な運用を行うにあたり、現在の業務フローを見直すことも必要になると思います。このような場面で、今まで培われてきた経験を元に考えた場合、有効な改善を行う事は意外と難しいのではないでしょうか。
このあたりは、顧客に言われたままのシステムをつくるかどうか、という点にも関連しますので私自身も日々勉強中です。大胆な改善を受け入れる事ができる風土なのか、小規模な改善を細かく繰り返すのが適している風土なのか、そのような前提となる条件からも切り捨てる程度は異なると思います。
どこまでが業務知識でどこからがローカルルールなのか、と問われると私は回答に窮してしまいますので、まだまだ経験不足だな、と感じています。
あまり上手いこと書けずに申し訳ありませんが、このように考えています。