いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

新入社員の君へ。

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飯食って寝てろ

よう、新人ども。クソみたいなIT業界に腰までつかってみた感想はどうだ?加齢臭に満ちたオフィスで噎せ返ってることだろう。不健康そうな先輩がたの近くに寄ると、何かアセトアルデヒトみたいな匂いがしたり、変な生物的な臭いに目眩を起こしてるんじゃないか?会社説明会で想像していたのと全然違うだろう。

ちなみに、極度に疲れていて、アルコールを分解しきれないとアセトアルデヒトのような匂いがするようだ。自律神経やら内臓の機能が正常に働かないと、体内の化学物質のバランスが崩れるようだ。変な生物的な臭いの原因は、バランスの崩れた化学物質か、その影響を受けた微生物の影響だったりする。あとは、忙しすぎて単に風呂に入れないというのもある。

度重なる激務とプレッシャーに晒され続けるとああいう風になってしまうものだ。だからと言って、その人の人生がすごく辛いかと言えばそうとも限らない。辛かった分、楽しかったこともあったろう。ただ、結果として身体に負担がかかり過ぎているので望ましくない。何か変えるべきものがあったのだろう。普段からボロボロな状態では成果は望めない。

だから無茶して身体に負担をかけてるんじゃない。しっかり栄養のあるものを食べて、十分な睡眠を取れ。無理する習慣がつくと、身体がぶっ壊れるまで無茶をする。不摂生を覚えると習慣になって抜けなくなる。今が自分のライフスタイルを決める大事な時期だ。だからこそ、しっかり栄養を取って十分な睡眠を取り、万全な体勢で仕事む習慣をつけて欲しい。

お前にできる仕事などない

颯爽と活躍するやり手のビジネスマンを夢見て社会人デビューしたヤツもいることだろう。しかし、あんなのはドラマでしかいないんだよ。現実は肥溜めの中での殴り合いみたいなものだ。どうしても人間的に汚い部分が露わになってしまう。ビジネスとはそういうものだ。現実に裏切られ愕然としているんじゃないか?

そもそも、入って数ヶ月で何が分かるというのだ。逆に、それでバリバリに仕事をこなせると考える方が間抜けだ。もし、先輩がたがそう考えているなら、そいつらは間抜けだ。理論的な思考ができなくなった人と認識していい。学生時代、よほどの積み重ねをした人でもない限り、新人で活躍というのはありえない。

先輩がたも新人の頃は全く仕事のできないヒヨッコだった。偉そうに注意している内容は、かつて自分たちができなかったことを注意している。今の俺のように苦労するなという意味だ。もっとも、注意しつつも未だにできていない人もたくさんいるのだが。目先の成果ばかり追って、足元を固めるのを怠るとそうなってしまう。変に成果を出すと、後に引けなくなってしまうのだよ。

すぐに成果が出ないことに憤るな。まだ技術も経験も無いのだ。成果を焦らずに足元を固めよう。そもそも、新人に過剰な成果を求めてくる会社というのは、だいたい行き詰まっている。そんなところで成果を求めても無意味だ。転職に有利な条件を揃えよう。今は基礎を固める大事な時期だ。成果を焦らず、じっくりと足元を固めて行こう。着実に積み重ねていけば、ある時点で成果は出るようになるから安心しよう。

家に帰って泣き言でも言ってろ

新人が会社にものを申すなど十年早い。そもそも会社は新人に意見など求めてはいない。会社の言うことを聞いていればいいのだ。言われたことをやれ。口答えするなら会社には要らない人だ。ものを申すなら、「Yes」以外の言葉は認めない。言葉を並べる前に、まず成果で語れ。分かったらさっさと働け。

そういう厳しさを乗り越えて先輩方は戦ってきた。実際に、言われたことに「Yes」と答え、会社の意思を100%実行するために、日々、しのぎを削っている。会社に意見をする人はいないはずだ。新人の時代から、そうやって会社を支えて、今に至っているのだ。その積み重ねの重さは数ヶ月働いた程度の人には理解できないだろう。

だが、結果なら理解できると思う。現在の日本では給料水準はどんどん下がっていき、親父の世代の収入には遠く及ばない。その割に、業務内容ははるかに高度なものを求められる。驚くほどに苦労が報われていない。実質的な成果を積み重ねの重さで割ったら、泣き言が出るのは先輩がたの方だ。現実を見たら愕然として動けなくなる。だから振り返らずに会社の意志を追い続けるのだ。

雰囲気に流されずに現実を見定めろ。これからの未来を担う人だ。現状に打ちひしがれたなら、家に帰ってから泣けばいい。溜め込まずに人に話そう。悲しみを感じるのは現実を見据えているからだ。決して悪いことじゃない。人は悲しみを感じなければ真剣に考えることをしない。理不尽に押しつぶされそうになっても、考え続けることで強くなっていって欲しい。

成果が出せないなら要らない人間だ

プロとしての厳しさを噛み締めろ。仕事は遊びではない。成果と引き換えにお金を貰って生活をしていくものだ。そうやって、会社を支え、家族を持ち、そして社会が成り立っている。プロとしての自覚が持てないなら、社会人としてはいつまで経っても半人前だ。いつまでも学生気分でいると、世の中から置いていかれる。

そういう先輩がたのプロとしての自覚は本物だ。しかし、プロとしての実力は必ずしもあるとは限らない。ニュースを見ていて分かると思うが、大企業や政府のような社会の中核になる組織でさえ、不祥事が相次いでいる。プロとしての自覚がなければ、不祥事を起こす前に逃げるか、無理そうだと思った時点でやらない。プロとしての自覚が故に、嘘をつきながら頑張るのだ。そして、できないと分かっていても嘘をつき続ける。

実際のところ、プロとしての自覚に固執するが故に、日本は世界から置いていかれている。世界からしてみれば、いつまで経っても半人前な人たちなのだろう。そもそも、人生を楽しむことを放棄した人は社会人以前に人としての尊厳を放棄している。学生時代のように何かを楽しいと思えるような心は原動力になる。

人生における成果は幸せになることだ。これを放棄して人に辛く当たると、結果的に要らない人間になってしまう。新人の君が出すべき成果は幸せを掴むことだ。何が幸せかはそれぞれが考えればいい。ただ、不幸な人間が増えることほど迷惑なことは無い。一人でも多くの人が幸せになるべきだ。あわよくば、仕事を通じてそれを実現して欲しい。私が新人に望むのはそれだけだ。

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