いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

計画性とか言う前に考えて欲しいこと

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なぜそのプランがうまくいかないか

 IT業界にいると、うまくいかないプロジェクトの話を腐るほど聞く。そういう話については、語り尽くせぬほどネットに出回っている。今更私が語ることでもなさそうだ。今回のコラムでは、IT系のプロジェクトでなぜうまくいかないかではなく、どうすればうまくいくかということを考えてみようと思う。

 と、その前になぜ計画というのを立てるのだろうか。計画を立てるというのは一つの手段に過ぎない。物事を成すにあたって、まず行動してみる、考えながら行動する、という手段もある。時と場合によって、これらを使い分けるのが最善ではないだろうか。

 もし、計画を立てて行動するのが常に最善と考えるのであれば、まず行動する、考えながら行動するという、二つの手札を使わないことになる。その分、取れる手段の選択肢が減る。事を成すにあたって、不利になるのは明白だ。

 最初に計画を立てるか、とにかくやってみるか、考えながら行動するか、これらの手段を、状況を見ながら切り替えることで、驚くほど柔軟に対応できるようになる。これだけでも目的の達成率はぐんと上がるはずだ。

プランを立てる時にこれだけは認識しておこう

 プランと目的を混同しているのをよく見かける。目的はゴール地点だ。そして、どの道を通ってゴールに辿りつくか。それがプランだ。ゴールに辿り着く道は一つではない。プランから外れることは、即ゴールに辿りつけないという事ではない。プランと目的を混同すると、ずれた時に修正が利きにくくなり、破綻しやすくなる。

 もう一つ重要なのは、実現できる見込みのあるゴールを設定することだ。自分の願望をぶちまけてゴールを設定するなら、どんなに能力が高くても失敗する。要求する内容が多くなればなるほど、実現できる可能性は低くなる。ゴールを設定する時は、自分の願望が暴走しないように気をつけよう。

 世の中にはプランの立て方のハウトゥー本がいっぱい出回っている。だが、それらを読んでもプラン自体の成功率は変わらない。正確に言えば、目的を達成するための難易度は変わらない。成功するか否かは、目的を達成できる条件を幾つ揃えたか。それに尽きる。プランだけでそれは覆せない。

 実際のところ、自分の立てたプランがどの程度うまくいくかといえば、良くて三割だ。もしくは、九割うまくいかず、最終的な目的は達成できた。実感としてはそんな感じじゃないだろうか。そんな観点から見ると、SIerの書く計画書は何かのギャグにしか見えない。

プランを実行する上でやってはいけないこと

 計画を立てて行動する時にやってはいけないこと。それは、減点方式で評価をくだすことだ。これをやると、取れる行動の幅が一気に狭まり手詰まりになりやすくなる。そして、間違えないための努力をするようになり、考え方が保守的に偏ってしまう。

 計画を立てるということは、行動に対して制約を加えることだ。そこに、更に減点方式で評価を加えると、さらに強く制約がかかる。仕事で、新人や部下がヒヨヒヨして動けなくなっていたら、十中八九このケースに当てはまる。

 減点方式の評価というのは破壊力が強い。その割に簡単にできてしまう。達成したはずの目標も無にすることもできる。九割達成したプランでも、責任者の「全然できてないぞ!」の一言で、全てが破壊されてゼロになることもある。

 プランを達成するというのは、小さな達成の積み重ねだ。達成とは、肯定無くして成り立たない。肯定する条件がプラン通りに進んだという基準だけでは、どうしても小さな達成が積み重ねられない。それが減点方式の評価を避けるべき理由だ。

良い計画を立てるためには

 では、良い計画を立てて結果を得るにはどうすればいいのだろうか。私としては、肯定的に物事を考えられることだと考えている。肯定的といっても、単にテンションが高いだけの脳天気ではない。できた事に対して「できた」と肯定することができる能力だ。

 ここらへんは、巷のプラス思考になれるという触れ込みの本を読むと、かえって分からなくなる。できた事をできたと肯定するには、明確な基準が必要だ。これは、正確な知識や、人の話を判断する高い能力が問われる。

 また、できた事をできたと明確に判断するためには、できなかった事を素直に認める力も問われる。できたというプラス面と、できなかったというマイナス面を正確に見極める。これができなければ、何が良くて何が悪いという基準出せない。肯定したとしても、基準があやふやだと説得力がなくなる。

 計画性が高いというのは、単に多くの項目をリストアップできるかということではない。いかに事実を正確に見極めることができるかにかかっている。そのためには、肯定的思考ができることは必須だ。今、日本人に一番抜けている要素が、この肯定的思考ではないだろうか。

Comment(1)

コメント

>責任者の「全然できてないぞ!」の一言で、全てが破壊されてゼロになることもある。
これはその通りですね。
いくら計画立てても、目に見えないから、お互いのイメージがずれやすいですしね。
細かく提出して見せてても、「あ、やっぱりこうして」と簡単に仕様が変わってしまうところもありますし。
だから仮納品前は緊張します。

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