いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

それでも派遣はかわいそうといい続けられるか

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◾︎先週書いたコラムの続き

 先週、「派遣はかわいそう」の意識をあらためてほしいよねというコラムを書いた。コメントにそれぞれの立場からのご意見を頂き、良い考える材料になった。コメントを付けようと思ったが、それぞれの意見に横槍を入れるのも無粋な感じに思えたので、コラムの続きを書いてみることにした。

◾︎正社員もかわいそうだ

 派遣がかわいそうと憐れむ人も多いが、正社員も大概だと思う。不安定なのが派遣のデメリットなら、正社員のデメリットは牢獄のような拘束だ。派遣の給料が安いというが、正社員には無償残業が押し付けられることが多い。時給で見たら、派遣の方が高くなるケースもある。

 派遣か正社員かの違いは、火炙りにされるか串刺しにされるかの違いみたいなものだ。私はそう考えている。どっちも痛い。比べること自体がナンセンスだ。立場どうこうより、日本の労働環境全体が悪化していることを問題視すべきじゃないかと思う。

◾︎現状を言い当てるだけでは利益は無い

 コラムのコメントで「その意見は現実にそぐわない」と何件か意見を頂いた。それはごもっともだ。現実なんて、立場によっていくらでも見え方が変わる。多分、私とは違った立場にいる人なのだろう。よく読んで参考にさせて頂いた。

 派遣がかわいそうというのは、火炙りされてる人が串刺しされてる人を見て「かわいそうだ」と言ってるようなものだ。私はそう思っている。結局はどちらも悲惨だ。奴隷の鎖自慢にしかなっていない。この手の悲惨さをコラムで訴えると、非常に多くの反応が得られる。なので、問題提起にはよく題材として利用している。

 「あー、悲惨だね。」で共感しても意味がない。必要なのは考えるきっかけだ。よくコラムに解決策を書けという意見は聞くが、コラムで解決方法を提示できるレベルの問題なら、そもそも悩まないだろう。考えたら何か書きたくなるのが人の心情というものだ。なので、コメント欄は解放している。

◾︎時給6500円の女性エンジニアを取り上げた理由

 時給6500円という金額に反応する人が多いと思ったからだ。そしてこれをどう思うか。何かを考えるきっかけとしては十分なインパクトがある。これについては、今の時代ではあり得ないという意見を多く頂いた。だが、本当にそうだろうか。

 時給6500円を年収計算したら、年収にしてだいたい1200万だ。エンジニアでも年収1000万くらい稼いでる人はいる。時給6500円があり得ないというなら、その人が年収700〜400万くらいの世界しか見ていないからだろう。であれば、確かに「その人には」あり得ない。そういう点では事実だ。

 しかも、ずっと時給6500円ではない。ピークで時給6500円だ。これで実現するハードルが一つ下がった。時給の額に波があることを想定して、トータルで年収800万くらいで落ち着くとすれば、実力次第では十分手が届くと思われる。実際に実現している人もいるだろう。そう考えると、時給6500円の女性エンジニアの話も、そう現実離れしているは思わない。

◾︎新しい働き方の切り開き方

 ぶっちゃけ言えば、時給6500円の女性エンジニアの話が時代の一例であっても問題は無い。1800円くらいが相場と思われていた相場で、女性エンジニアが6500円の時給をたたき出した。その事実だけで十分だ。重要なのは金額ではない。相場を乗り越えたという、変化を起こしたことだ。

 確かに今の日本の状況で時給6500円は難しいかもしれない。だが、何らかの変化なら起こせるはずだ。例えば、リモートワークを導入して労働環境を劇的に変えたエンジニアなら実在する。年収が伸びたかどうかは知らないが、リモートワークに切り替えることで、子育てに十分な時間や健康、豊かな自然環境を勝ち取っている人もいるようだ。

 新しい働き方というのは、単に多くお金をもらえる働き方ではない。お金以外の対価を得る方法もある。もし教育にお金のかからない世の中になれば、そんなに血眼で稼がなくても悠々と子供を育てられる。そうなれば働き方も自ずと変わるだろう。

 変化を起こすのは会社かもしれない、個人かもしれない、それとも時代かもしれない。派遣とか正社員とかそういう小さな枠組みに収まるものではないように思う。変化は必ず訪れる。個人としてできることは、変化への対応力を鍛えることではないだろうか。

Comment(1)

コメント

EXCELER

行政機関の仕事を直で受注した時は、時給5250円でしたね~。
まあ、トップクラスの派遣エンジニアなら年収は1200万くらいは行ってる
でしょうから、時給6500円でも不思議はないです。

私も並みのエンジニアですが、お客さんが元請けに支払っている金額は一時間7500円だった案件もありました。上流で契約できればできるほど高い金額取れるでしょうね。

だいたいITエンジニアといえば世界中で高給取りですから・・。日本だけですよ、技術者や科学者が冷や飯食ってる国は

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