いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!

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■エンジニアは無駄を嫌う

 仕事ができる条件。その一つに、無駄を省く技術というのがある。エンジニアならなおさらだ。いかに無駄を無くすか。それがエンジニアの能力の高さとも言える。なので、エンジニアであれば大概の人は無駄を嫌う。

 大概の人が、いや、ビジネス的な思考の人の考えでいくと、最短ルートから逆算してそこからはみ出したものを無駄と言う。だがどうだろう。無駄を嫌うのは問題無いが、無駄を嫌っても無駄は減るものではない。

■最大の無駄、それは努力だ

 努力に対してこういうひねくれた考え方ができる。例えば、C言語をマスターするためにAさんが10回本を読んだと。そしてC言語をマスターした。Bさんは5回読んでC言語をマスターしたと。C言語をマスターしたという結果は同じだが、Aさんは5回余計に本を読んでいる。Bさんと同じ読み方をすれば5回でマスターできたはずだ。Aさんは5回本を読む労力を使わずに済んだはずだ。なので、Aさんの読んだ5回本を読んだ労力は省くことができる。Aさんは無駄な労力を費やした。

 方法論だけ追えばこういう考え方ができる。また、こういう論法で考える人は実際にいる。最小限の努力で最大の効果を狙う人だ。たしかに少ない努力で多くの結果を得られれば嬉しいだろう。だが、この方法でうまくいってるのをあまり見たことが無い。

■最短ルートという落とし穴

 逆説的だが、最短ルートを狙うのが一番効率が悪い。それが私の結論だ。考えてもみよう。同じ結果を得るために時間を短縮したら、労力はそれに比例して増える。思えば当たり前のっことだ。同じ100mを走るのに、全力疾走すればタイムは縮まるが疲れる。常に最短ルートとは、常に全力疾走と同じことだ。

 最短ルートを狙うのは、短期決戦単発勝負においては有効だ。だが、継続的な課題に対して最短ルートばかり狙っていると、どこかで息切れを起こす。これが少ない努力で最大の結果を求める人がうまくいかない理由だ。100mを10秒で走れる人が1000mを100秒で走れる訳が無い。ペースを配分する必要がある。そのペース配分と理想のギャップ。これがよく無駄として語られる。

■無駄の中に潜む宝石の原石

 最大の無駄とは、無駄を無駄と考えることだ。無駄を無駄と考えるから無駄となるのだ。分かりにくい言い方なので簡単に言おう。どんな事がおきても、それを糧にすればいい。

 新しいアイディアとは、大概本筋と関係ない事をしてる時にも閃く。特に、斬新なアイディアほど実現のために膨大な試行錯誤が生じる。この試行錯誤を減らす努力より、活かす努力をする方が建設的だと思うのだ。

 一見無駄と思えるものでも、素晴らしいヒントが秘められていることがある。それを事前に知ることはできない。直面しないとそれとわからないものだ。過剰に無駄を省くと、拾い物のようなチャンスを多く逃すことになる。

 無駄を省いたつもりでチャンスを逃す。そんな残念なエンジニアにはなりたくないものだ。極限まで無駄を削ってはみたが行き詰まった。そういう時は、発想を切り替えてみてはどうだろう。状況打開のヒントが浮かぶかもしれない。

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