Microsoftがイノベーションを起こすには。
■コレじゃない感が拭えない
Mac OSだったら、なにか「お!?」と思わせる機能が追加されたり、パフォーマンスが上がる。Ubuntuだったら、地道な改善が成されている。しかし、Windowsはバージョンを重ねる毎に、なにかコレじゃない感が漂う。
確かに、いろいろな機能の追加はされている。だが、新しい機能のいずれも練り込みが甘い気がする。新機能として追加された時は役に立たないが、何度かリリースを重ねる毎にまぁ使えるかというレベルになり、サポート打ち切りちょっと前に完成度が高まる。そんな風に感じる。
■新機能のリリースを考える
製品についてどういう考えを持っているか。新機能を見るとそれがなんとなく分かる。どういう新機能を追加するかというプランは、その製品の使い方を提示する上で重要だ。ココらへんはAppleは上手いと思う。製品のWebページを見ても、コンセプトが分り易い。逆にMicrosoftはそこがヘタクソだ。
Microsoftの製品の概要を知りたい時は、MicrosoftのWebページを見るより、Wikipediaを見た方がコンセプトがよく分かる。プロダクトやサービスの名前がコロコロ変わるのも、コンセプトの部分が弱いからじゃないかとも思う。
■イノベーションはむしろ省くことから生まれる
Microsoftの最大のミスは、機能を追加することでイノベーションを生み出そうとすることだ。二番目のミスは、機能が中途半端なことだ。クラウドがもてはやされたのも、物理的なサーバを省く事ができるからだ。iPadがもてはやされたのも、キーボードとマウスを省いて、仕組みを簡素化したからだ。実際のイノベーションは、何かを追加するのではなく、何かを省くことができる事で実現されているように思う。
では、Microsoftは何を省けばイノベーションが生み出せるか。それは、費用と管理工数だ。事実、AWS等でMicrosoftのライセンス料がかからないのには、軽くイノベーションを感じた。厳密には、使用時の費用に含まれてはいると思うが、CALだの何だの面倒臭い計算をせずにバン!と使えるの画期的だった。(参考ページ)
そもそも、ライセンス料の計算だけで一つの業務が成り立つレベルで複雑というのもいかがなものか。お金がかかるのは仕方ないが、お金払うための敷居が高いのには納得がいかない。それを解消してイノベーションというのもおかしな話だ。
■新しいWindowsのビジョン
率直、Windowsに新しいビジョンは見出だせない。Windows XP関連のニュースを見る限り、物事の新機軸を生み出すどころか、古いものにしがみつかせることに世の中を方向付けている。よくわからないが、やってることはイノベーションと全く逆方向だ。
結論として、Microsoftはイノベーションを目指すべきでない。逆方向を突き抜けた先を目指してみたらどうだろう。Windows 9 が出るとするなら、Windows 7 のセキュリティーホールを徹底的に塞ぎ、アップデートに時間がかからないように改善したものを出したらどうだろう。
よく考えて欲しい。Windowsの利点は古い資産やサードパーティーの資産が活用できることだ。逆に言えば、それ以外に大きな利点は無い。だったら、イノベーションのような賭に出るより、徹底的な現状保持という手段も有りだと思うのだ。世の中に一定数、変化を拒む人種がいる。うまい形でそこに応えることで、何らかの価値を生み出せないだろうか。
イノベーションを起こす資質のない組織がイノベーションを目指しても何も生まない。だったら、進化ではなく最適化に将来を模索する。そいういうスタンスも考えられる。どうだろうか。
コメント
Masa
Microsoftの場合、宣伝が下手すぎるだけのような気がする。
肝心なところは全然宣伝しないで、目立つ(しかも未完成な)機能ばっかり宣伝して自滅している感じ。
Surfaceならキーボードつけ外しできる(ノートPCとしてみても使いやすい)タブレットとか、Windows RTならパソコンとシームレスにデータ交換できるタブレットOSとかそういう得難い特徴があるのにそういうところは全く宣伝していない。
(タブレットOSの選定でスマホとのシームレスなデータ交換っていうのは言われるけどパソコンとのシームレスなデータ交換なんて言われたところを見たことありません)
Microsoftのイノベーション戦略と言ったら「サーバ、クラウドからスマホまですべてを単一環境でカバーする」ってところだから、やってること自体が間違っているとは思いません。ただ、見せ方の下手さはどうにかしてほしいなと思います。
まぁMicrosoftの製品で飯を食ってる立場だからあまり言えないけど。
Theia
正直なところMicrosoftはイノベーションを起こしていないのではなく、本当の意味で価値のあるイノベーションを選び出すように宣伝の対象から外しているように思う。
Windows 8,8.1について言っても…
・ライブタイルは「起動していないアプリは状態を更新できない」というコンピュータの常識を覆している
・ブートシーケンスの常識を覆した高速ブート
・IE11でタブバーやアドレスバーを下に持ってきた事で操作のたびに手で隠すことを排除した(メジャーなiOSやAndroidでは行われていない)
・全てのコンピュータを妥協する事無く自分のPCのように使えるWindows To Go
といったようにAppleと同程度あるいはそれ以上のイノベーションを果たしているのにこれらが大きく宣伝されることがない…
他のOSでは当の昔に当然となっていたようなスタートメニュー相当のランチャーであるLaunchPadをMac OS Xに実装した時に大々的に宣伝したAppleとは正反対だ…。
仲澤@失業者
M$さんの弁護をするわけではありませんが、
C/C++言語プログラマとして、30年も生活していると、
M$さんの革新ぶりには感心してますです。
Visual Studioの最初のバージョン(Visual C++)は
1993年の事だったと記憶してますが、画期的でしたね。
それまではコマンドラインからのMakeだったので、面倒で
しかたありませんでしたが、GUIからコンパイルできるのは涙が
出るほどうれしかったです。
C++をメジャーにしたのもこれのおかげかもしれません。
それに比べるとUnixやMac系のプログラマは、
ややかわいそうに思います。最近はややマシになったようですけど。
振り返ると、レドモンドのC/C++言語チームの皆さんに
お礼を言いたいくらいです。
もっとも、OSチームの皆さんにはもうちょっとがんばってほしいですね。