いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

次の一手

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■できる人とできない人の差

 仕事のできる人、スキルのある人、女性を口説くのがうまい人(!?)。これらの人が共通して持っているもの。それは、次の一手だ。

 次の一手がなくなれば、状況に流されるしかない。よほど運が良くない限り、状況が好転する事はない。チェスなんかだとよく分かる。次の一手が完全になくなれば、チェック・メイトだ。頑張ってもスティール・メイトが関の山だ。

■伸びる人と伸びない人の差

 実はスキルを身に付けるときも次の一手は重要になる。理解できないものに対してどうアプローチするか。これにもチェスのような一手一手のやり取りがある。例えば、自分の理解できていること、できていないことを洗い出したり、別の方面から情報を集めたり、情報を組み合わせて意図を読んだりと。

 闇雲に知識を詰め込んでもスキルは上がらない。キチンと一手一手を詰めて、結論に納得しなければ知識はスキルに昇格しない。知識を身につけた段階や、低いレベルで満足してしまうと、次の一手を探さなくなる。そういう人は、正に詰めが甘いと言えるだろう。

■ネットだけでスキルが伸びない理由

 よくITのスキルの話になると、「ネットの情報だけでなんとかなる」という人を見かける。これを言う人は、大概は低いレベルで満足してるだけの人だと思う。

 自分がスキルを身につけるために必要な次の一手。実は、ネットから次の一手を見つけるのはとても難しい。ネットの情報は断片的な情報が多い。例えば、ピンポイントなソフトの操作方法、インストールの手順、特定の事例等、ピンポイントな情報が多い。

 ネットの情報は、いわば辞書のようなものだ。例えば、辞書だけを見て外国語が話せるようになるだろうか? キチンと文法を覚えなくては、話せるようになれない。スキルを身につけるには、知識が体系付けられ、一連の流れになっている書籍の方が適している。

 書籍を熟読し、実際に試して納得できれば、流れが分かるようになる。ネットの情報が役に立つのはそれからだ。流れが分からなければ、次に何をネットで調べればいいか見当がつかない。つまり、実質的な手詰まり状態になるからだ。

■師匠を見つける方がいい理由

 よくITのスキルの話になると、「独学で十分」という人を見かける。これを言う人は、大概は寂しい人か、学習効率の悪い人だと思う。

 人に頼るより自分一人でできた方が確かにカッコいい。しかし、実際はカッコいい以外にあまり利点はない。また、よほど頭の良い人でもない限り、一人で学習するのは難しい。すでにスキルを身につけた人は、流れを知っている。自分が行き詰まったときの理由が分かるので、打つべき次の一手を指し示してくれる。

 もちろん、知ってる人に頼りきるのは良くない。師匠を見つけ、教わるべきは知識ではない。一連の流れだ。チェスで言うなら手筋だ。場面場面での最適な一手と、それを裏付ける理論。これは知識というより思考パターンだ。本だけで習得するのは難しい。

■スキルアップの次の一手

 戦略やトラブルシューティングで次の一手が重要視されることはよく理解されている。ただ、スキルアップで次の一手が語られることはあまり見かけない。知識を詰めこめば何とかなると思う人が多いからだろうか。また、一連の流れを身に付けたとして、それを言葉にするのは難しい。

 また、スキルアップさせる上で、次に何を覚えていくか。自分の現状に満足すると、その一手が浮かばなくなる。努力すべき項目が浮かばなくなれば、当然成長はそこで止まる。スキルアップでも、次の一手はを考えることで一歩先のスキルが見えてくるのではなかろうか。

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