IT技術は人の雇用を奪うか
■結論。それは無い。
この前、何かのニュースで「IT技術の進歩が雇用を奪う」なんて見出しの記事を見た。正確に覚えている訳ではないが、IT技術が進歩することで人が要らなくなり、雇用が減るというのだ。
私はこのニュースを見て、ナンセンスだと思った。雇用が減っているのは事実だが、原因はITを含めたいかなる技術でもない。今の人類のもつ技術なら、今の数倍の人口を賄えるくらいのものはある。それでいて、これだけ仕事が忙しいのだ。何かがおかしい。
人手が要らなくなったので、無駄な仕事を増やしに増やした。今に至って、無駄を増やしきれなくなったので雇用が減っている。これが現実だと私は思う。
■人の雇用を奪うのは人だ
まず、機械化やIT化で業務効率が上がったなら、家にでも帰ってゆっくりしてればいいのだ。本来、それが一番正しい選択だったと思う。効率に任せバカみたいに大量生産するので、今みたいな物余りな状況になる。欲を出して競争を激化させるので、今みたいに荒んだ雇用状況になる。
機械化やIT化を進める理由は、お金を稼ぐためだ。本気でお金の欲しい人であれば、別に技術が進歩しなくても、いくらでも外道な方法を思いついて稼ぐ。むしろ、そういう外道の鬼畜度合いを緩和してくれているのが技術なのかもしれない。
■技術以外の壁
コンピュータはどんなに賢くなっても労働時間の削減なんて主張しない。人間の持つ感情が無いので、いくらでも働かせることができる。それが長所だ。逆に、感情を持たないので考えない。工夫ができない。それがコンピュータのや機械の限界だ。
そもそも、これ以上作業効率を高める必要はあるのだろうか。今以上に生産性を高めたところで、余計に物が余るだけだ。IT技術や機械化技術が、儲けたい人のゲームの中のパラメータの一つになってないだろうか。
■技術は道具でしかない
人を不幸にするのは人だ。人を幸福にするのも人だ。それをIT技術や機械化技術のせいにしてはいけない。機械やコンピュータ自体には、人の運命を左右するような力は無い。それを使う人間によって、幸福をもたらすか、不幸をもたらすかが決まる。
また、現代社会とうのは、生産技術に対して、要らなくなったものを適切に処理する技術が低い。資源を使いつぶしていくだけで、リサイクルが追い付いていない。こういったところに、IT技術や機械化の技術だけでなく、もっと色々なものが伸びていける余地がある。また、必要とされている人手も多い。
金にはならないが、やらなければならない事が手つかずになっている。そこに多くの人手や技術が必要とされている。それでも世の中には仕事が無い。なんとも偏ってはいないだろうか。経済活動に埋没して、一喜一憂している現状がベストと錯覚していないだろうか。より理想的な社会を実現できるのに、みすみす見逃している気がしてならない。
コメント
真っ赤なレモン
機械化や技術の進歩で節約できた時間を余暇には使わず、さらなる機械化や技術の進歩のために使う。余暇は全く増えない。
おかしいでしょ、これ。
『未来予想図』を描いた絵や資料を見ると、「こんな世界になったらどんなにラクだろう」と思う人が多いけれど。
ちゃんと歴史を見てきた人なら、「こんな未来は今よりもはるかに忙しく苦しいに違いない」と思うはず。
だって、現代がそうだもの。
現代は、過去の人から見れば『魔法のようで、すごくラクができそうな世界』になってる。
機械化や技術の進歩で節約できた時間は、余暇を増やすことに使わないとね。
腐るほどカネを持っている人には、『働かない義務』を課して1日の労働時間を3時間以内に制限すべき。