いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

これからの主流は”スタンド・アローン”だ!

»

■そろそろ破綻するんじゃないだろうか

 IT業界の売り文句で、統合管理とか一元管理というのはよく聞く。ファイルサーバやらDBを立てて、データやファイルを一箇所に集めて集中管理する。その方が効率がいいともてはやされてきたが、そろそろ流れが変わるんじゃないかなんて思ってる。というより妄想してる。

 統合管理は確かに魅力的だ。しかし、現状はどうだろうか。それを支えるエンジニアが育っていない。今はいいかもしれないが、百年後に同じシステムが維持できているとは思えない。そんなことで、これからの時代のトレンドは、先祖返りになってしまうんではないだろうか。

■継承不能による崩壊

 最近のソフトウェアの売り方を見ていて思う。売るための機能の増加もネタが尽きてきているんじゃないだろうか。それに伴うソースコード等の管理も限界点にきてる企業も多い気がします。過去からの資産を受け継ぐには、過去からの歴史を把握する必要がある。継承を続けていく内にどうしても陳腐化する部分も出てくる。本来であれば、きちんと後継者を育てて定期的に再構築するくらいが望ましい。

 ここら辺の流れを維持するには、長いタイムスパンで考える視野が必要だ。定期的なアップデートやら、新機能の追加。そういった商業的な都合が優先しすぎて、必要なメンテナンスが追いつかなくなってきている。最近のIT業界を見ていてそう感じる。

 このまま突っ走って、現状の技術水準が維持できなくなったとしたら。強制的に一歩前の段階からやり直さなくてはならなくなる。そういう事態になったら、ローカルPCで動くExcelやAccess等で構築した、スタンド・アローンな小規模システムからやり直しかもしれない。実際はそんな事してる間に、外国の企業にシェアをかっさらわれるのかもしれないが。

■オーパーツに支えられた現代

 基盤は他の人が作っているので、運用が一から十までシステムを理解しなくても何とかなってしまう。会社によっては、システム全部、他社に丸投げというところさえある。知らない間に技術がどんんどん進んで、気がつけばブラックボックスだらけだ。

 最近、大きな銀行のシステムが止まったり、大手の通信会社の通信障害が増えてきた。背景に技術者の枯渇があるとしたら、怖い話だ。いくら便利さを望んだとしても、それを支えるエンジニアがいなくなればシステムは維持できなくなる。

 一人の人間でも努力を怠れば、成長は止まって退化しだす。同じように、社会もお金儲けに奔走しすぎて後継者を育てないと、社会基盤が退化する事だってありうる。

■必然的な退化

 そんな技術者不足での問題が表面化して社会的に大きな影響が出たらとしたら、IT技術自体の信頼が落ちて大規模なシステムを維持できなくなる。当然、利便性の低下や混乱が起きるだろう。

 しかし、今みたいなめちゃくちゃな運用がこの先ずっと続くよりも、膿出しとしてそういう事態が起きるのもアリかも知れない。確かに、IT技術の信頼が落ちるのは痛い。しかし、それをきっかけに、きちんと技術に対して認識が改まってくれるなら未来は明るいかもしれない。国際競争力も、世界レベルで充分太刀打ちできるレベルに追いつけると思う。

 企業、個人にいたるまで、それぞれが技術的に自立できる。自分に必要な技術を理解して、一人でも自分に必要なことに対応していける。そういう人材が育っていく基盤ができてくれれば嬉しい。働く人それぞれがスタンドアローンで動だけの基盤が見直されるのが、これからの主流になって欲しい。

Comment(0)